人間に残された仕事は、考えて決断することだけになるのですね。


 昨日までの自分の仕事の内容をすべて知っているPAIがいれば、朝オフィスに着いて席に座る頃にはメールやメッセージの返信が終わっていて、その日の仕事の段取りがすべて決まっている、といったことができます。ミーティングや会議もPAI同士が行い、あとは内容を確認して取引相手と握手するだけになるかもしれません。


 とはいえ、新規事業の創造や構築、決断など人間がやらなければならない仕事もいろいろと残されています。どうしても本人でなければできない仕事は自分がやり、それ以外のことはすべてPAIに任せるわけです。


 PAIの登場だけでなく、将来はAIの普及によって人間の仕事の一部はなくなるでしょう。でも、意思決定する人は必要で、そこに新しい仕事が生まれると思っています。

人間と自然に対話できるPAI

Googleが2018年5月に開催したGoogle I/0で、人間の代わりに美容院やレストランなどに電話をかけて、予約をとったりするAIを発表しましたが、PAIもそれに近いのでしょうか。


 私たちも3年ほど前から、Googleが発表した「Duplex」のようなデモをやっています。ただ、当初はまだテキストベースの会話だったので、Duplexのように音声で予約や注文をするようなことまではできませんでした。今では、私たちも音声合成ができるようになったので、音声で電話をかけてお店を予約したりデリバリーを注文できるようになりました。


 とはいえ、それはPAIがやれることのほんの一部にすぎません。私たちは、もっと人間の可能性を高めていくために、PAIを生かしていこうと思っています。人間をアシストするだけでなく、最後に決断をするシーンにおいても、PAIにできることがあると思っています。


 そこまでPAIに任せてしまえば、人は自己実現についてもっと深く考えるようになるでしょう。


PAIはどのように言葉の内容を理解して会話するのですか。


 今は拡張固有表現抽出という手法を作って、言葉の前後の文脈だけを見て判断しています。例えば、「神田は2015年に東大を卒業して、松下に入社した」という文章があったとします。この場合、まず「神田」というのが地名なのか人名なのか区別がつきません。その後の、「東大を卒業して」という文節で、人名であると判断できます。さらに、「松下」も「入社した」と続くことによって、人名ではなく社名だと認識できます。言葉で聞く場合は、「東大」も読みが同じ「灯台」と解釈することもあるでしょうが、前後の文脈で判断できます。


 このように、文章の中の単語を約200種類の項目に分類して属性を持たせることで、意図をくみ取ります。この手法だけでも、結構会話の精度は高くなっています。ただ、相手が話している言葉の意図や内容が理解できたとしても、それに対してどう会話を続けていくかについては、また別のアルゴリズムを考えなければなりません。


 会話を続けていくために、リカレント・ニューラル・ネットワーク(RNN)という、また別のAIの手法を使っています。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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