佐藤氏によると、レクサスは2017年発売の「レクサスLC」から「第4期」に入っているそうだ。Lexus Milestonesの背景になったこれまでの30年は、3つのピリオドに分けられると佐藤氏はいう。


 「レクサスの30年における第1期はブランド確立の時期、第2期はレクサスの個性を際立たせトヨタブランドとの差別化をさらに進めた時期、第3期は挑戦の時期でした」


 リベリアには、初代「レクサスLS400」(1989年)をはじめ、初代「レクサスSC」(91年)、初代「レクサスGS」(93年)、初代「レクサスRX」(98年)、さらにプレミアムSUVとして初のハイブリッドとなった2代目「レクサスRX400h」(北米で2005年)などが用意され、ジャーナリストの試乗に供された。


コスタリカの海岸に集められた現行レクサスの主要SUV(左からRX450h、NX300h、RX350、UX250h F Sport、LX570)
(写真提供:Lexus International)
RX300 (98年)と最新のRX350
(写真提供:Lexus International)

 いま乗ると、佐藤氏が別の機会に説明してくれた「圧倒的な静粛性、乗り心地、つくりのよさ」というレクサス車の核になるものが、当初から高い次元で実現されていたのを改めて知ることができる。世代が変わるたびに、さらに燃費が向上したり、安全性や運転支援技術が充実してきたが、操縦して比較すると、初代モデルと現行モデルには多くの共通点があることに気づくのだ。


 「第4期のうちに、私たちは(過去30年とは違った)大きな変化を経験することになるでしょう」。佐藤氏はつけ加えた。


 大きな変化とは、排ガス規制をクリアするために、ドラスチックにパワートレインを変えること。つまりEV化、あるいはハイブリッド化の拡張である。エンジンの代わりに電気モーターが主役になると、従来のクルマづくりの文法を変えなくてはならない。


 「乗る人の心を揺さぶるものを作りたいとの思いから、LCではアルミニウムを多用して軽量化を図ることを前提に、接合技術の追究、難しい外板の成型方法の確立など、さまざまなことを試しています。EV化では、4輪の制御技術が要(かなめ)となるでしょう」


まず魅力的なデザインがあり、エンジニアリングがそれを成立させるべく、切磋琢磨するクルマづくりが現在のレクサスのモットーという(写真はデザイン部の須賀厚一部長)
(写真提供:Lexus International)
RXシリーズは2019年5月のマイナーチェンジでシャシーや足まわりに大きく手が入れられ走りがさらによくなっている(日本での発売は2019年8月下旬予定という)
(写真提供:Lexus International)

 クルマのキャラクターにはエンジンが重要な働きをするという意見がある。私見ではそれはそれで事実なのだけれど、そればかりでもなさそうに思える。近い将来のEVラインナップ拡充を目論んでいる独フォルクスワーゲンの、ドクター・ヘルベルト・ディース社長兼CEOは、「EVはハンドリング次第で十分に楽しくなる」と語っていた。佐藤氏も、それ同様のことを言うのだ。つまり、新しい時代の高級車は、多気筒エンジンの代わりに電気モーターを搭載し、モーター特有の大トルクを活かしたパワフルさをはじめ、するどい切れ味のステアリングや、緻密な車体の動きを可能にするサスペンションシステムなどによる高い操縦性を実現するというのだ。


 デジタル技術をフルに活かすことで、独自のブランド力を確立する。内燃機関を持つ自動車が走り出したのは1886年とされており、それ以来、自動車史における最大のターニングポイントと言われるEV(電気自動車)化の波を目前にして、新しい時代の高級車像が生まれつつある。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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