PCからスマートフォン、そしてGoogle HomeやAmazon Alexaのような音声アシスタントへ――。人々がマシンを使うためのインタフェースは、時代とともに常に変化してきた。


 こうしたインタフェースの「次」を生み出そうとしているのが、東京・渋谷を拠点に活動している異色のエンジニア集団・クーガーだ。彼らが手掛けているのは、バーチャルヒューマンエージェント(VHA)。SiriやAlexaのような音声型AIアシスタントとは異なり、顔と身体をもち、人の役割をバーチャルに代替してくれるような次世代AIアシスタントである。


 「目指しているのは『ブレードランナー 2049』のような世界です」。クーガーの共同創業者 兼 CEO、石井敦氏はそう語る。


クーガーが目指すのは、『ブレードランナー2049』のジョイのような次世代AIアシスタントだ。

コネクトームと新しいインタフェース

 2006年創業のクーガーは、もともとは大規模検索エンジンやゲーム領域に強いエンジニア企業だった。


 ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の次世代アーキテクチャーの設計やdangoが企画したソーシャルRPGゲーム『マジモン』の開発を手掛けたのちに、2014年頃からAIに、2016年からブロックチェーン領域に進出。これまでにAIラーニングシミュレーターを開発しホンダに技術提供したほか、KDDIとともに国内初となる「エンタープライズイーサリアム」を活用したスマートコントラクトの実証実験を展開している。


 新たなプロジェクトに取り組むたびにチームが扱う領域が増え、現在は大規模検索エンジンからゲームまで、音楽から機械学習、ブロックチェーン、映像・言語認識、ロボティクス、インタラクティブアート、3Dモデリングまでと、さまざまなバックグラウンドを持つ約20人のエキスパートが集っている。


 そんな越境型エンジニア集団が現在取り組んでいるのが、デバイス間の自律連動を可能にするためのテクノロジー「Connectome(コネクトーム)」だ。自動車やドローン、家電にロボットといったマシン同士がConnectome=神経回路のように自律的に接続し合い、データをセキュアにやりとりしながら動くことで、リビングやクルマの中といったあらゆる生活空間をスマートスペース化する——そんな未来のオートメーションを実現するためのプロジェクトである。ベース技術は「AI」×「AR」×「ブロックチェーン」である。


 そしてこの、来るべきコネクトーム時代における人とマシンのインタフェースになると石井が考えているのが、VHAである。マシン同士が自律連動しながら扱う膨大な情報を瞬時に翻訳して人間に提供する「翻訳係」となるほか、ユーザーの状況を判断しながら適切な選択肢を提案する「コンシェルジュ」になる。そしてユーザーの指示に応じて、さまざまなIoTデバイスの操作を一括して行うことができる。そんなVHAによって、「インタフェースの新しいカテゴリーをつくりたい」と石井は言う。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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