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Lifestyle 公開日: 2019.04.02

AIの指示で帰宅時に野菜に手入れ、アプリで確認──生活に「農」を組み込む新サービス

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デジタル技術で「農」がある都市生活を。IoTプランターを開発中のスタートアップ企業が挑む、新しいライフスタイルの提案を見た。

 「どんな人もアグリカルチャーに手軽に触れられる世界をつくる」。このように語るのはスタートアップ企業・プランティオの芹澤孝悦CEO・共同創業者である。

 同社が開発を進めているのは、IoTとAIを導入した新型のプランター、「コネクテッドプランター」だ。アプリを通じて育ち具合や水やりなどのタイミングを確認できる点が特徴だが、これは同社の取り組みの一端に過ぎない。

 並行して同社が急ピッチで準備を進めているのが、「シェア型都市農園サービス」である。ビルやマンションの屋上に都市型の小型農園を設置し、コネクテッドプランターと同種のデジタル技術を投入。一般消費者がこの“IoTファーム”で野菜や果物の育成と収穫を楽しめるようにする。シェア型都市農園サービスとそれを支えるアプリは2019年7月にも本格提供を開始すべく、開発とテストを進めているという。

 野菜や果物を育て、収穫し、種を植えてまた育てる――。プランティオはこのような「農」の営みを都市の中に組み込むことで、新しい農と生活のあり方の創出を狙う。デジタル技術で生み出す、古くて新しい「農」の意義を芹澤氏に聞いた。

デジタル技術で「農」を都市生活に組み込む

── プランティオが進めている事業でまず印象的なのは、IoT搭載の「コネクテッドプランター」ですが、本当にやりたいことはこのプランターの向こう側にあるそうですね。
プランティオが開発しているIoT搭載の「コネクテッドプランター」イメージ(写真右)。左は拡張ユニットを装着した状態。現在約50人のテストユーザーが利用しているという。一部のオフィスなどでテスト利用をしているほか、またNTT東日本およびパナソニックホームズの協力を得て、パナソニックホームズの賃貸物件でもテスト利用を実施している(写真提供:プランティオ)
芹澤氏 はい。今の生活者、特に都会に住んでいる人にとっては、「農作物を育てて食べる」という行為が非常に遠いものになっています。「農業」という言葉がありますが、私はこれは象徴的だなと思っていて、農作物というプロダクトを貨幣で購入して食べる、という姿が当たり前になっています。

 今の農業を否定しているわけではありません。しかし、「農」と生活があまりにも分断されている状態が、伝統的な食文化の断絶、フードロス、子供たちの食育などの問題につながっているのではないかと考えています。また、以前から指摘されていますが、都市部と農村部の間にある農産物の需給バランスの悪さも見過ごせません。

 海外では、農と生活を近づける取り組みが一歩先んじて進められています。英国ロンドンでは2012年のロンドンオリンピックに向けて都市内の畑を整備し、今ではロンドン市内に約3000カ所、年間約120万皿分の食料を生産する体制ができているそうです。また、米国のニューヨークでも畑がついているレジデンスが普通に見られるようになってきています。日本でもアーバンファーマーズクラブというNPOが2018年に発足していまして、2020年までに渋谷に2020カ所の市民農園を設置しようと活動しています。

 日本でも昔は、都市部に畑があって、そこのコミュニティーで育てた農作物を分け合って食べる、という姿が普通に見られていたと聞いています。それにそもそも、土をいじっていると人は幸せな気分になります。都市部でも自宅に観葉植物や家庭菜園を置く人が多いのは、そうした感覚を本能的に知っているからです。

 そこでプランティオでは、「どんな人もアグリカルチャーに触れられる世界をつくる」というビジョンを打ち立てて、農にまつわる課題を解決できる仕組みやサービスを作ろうと考えました。
プランティオCEO・共同創業者の芹澤孝悦氏。祖父の芹澤次郎氏(セロン工業創業者)は日本で初めてプランターを開発した人物という。プランティオの共同創業者には、連続起業家兼投資家でソフトバンクグループの孫正義会長の弟である孫泰蔵氏も名を連ねる(写真:筆者)
── 実現しようとしているサービスは具体的にはどのようなものでしょうか。

芹澤氏 「シェア型都市農業事業」と称しまして、ユーザーに農園を提供し、アプリを通じて野菜や果物の状態をモニタリングできるサービスを開発中です。

 2019年1月に、東京・恵比寿の恵比寿プライムスクエアタワーの屋上に農園「IoTファーム」を開設しました。アプリの試作版もリリースしていまして、数十人規模のユーザーに使っていただきながらサービスを検証中です。

 将来構想としては、街のあちこちに農園を開設しまして、会員となったユーザーはどこの農園にも行けるようにします。いま7月の本格スタートを目指して準備を進めています。
恵比寿の「IoTファーム」農園における種まきの様子(写真提供:プランティオ)

農園の野菜をみんなで育てる

── ユーザーはどのようにシェア型農園を使うのでしょうか。

芹澤氏  農園を区分けせず、農作物をみんなで一緒に、そして自由に育てるイメージです。従来のレンタル農園では多くの場合、利用者ごとに区画が設けられていて、その区画において利用者が各自で農作物を育てます。一方、プランティオが用意する農園は、こうした区分けはしません。

 農園では複数の作物を育てられるようになっています。恵比寿の農園では既に、カブ、スイスチャード、セリフォン、イチゴなどを育てた実績があります。

 農園の各所にはセンサーやカメラが設置されていて、土壌や気温などのデータを収集し、それをクラウド上で動作するAIで分析、農作物の収穫期を予測します。このAIは、水やり、間引き、(ツル科植物の)誘引など、手入れをすべきタイミングも予測してます。手入れが必要になった場合、プランティオのアプリを通じてサービス利用者に通知が届きます。

 例えば、アプリに「水やりが必要です」という通知が届いた場合、「私、今日会社帰りにいけるよ」といった具合にユーザーの誰かが手を挙げて、農園に足を運び、水やりをします。そのユーザーが「私が水をあげました」とアプリでスタンプをすると、ユーザーにはポイントが加算される格好です。世話をして獲得したポイントは、野菜や果物の収穫時にお金の代わりとして利用できます。
プランティオが開発しているアプリの画面。左はメイン画面(画面はテストユーザーが利用しているコネクテッドプランターを映し出したもの)。カメラで作物の様子を確認できるほか、センサーで取得した土壌や気温などの状態を確認できる。右は通知画面。アプリからは水やりなどが必要になってきた段階で通知が届く(画像提供:プランティオ)
── たくさん世話をした利用者は、世話をしたその分ポイントが多く獲得できるので、収穫物をより多く手にできる、ということですね。

芹澤氏 はい。収穫した後は、種の蒔きどきには種を蒔き、また育てます。

 このシェア型農園を通じて、自分で作物を育てて、食べる分を(自然から)頂いてまた種をまくという、自然から搾取するだけではないサステナブルな生活スタイルを、利用者が楽しみながら体験してもらえたらと思っています。プランティオではこうしたサービスの概念を、アグリカルチャーとエンタテインメントを組み合わせて「アグリテインメント」と呼んでいます。

 アプリ上では、各農園の育ち具合が確認できるほか、ユーザーが自宅に設置しているコネクテッドプランター、さらにはコミュニティーに参加している飲食店や地方の農家の情報、食に関するワークショップなどの開催情報も、同時に閲覧できるようにする想定です。

 さらに、このアプリを通じてユーザーと飲食店や農家がコミュニケーションできるようにします。例えば飲食店は「ご自身で育てたハーブを持ち込んだ方にはドリンクを一杯サービスします」「ラデッシュ収穫のこの季節、ラディッシュを持ち込んだお客様は10%オフ」などとキャンペーンを打って集客に活用できます。また地方の農家はアプリを通じて農作物の手入れのコツをアドバイスしつつ、ご自身の農場や生産物のPRに活用できます。

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