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国内 公開日: 2021.01.24

東京建物ら、オフィスの空調をAI制御する実証実験を実施

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快適なオフィス空間をAIで効率良く実現!

 東京建物は1月19日、内田洋行、TOKAIコミュニケーションズとともに、東京建物八重洲ビル7階の東京建物ビル事業本部オフィスフロアにおいて、AIによる空調制御の実証実験を実施したと発表した。フロア空間における温度ムラの解消と、約5割もの消費エネルギー削減を達成したという。

 個別空調方式を採用しているオフィスビルの場合、ゾーンごとに空調機が設置され、それぞれを好みの温度に設定することができる。しかし最近は在宅勤務やテレワークの広がり、フリーアドレスの導入など、オフィスワーカーの働き方も多様になり、ゾーンごとの滞在人数やPCの稼働熱量といった、影響を与える要素が日々大きく変動するケースが増えた。

 そのため個人による空調温度設定では、日々刻々と変化する多様なワーカーのニーズに合った環境づくりが難しくなっている。隣接する空調機がそれぞれに異なる設定温度を維持しようと干渉し合った場合、無駄な負荷が発生し、空調コストの増加や環境負荷を増大させてしまうといった課題もある。

 複数のセンサーを用いる手法も考えられるが、その場合、制御ロジックが過剰に複雑化してしまうことが問題になる。そこで東京建物らでは、このオフィスにおける空調制御をAIによって行うことを考案し、今回の実証実験を企画した。



優れた効果を確認、省エネ期待も

 実証実験では、まずフロア内に65個の無線センサーを設置し、その取得データを基にAIがフロアにある39台の空調機制御を行うシステムを構築した。

 第1段階の実験として、夏と秋の空調を対象に、2020年7月27日~11月27日の期間に実施、フロア全体が26度を中心に前後2度の範囲を維持するよう設計したという。センサーはワイヤレス通信でつなぎ、立ち仕事や座業での仕事など場所に合わせ、オフィスワーカーが実際に温度を体感する位置に取り付けている。

 無線センサーからの膨大なデータは、クラウド上のAIに送信され、AIがそこから各空調機へ操作指令を送信、自動で統合的に空調操作を行う。指令を出すだけでなく、AIは搭載された強化学習モデルにより、運用を通じて空調制御の精度をさらに向上させていく仕組みになっている。

 実験の結果、室内利用状況の変化などで一時的に目標温度帯を外れるエリアが発生しても、手動制御時に比べて確実かつ速やかに目標温度へ復帰させることができた。夏期の利用で、目標温度への復帰までに要した時間の平均値は、手動時が36.3分であるのに対し、AI制御では6.4分と約6分の1になっている。

 また10月と11月の秋期には、同規模面積の8~10階フロアにおける平均と比べ、実験を行った7階フロアの消費エネルギーが50%程度に抑えられたことも確認された。省エネ効果も高いことが分かる。

 今回の実証実験では、東京建物が実験の場として自社オフィスの環境整備を行い、提供するとともに全体のとりまとめを担当した。TOKAIコミュニケーションズはAIの構築と調整を、内田洋行は無線センサーの設置とデータ収集、制御信号をAIから受信し各空調機へ送信するシステムの構築を、それぞれ担った。

 今後3社では、年間を通じたAIによる理想的な空調制御を可能にすべく、冬期から春期での実証実験を行うほか、オフィスの人口密度などの要素が変化した場合でも同様の効果が得られるか検証を進める方針だ。東京建物八重洲ビル内での実証実験対象フロア拡大も予定している。

 実証実験の検証結果を踏まえ、必要なパラメータ調整を行うとしており、快適なオフィス空間の提供と省エネを達成するサービスとして実用化を目指していくものとみられる。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

東京建物 プレスリリース一覧
「オフィスの空調をAIで制御する実証実験を実施、温度ムラの解消と約5割の消費エネルギー削減効果を確認」
https://www.tatemono.com/news/

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