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Lifestyle 公開日: 2019.02.25

シトロエンがシェアリングに注力、「友」の名を冠する新コンセプト

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シトロエンが打ち出す未来のモビリティに向けた新コンセプトは?

 フランスの自動車メーカー「シトロエン」が「アミ・ワン・コンセプト」を発表した。クルマというより、アーバンモビリティの提案だ。クルマとアーバンモビリティ、どこが違うかというと、後者は所有でなく共用を前提としている点である。

 シトロエンではこのコンセプトを、エレクトリックカーでなく、エレクトリック・オブジェクトと呼ぶ。「スマートデバイスを活用し、ユーザーが使いたいときに使いたいだけ使えるを重視した」とシトロエンではする。車両の予約、ユーザーの特定、車両の状況の把握など、すべてデジタル技術で行う。

 シトロエンの提案がユニークなのは「5分から5年まで」という考えに基づいていることだ。「5分」とは短い距離の移動に供用されることで、「5年」とは長いタームでのリースプログラムも組まれることを意味している。

 駐車スペースの確保にはじまり、化石燃料の価格上昇、拡大する傾向にある市街地での通行税などに対応する点で、アーバンモビリティの新しい提案は消費者から歓迎される可能性が高い。

 日本(東京)でアーバンモビリティというと「タイムズ」などのカーシェアが知られている。それに対して、そもそもフランスは、より意欲的に取り組んできた。

 好例は、市内にあるステーションになら乗り捨て自由のEV「オートリブ」事業である。2011年から実用化されていて、パリ、ボルドー、リヨンといった大きな都市で、少なくない数の利用者を獲得してきた。

 実際にパリの市内を歩いていると、いたるところに充電用スタンドが立てられ、そこに専用の小型車が駐められている光景を目にしたものだ。しかしそれよりお手軽なサービスが増えたせいで、オートリブ事業は2018年で終了してしまったようだ。

 お手軽なサービスには、バイクや電動スクーターなどが含まれる。もう一つ、自動車メーカーが本格的にカーシェアリングビジネスに参入してきたことが挙げられる。ルノーは熱心だし、ここで紹介するシトロエンも同様だ。
全長2.5メートル(日本の軽自動車は3.4メートル)で全高は1.5メートル
ガラス面積が大きくルーフも一部が開くようになっている
運転席はレールを持ちスライド可能で、助手席は固定となるが、非対称のレイアウトでスペースをかせいでいる
マンマシンインターフェースの中核をスマートフォンが担う
 シトロエンの「アミ・ワン・コンセプト」はスーパーマーケットを含めた市内各所でアクセスできるようになるという、全長わずか2.5メートルの2人乗り電動モビリティである。「バスや列車、オートバイや電動スクーターの代わりになるもの」(シトロエン)として提案されている。

 クローズドのキャビンは耐候性に富むうえ、車体は安心感のため堅牢さを感じさせるようなスタイリングを与えられている。「都市をすばやく移動でき、これまでにないドライビング体験を味わえるでしょう」。シトロエンによる前向きな表現がおもしろい。

 アミ・ワン・コンセプトでは、スマートフォンが重要なコントロールデバイスとして用いられる。ユーザーは手持ちのスマートフォンのQRコードでドアを解錠・施錠できるし、ダッシュボードにスマートフォンをはめこむことで、車両のシステムが起動するのだ。

 離れた場所で充電状況のチェックもできるし、充電開始の指示もスマートフォンで行える。シトロエンでは実際に稼働が始まったあかつきには「Free2Move」というサービスを開始し、オペレーターが目的地までのルート設定も行うようにするとしている。

 車内には充電ステーションのマップが表示される。規定より充電量が少なくなると車両が警告を発し、そのあと車両が充電ステーションまでの最短ルートを表示してくれるという。

 「必要に応じてでも、継続的にでも使えます。家族とでも友人とでも乗れます。パーソナルに所有(リース)することも出来るし、シェアリングでOKというスタイルにも対応します」

 シトロエンがこのコンセプトモデルに与えた「アミ」という名称は、本来は友人を意味するフランス語だ。同社では1961年にこの名称を持つ乗用車「アミ6」を発表している。

 アミ6のベースになったのは48年発表の2CVだ。2CVは、第二次大戦で疲弊した工業界にあって、簡単に作れる大衆車として企画された。アミは(スタイルは他国の常識からすると突飛だったが)それより乗用車的に使えるクルマとして開発された。

 今回のアミ・ワン・コンセプトの「アミ」と「ワン」がどのような意味を持つか、現時点ではなんの発表もされていない。ただし新世代の大衆車「アミ」は、デジタル技術をベースに、カーシェアリングにも対応するアーバンモビリティになって再登場というのが興味ぶかい。
LEDはストップランプにも使用されている
フロントに設けられたデイタイムランニングライト
1961年のアミ6はクリフカットと呼ばれる逆傾斜ルーフで後席乗員のヘッドルームを稼ぐなど意欲的なデザインだ


小川 フミオ


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
© 2019 Nikkei Business Publications, Inc. / Sansan, Inc.

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