LIXILにおけるCDOの役割は何ですか。

金沢 LIXILが消費者に寄り添い、ニーズを的確にとらえるために、社内のデジタル化をけん引するのがCDOの役割です。高度経済成長期は商品を造れば売れる、そんな時代でした。建材・設備メーカーはハウスメーカーや設計事務所が選んでくれる商品を造っていればよかった。


 しかし、これからはそうはいきません。住宅の新築案件は減る一方で、消費者は既存住宅をリノベーションしながら活用するようになってきています。さらに、シェアハウスやシェアリングサービスなど、住まいにも新しい文化が生まれています。最終消費者が求めるものが、以前とは違ってきているわけです。


 そんな中で、消費者に快適な住まい、暮らしを提供するにはどうしたらいいか。それには施主となる消費者との接点を強化し、消費者が何を考えて、何を求めているかを知る必要があります。最近はスマートフォンやSNS(交流サイト)が普及し、その履歴から消費者の動向をつかめるようになりました。ですから、まずはSNSなどを通じて消費者のニーズを把握することから始めることにしました。


 今はまだ、デジタル情報をベースに考えるというところまで来ていません。これを、徐々に変えていきます。これらが当たり前に社内でできてくれば、最終的にはCDOの役割が不要になると思います。これが私のミッションです。


まずはデジタル情報をどのように活用しようと考えていますか。

金沢 LIXILのホームページにアクセスしてきた人の中で、本気で購入したいと考えている人を特定し、的確に情報を提供していきます。キッチンなど住宅に関連した商品は、実物を見てから買うのが普通ですから、出向いて実物を見てお買い上げいただけるよう、ホームページからショールームに誘導します。


 そこでショールームでもデジタル技術の活用を始めました。具体的にはショールームを訪ねた人が商品をイメージしやすいように、商品の3D画像化も進めています。ショールームに実物を置いていないものでも、3D画像を使って実物に近い形で商品を確認したり、いろいろなアングルから商品を眺めたり、さらには画面上で材質や寸法を変更したりすることもできます。こうすれば、従来とは顧客の納得感が違ってきます。


 また従来は、コーディネーターがヒアリングして仕様をまとめ、数日後に見積もりを送付していました。しかしそうなると、値段を見て迷った場合など、もう一度ショールームに足を運んでくれない顧客が出てくるかもしれません。これは機会損失につながります。

LIXILでCDOを務める金沢祐悟氏
(以下、撮影:新関雅士)

 しかしデジタル技術を使えば、その場で見積もりを出せますし、いくつかの候補を印刷してパンフレットにまとめることもできます。それを渡せば、家に帰って楽しく家族会議ができるかもしれません。


 3D画像は、まだショールームで見せているだけですが、今後は拡張現実(AR)などを導入して、実際に部屋に置いたらどうなるか、イメージを見られるよう検討していきます。将来的には、このプラットフォームを広げて、ショールームだけでなく、私たちのお客様の事務所や住宅展示場などでLIXIL製品を3D画像やARで見られるようにしたい。住宅に関わるあらゆる人がこのプラットフォームを活用できるようにしたら、お客様にはもっと具体的なイメージを持って検討していただけます。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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