Lifestyle
公開日: 2019.01.24
CESにずらりと並んだ“次”のクルマ
安全運転支援、パワートレイン、エンターテイメント、そして空飛ぶクルマ…。CES展示から見るクルマの未来。
クルマというのはおもしろいもので、現在にとどまらず、みんな、過去、そして未来のことを語りたがる。ファンもそうだし、作り手もだ。特にこのところ、メーカーが未来を語る場として重要視しているのが、毎年年初にラスベガスで開かれる「CES」である。
1967年に「消費者家電ショー(CESはその頭文字)」として始まったB2Bの展示会がオリジンだ。近年は主催者があえて「セス」と呼んでほしいと注文をつけるなど、内容的には家電というよりも、電子を中心とした先進技術が前面に押し出されている。
クルマもいま、情報化および知能化の時代といわれる。安全運転支援技術や外部との通信技術、ドライバーら乗員とのコミュニケーション技術などが、短い時間に長足の進歩を遂げているのだ。ショーでも、従来は性能やスタイルを喧伝していればよかったのが、見せるポイントが変わってしまった。
その動きと呼応して、うまく自動車メーカーの呼び込んだのがCESなのだ。ここ数年、自動車メーカーは新しいデジタル技術などの発表の場としてここを選ぶようになってきた。わりを喰ったのは、歴史あるデトロイトでの北米国際自動車ショーである。開催時期が近接していることもあり、デトロイトでの展示をやめてCESに移ったメーカーもがいくつも存在するのだ。
ラスベガス・コンベンションセンターを舞台に開催されたCESは、「世界的な集いの場」と主催者が定義するだけあって、世界的な大メーカーからスタートアップまで、あらゆるレベルの人に交流の場を提供している。それも人気の理由だ。来場者のなかに企業の意思決定者であるエグゼクティブが多いというのも主催者がアピールするポイントだ。
2019年は1月9日に開幕し、数多くの自動車とその関連技術が展示された。さらに自動運転車の試乗など、広い敷地を生かして、いわば3次元的な展示で“いまのクルマ”を体験できたのが来場者にウケていたようだ。
1967年に「消費者家電ショー(CESはその頭文字)」として始まったB2Bの展示会がオリジンだ。近年は主催者があえて「セス」と呼んでほしいと注文をつけるなど、内容的には家電というよりも、電子を中心とした先進技術が前面に押し出されている。
クルマもいま、情報化および知能化の時代といわれる。安全運転支援技術や外部との通信技術、ドライバーら乗員とのコミュニケーション技術などが、短い時間に長足の進歩を遂げているのだ。ショーでも、従来は性能やスタイルを喧伝していればよかったのが、見せるポイントが変わってしまった。
その動きと呼応して、うまく自動車メーカーの呼び込んだのがCESなのだ。ここ数年、自動車メーカーは新しいデジタル技術などの発表の場としてここを選ぶようになってきた。わりを喰ったのは、歴史あるデトロイトでの北米国際自動車ショーである。開催時期が近接していることもあり、デトロイトでの展示をやめてCESに移ったメーカーもがいくつも存在するのだ。
ラスベガス・コンベンションセンターを舞台に開催されたCESは、「世界的な集いの場」と主催者が定義するだけあって、世界的な大メーカーからスタートアップまで、あらゆるレベルの人に交流の場を提供している。それも人気の理由だ。来場者のなかに企業の意思決定者であるエグゼクティブが多いというのも主催者がアピールするポイントだ。
2019年は1月9日に開幕し、数多くの自動車とその関連技術が展示された。さらに自動運転車の試乗など、広い敷地を生かして、いわば3次元的な展示で“いまのクルマ”を体験できたのが来場者にウケていたようだ。
展示の傾向は各社各様である。トヨタ自動車が注目したのは安全支援技術だ。同社の研究機関であるトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)は「ガーディアン(守護聖人)」と名づけた高度安全運転支援システム搭載のレクサスLSをお披露目した。
ルーフトップをはじめ各所にカメラ、レーザー、レーダーを備えつけているのが眼をひく。そこからの情報と車両の制御を結びつけ、自動車事故回避および被害軽減を目指すというものだ。
余談めくがトヨタは、その直後のデトロイトの自動車ショーでは6気筒エンジンで走りを楽しませるスポーツカー「GRスープラ」を大々的にお披露目しているので、2台を並べてみると、このショーをまったく独自に位置づけていることがわかる。
「人間のドライバーが常にクルマをコントロールする前提で、事故が起こりそう、もしくは実際に差し迫っている際に、「ガーディアン」がドライバーによる操作と協調しながら正確な回避につなげるというものです」。TRIはそう述べている。
ルーフトップをはじめ各所にカメラ、レーザー、レーダーを備えつけているのが眼をひく。そこからの情報と車両の制御を結びつけ、自動車事故回避および被害軽減を目指すというものだ。
余談めくがトヨタは、その直後のデトロイトの自動車ショーでは6気筒エンジンで走りを楽しませるスポーツカー「GRスープラ」を大々的にお披露目しているので、2台を並べてみると、このショーをまったく独自に位置づけていることがわかる。
「人間のドライバーが常にクルマをコントロールする前提で、事故が起こりそう、もしくは実際に差し迫っている際に、「ガーディアン」がドライバーによる操作と協調しながら正確な回避につなげるというものです」。TRIはそう述べている。
CES会場外に掲げられたBMW広告の大きさから、いかにこの展示会を重視しているかがわかる(出所:CES)
新しい技術は多岐にわたる。このような安全運転支援システムをはじめ、パワートレインにかかわるもの、広く移動にかかわるもの、それにエンターテイメントといった具合だ。クルマまるごとデザインしてしまったケースもある。
世の中の人が、やれこれからはSUVでなくクロスオーバーだとか、やれ12気筒エンジン車を買うなら今のうちだとか言っているうちに、クルマはどんどん変わっている。クルマの次の段階は道路、その先は都市そのものをリデザインすることかもしれない。
世の中の人が、やれこれからはSUVでなくクロスオーバーだとか、やれ12気筒エンジン車を買うなら今のうちだとか言っているうちに、クルマはどんどん変わっている。クルマの次の段階は道路、その先は都市そのものをリデザインすることかもしれない。
TRIのガーディアンは人間の能力を置き換えるのではなく、増大させるという考え方で開発しているという。戦闘機のコントロール技術にヒントを得て、人間と機械双方の入力による調和的制御を目指すとされる(出所:トヨタ自動車)
アイシングループは、体験型コンセプトカーと銘打った「i-mobility TYPE-C」を初公開し、「自動運転オーナーカー」と「自動運転リムジンカー」を左右両面にそれぞれイメージし、多様化するモビリティ社会への対応策を提案した(出所:CES)
大きなフロアを占有したBMWが展示したのは「BMW Vision iNEXT」というプロトタイプ。「自動的な運転を行えるが、あくまでドライビングプレジャーを重視」とはメーカーの弁(出所:BMW Group)
BMW Vision iNEXTのリアシートに採用されたジャカード織りのマテリアルは音楽に合わせて色が変化したりする(出所:BMW Group)
アウディは自動運転のレベル5が実現されたときを想定しウィンドウスクリーンを使い動画などを再生する技術を提案(出所:Audi)
日産が提案しているのは「I2V(Invisible to Visible)」技術で、さまざまなコネクテッド情報を統合して、車両周辺の情報をドライバーに提供する(出所:CES)
ヘリコプターで知られる米国のベル社は、サフラン、EPS、モーグ、ガーミン各社と開発したVTOL(垂直離着陸)型エアタクシーを提案して話題を呼んだ(出所:Bell)
ヒュンダイモーターはホログラフィック技術を持つスイスのウェイレイWayRayと組んでさまざまな情報を映し出すフューチャーモビリティウィンドウシールドを提案している(出所:CES)
ホンダは、周囲の状況を認識して、人や障害物を避けながら目的地まで最適ルートで移動するAI搭載のロボット「P.A.T.H.Bot(パスボット)」をお披露目。機能の付加によるさまざまな用途への活用を想定し、公共空間での移動型ロボットの可能性を共に探索していく、実証実験パートナーを求めていくとしている(出所:ホンダ)
小川 フミオ
本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
© 2019 Nikkei Business Publications, Inc. / Sansan, Inc.
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