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Innovators 公開日: 2019.01.21

「人の生き方」をネットや最新技術が変える──ドミニク・チェン氏に聞く未来の暮らし(前編)

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情報学研究者ドミニク・チェン氏が見る未来の暮らしとは。

 テクノロジーの進化は人々の生活を大きく変え続けている。

 情報学を専門とする研究者ドミニク・チェン氏は、スマートフォンやソーシャルメディアの登場によって情報が偏り排他的になる現象「フィルターバブル」の深刻化を指摘する。

一方で、テクノロジーは「家」という垣根を壊し、他者を受け入れる環境を生み出しつつある。ネット販売の配達員が一時的に自宅に入り荷物を届けるサービスは、その代表的な事象だ。

 情報技術の進化という観点から、将来の個人や家族の暮らし方がどうなるのかをチェン氏に聞いた。(聞き手は、菊池 隆裕=日経BP総研)

──最近、人がよりよく生きるとは何かを考える「ウェルビーイング」に関して、学術研究の助成や普及を目指すLIFULL財団が設立され、ドミニク・チェンさんはその理事に就任されました。面白い財団だなと思うのですが、ウェルビーイングとチェンさんのかかわりは、どのようなところから始まったのですか。

 この財団の代表理事はウェルビーイングをテーマとした研究を行っている石川善樹さんです。石川さんは予防医学の専門家として、ウェルビーイングの研究に取り組んでいます。私はIT開発の業界に長年いて、10年ほど自分の会社を運営してきました。スマートフォン(スマホ)アプリやWebサービスを開発する中でウェルビーイングに関心を持つようになりました

編注:財団のもう1人の理事には楽天 執行役員CDO(チーフデータオフィサー)の北川拓也氏が就任している

 そのきっかけというのが、自分たちの会社のサービスの一つとして作った匿名掲示板でした。これは一風変わった掲示板です。投稿する人は、何かしらの悩みを持っている人で、その悩みを140文字以内で投稿します。「彼氏に振られた」「クリスマスの街のカップルたちを見て凹んだ」などという、誰にでもあるような悩みを吐き出す場です。

 こうした内容を巨大な電子掲示板サイトに書き込むと、多くの場合「荒れる」んですよね。そこで我々の工夫として、全体のデザインを優しくして、豆粒のような疑似生命体が話しているかのような吹き出しでメッセージを届けるようにしました。ガイドラインには、「悩みに対して説教したり説得したりしてはいけない」という条件も設けました。「慰め縛り」の大喜利のようなものですね。

 1週間ぐらいのアイデアで、「こんなものがあったら面白そう」と考えて作ったサービスでしたが、多くの人が使うようになってくれました。思った以上にヒットし、投資してもらうことにもなりました。そこでは、投稿する人たちが励まし合って、心を軽くしていってくれる。インターネットやテクノロジーというのは、何かを便利にすることができるものだと思っていたのですが、このサービスを作ってみて人々の心に直接語りかけることもできるんだ、図らずもそう気づいたのです。

 その当時はウェルビーイングという言葉が今ほど広まっていない時期でした。それでも、これがウェルビーイングと向き合うためのある種の原体験でもあり、成功体験でもありました。

スマホとSNSがもたらした「フィルターバブル」

──インターネットやテクノロジーが、人間の生き方に大きな影響を与える時代になってきたということですね。

 そうです。特に2010年代に入って、大きな変化が生まれたと感じています。パソコンに代わってスマートフォンが世界中に浸透したことが、社会的なインパクトをもたらしているのです。

 少し説明しましょう。パソコン(パーソナルコンピュータ)というのは、パーソナルコンピュータの父とも言われる計算機エンジニアのアラン・ケイの思想が色濃く反映されています。それは、情報を得て、作り出して、発信するという一連の操作を行うというもので、パソコンは情報を抜き取るだけの端末ではないのです。

 一方でスマートフォンは、発信することもできますが、基本的には情報を受ける、情報を浴びるという形で最適化されてきました。スマートフォンやタブレットは画面に触ることしか担保されておらず、入力装置はバーチャルキーボードしかありません。こうした端末に向けて情報産業は、数秒で記事をタップして広告を見るというような情報を浴びる連鎖をいかに高速化していくかを追求してきました。

 多くの人が発信しているソーシャルネットワークサービス(SNS)も、情報を浴びる方向に最適化されています。狭い画面のなかでどうやって相手の注意を引けるか、「いいね」をもらうか。産業やビジネスだけでなく、ユーザー自身も行動様式をスマートフォン型の情報端末に合わせていったのです。

 結果として2015年ころから深刻化しているのが、「フィルターバブル」という現象です。米国では特に切実さを帯び始めています。これは、社会の分断を増幅してしまうのです。SNSを使い込んでいると、アプリは利用者自身の嗜好性を学習していきます。コンテンツやつながりのある人の投稿、広告といった表示が、学習した嗜好性によってフィルタリングされていくわけです。

 好みにあう情報が出るという意味ではユーザーにメリットがあるのですが、一方でこのフィルターの影響で世界が狭くなっていってしまう弊害があります。自分の興味のない情報が表示されなくなり、同じフェイスブックやグーグルを使っているユーザー同士でも、画面には異なる情報が並んでいる危険性があります。

 趣味のレベルならいいですが、政治や思想などだと「異なる意見の人がいる」ということへの想像力すらなくなることにつながります。こうやって寛容性がない社会を、作り出してしまうことが、フィルターバブルの問題なのです。

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