CDOとしての役割をどのように考えていますか。

ブリヂストンCDOの三枝幸夫氏(以降、撮影:新関雅士)

三枝 いろいろな業種で、新しいビジネスモデルを持ったデジタルディスラプターが現れて、事業環境が大きく変わる例が出てきています。私たちの領域でも、いつそうならないとも限りません。その変化に対応し、生き残っていけるようにするには、私たちブリヂストンの事業を変えていく必要があります。大切なのは、新しい価値を提供できる存在になることです。


 CDOは、そのために事業部門と一緒になって将来ビジョンを描き、それを実現するための施策を考える立場です。デジタルという言葉から、日本ではICT(情報通信技術)活用のイメージが強いかもしれませんが、海外ではビジネストランスフォーメーションをけん引するリーダーという位置付けです。ブリヂストンでも海外企業と同様に、ビジネストランスフォーメーションを実行に移し、新しい事業をつくり出すことがCDOの役割になっています。


御社のビジネストランスフォーメーションを具体的に教えてください。

三枝 単にタイヤを販売するのではなく、サブスクリプション(加入)型を含めてユーザーの走り方に合った製品やメンテナンスサービスを提供するモデルに変えていこうとしています。適切なメンテナンスを提供することで、顧客にとっては、燃費が良くなり、タイヤが長持ちするようになります。トラブルが減れば、走れずにいる時間、つまりダウンタイムを減らせます。ブリヂストンとしてもサービスのコストを抑えられます。


 こうしたサービスを、まずはトラックやバスなど、商用車両向けから始めています。タイヤ溝の減り具合を見て、表面のゴムを取り換えるリトレッドをしたり、空気圧やローテーションを管理したり、メンテナンスを充実させたりすることで、その顧客に対して提供する価値を最大化できると考えています。


サブスクリプション型を選択した背景を教えてください。

三枝 中国や東南アジアで、低コストで生産されるタイヤと単純に価格競争してもかないません。でも、アフターサービスまで含めたソリューションであればメリットを出すことができます。リトレッドの可能回数、タイヤ廃棄率などをデータ化し、タイヤを適切なタイミングで交換できるようにすることで、長い目で見れば低価格のタイヤ単品を買うよりもサブスクリプション型の方がメリットがあることを顧客に示します。


社内はすぐに対応できましたか。

三枝 企業文化の大きな変化ですから、社内にとっても大きなチャレンジです。社内にはサブスクリプション型に移行すると、一時的に売り上げが落ちてしまう部署もありますが、この方法が顧客にとってメリットが大きく、ブリヂストンにとってもいずれは得るものが多くなるということを理解してもらい、協力を得ています。経営トップ主導で意識改革も進めてもらっています。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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