信号が緑に変わるまでの時間をドライバーに伝える「タイム・トゥ・グリーン」と、推奨速度を示す「グリーンライト・オプティマイズド・サービスアドバイザリー」が組み合わせられる。(出所:Audi AG)
「グリーンライト・オプティマイズド・サービスアドバイザリー(GLOSA)」は緑の波をよりよく活用できるためのサービス。(出所:Audi AG)

 アウディのドライバーは5000を超える交差点でこのシステムの恩恵にあずかれるという。ちなみにワシントンDCでは1000カ所の交差点が対象になっている。


 今はさらに一歩進んで、「グリーンライト・オプティマイズド・サービスアドバイザリー(GLOSA)」なるシステムが導入された。これがコンピューターで緑の波を作る技術である。


 センターで情報を管理し、交通量などを加味しながら、各車両に、赤信号で止まらず走行できる理想的な速度を提案する。速度はメーター内に表示されるのだ。


 米国も緑の波になみなみならぬ感心を示していることがわかる。欧州より2年も先がけて米国で実施した理由についてアウディは、米国のシステムでは信号のデータを一元的に処理できることを挙げている。


 欧州では都市ごとにシステムが異なるため、プログラムが使えないことがある。一気に「トラフィックライト・インフォメーション」導入へとはいかないそうだ。それでもアウディはこのシステムを米国のさらなる都市、そしてドイツ、欧州、カナダへ展開する予定である。


 もう一つおもしろいのは、アウディがこのシステムを同社の「e-tron」というEVと結びつけようと考えていることだ。


この例ではアウディe-tronのドライバーに時速50キロで進めば赤信号にひっかからないことを伝えている。(出所:Audi AG)

 EVではブレーキ時のエネルギーで発電しバッテリーに電気をためる、いわゆる回生ブレーキを使う。そこで、車両ではバッテリーの状態を加味して、信号のどこからブレーキングを始めると、充電と緑の波の両方の恩恵を受けられるかを判断する。


 車両がほとんど通らない深夜の交差点では、車両からの情報を受け取ったクラウドコンピューターが信号機を操作することもありうる。現時点での言及はないが、フォルクスワーゲングループ全体でこのシステムへの参入も充分考えられる。


 翻って日本では、なにはともあれ車両を止めてしまえば事故は起こらない、と当局が思い込んでいる。思い込みではなく、実際の事例で証明できるのかもしれないが、もう少しフレキシブルであってもいいだろう。


 もちろん、眼の前の信号が赤に変わる前に突っ切ろうと加速するなどという本末転倒の事象は防ぐべきだし、CO2削減量をパリ協定による目標達成に近づけることも重要だ。デジタル技術を使った緑の波は、広い意味で都市の明るい未来のために必要である。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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