(前編からのつづき)


 起業3年めのLiberaware。自社開発した小型ドローンを活用したサブスクリプションモデルに大きく舵を切り、プラント、倉庫などの屋内での点検業務への応用を推進している。


 前半では、起業したきっかけ、小型ドローンを開発するに至った経緯、同社のビジネスモデルを紹介した。後半では、同社サービスでの人工知能(AI)活用と、目指しているビジネス像について聞く。


 同社のサービスの特徴は、自社開発した小型ドローンを使うことに加え、ドローンの故障検知や、ドローンで収集したデータの解析機能にAIを活用している点にある。

AIで異常を予兆

 そもそも同社がAI活用を考えたのは、サービス提供用のドローンの異常をいち早く検知するためである。「飛行中にドローンが壊れたらどうするのか、多くのお客様が気にします。そのため、故障する前に異常を検知して点検したり部品交換したりできる仕組みが必要でした」と閔 弘圭CEOは話す。


「ドローンにはプロペラがあるので元々振動があります。その振動の周波数の微妙な変化をセンサーで感知し、AIで解析すれば、どこのネジが緩みつつある、どのプロペラが近い将来故障するといったことを把握できます」


 2018年7月には、同社の事業をベースに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに応募。「AIドローンを用いたインフラメンテナンス関連サービス創出事業」として採択された。この事業が、同社のAI強化に役立った。「NEDOの案件では、ドローンを落下させるなど、あえて負荷を与えて過酷な状況に置いて、様々な故障パターンのデータを収集しました。AIが学習するデータが増えたことで、故障個所を90%以上特定できるようになりました。延べ120機ほど飛ばして壊しましたね」(閔氏)


 さらにLiberawareは、同じAIをほかの用途にも使うことを考えている。撮影した画像から異常を見つけるサービスだ。「プラントでは壁面のひび割れや腐食を発見するのにもドローンが活躍します。そこで、撮影した画像を基にして壁面の異常を発見する場面にAIを適用しています」


 AIは自社で開発を進めている。主導しているのは野平幸佑開発部長。野平氏は閔氏と同じ千葉工業大学の出身で、閔氏と二人三脚でAI開発・導入に取り組んでいる。「画像圧縮にAIを応用することにも取り組んでいます。ひび割れや腐食など画像の重要なところは圧縮率を低くし、そうでないところは圧縮率を高くするといったパラメーターをAIに自動で判断させるというものです。我々はこれを“立体圧縮”と呼んでいます」(野平氏)。なお、AIはドローン本体とクラウドの双方に搭載しているという。


Liberawareのサービスは点検作業を効率化できる(出所:Liberaware)

 同社がAIに注力するのは、サービスを通じてさまざまなシチュエーションのデータを集めやすい立場にあるためだ。大抵の顧客企業は、AIの技術は用意できても、肝心のデータが少なく、高い精度での分析ができない。


「ある業界団体で、現場の状況をAIで分析しようという話になった時、分析対象となる画像データがないことから、現場を撮影することになった。ただ、必要なデータ量をそろえるには、何日も何十人もの人手をかけなければならず、結局は実施しませんでした」。この点、同社は顧客からの依頼に基づいて、ドローンを飛ばしてデータを収集できる。それが同社にとっての強みにもなるわけだ。

本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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