夢は“発明おじさん”

 目指している戦略についても聞いた。


 「いま力を入れているのは目視検査、ロボティクスの分野なのですが、どんなに小さな分野であってもよいので世界で通用するような、“グローバルニッチ”でのトップを目指しています。例えば、クルマのホイールの会社と組んだ検査ではナンバーワンになるとか、印刷会社と組んで色調分析でナンバーワンになるとか、ニッチな領域でのトッププレイヤーと協業することを短期的な戦略として考えています。その中で、コアな画像認識エンジンも出てくると思います」


 長期的には、目視業務を支援する汎用サービスをイメージしている。


 「日本企業の場合は100%見逃さない目視検査を求めていますが、海外企業ではそもそも不完全な人間の行う目視検査に100%の精度を求めていません。9割もあれば十分というケースも多くあります。そうしたニーズに応えるために、100点満点でなくてもよいのでロボットアームも付いた安価な検査システムを出していきたいですね。“統合検査システム”とでも言いますか、汎用的なサービスです。検査業務は肉体的にも心理的にも結構負荷がかかります。そういう負荷をAIで減らしてきたいと思っています」


 インタビューの最後に、遠野氏が描く夢についても聞いた。


 「会社を設立した2016年の時点でAIを検査に使うというのは一般的ではありませんでした。しかしこの2年半で実績を積み、検査業務にAIを活用することは当然のことに変わってきました。こういう新しいコンセプトを他の領域でどんどん出していきたいです。それはAI以外の分野かもしれません。やはり、ゆくゆくは子供のころに思い描いた“発明おじさん”になれればいいなあと思っています」  遠野氏の夢は、昔も今も変わっていない。10年後、どういう事業を展開しているのか興味は尽きない。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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