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海外 公開日: 2021.12.03

Metaが移民危機やハマス、新型コロナ関連の不正情報ネットワークを削除と発表、安全・適正な情報社会を目指して

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▼ ニュースのポイント
①Metaがセキュリティポリシー違反のFacebookやInstagramに複数アカウントを持つ情報ネットワークの11月削除情報レポートを公開した。
②コロナワクチン反対派の偽情報拡散や賛成派への攻撃ケース、移民、ハマス関連などネットワークとしては6件が対象。
③世界のセキュリティ研究者らと情報を共有、プラットフォームの健全化を進める方針。

広がる偽情報や攻撃のグローバルな脅威

 Metaは米国時間の12月1日、脅威に関する最新レポートとして、多数のグループやページ、偽アカウントを持つ、不正な行いをした複数の敵対的情報ネットワークを傘下のSNSプラットフォームである「Facebook」と「Instagram」から削除したことを発表した。

 Facebookの社名で活動していた2017年から、同社では「Coordinated Inauthentic Behavior(協調的不正行動)」として、社会的に問題のある情報発信者らに関する知見の共有を進めてきている。

 しかし今日、グローバルなこれらの脅威の進化は著しく、Metaが提示するポリシーに適合させてきたり、1つだけ違反したりといったことはもはやなくなって、常に変化しながら高度な戦術でネットワークを運用、情報操作や攻撃をしかけるようになってきているという。

 そのため、こうした脅威環境、潜在リスクに対応するため、新たな防御層を多面的に追加構築する取り組みを行っており、これによって問題のある情報ネットワークの運用関連者らの行動がより困難で隠すのも難しく、コストだけが増大して、狙う効果が得られにくいものとなるように工夫を重ねているとした。



目立つ新型コロナ関連

 今回のレポートで報告された、11月に削除対象となったものでは、まずイタリアとフランスで生じた、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種反対派によるとみられる情報ネットワークがある。

 このネットワークでは、医療従事者やジャーナリスト、公職者らに対して、本物・複製・偽物と複数のアカウントを組み合わせて利用し、大量のコメントや投稿を投げたり、多くの嫌がらせ行為によって、必要な情報発信を行おうとする彼らを黙らせたりする反復的な行動が確認されている。

 反対派による情報コンテンツの全てを禁止しているわけではないが、Metaでは状況を継続的に監視しており、他のユーザーへの脅しによる意見抑圧など、悪用を防ぐため、さらなるポリシー違反が発見された場合には、今後も相応の処置をとるとした。

ベトナムやパレスチナのハマス関連なども

 2件目としては、ベトナムにおける情報ネットワークが、特定の意見を持つアカウントやコンテンツを大量に報告し、プラットフォームから不正に削除させようとしたとして、削除処分の対象になっている。

 このネットワークは、ベトナム政府に批判的な活動家やそれらに関連する意見の人々をターゲットに、数百件、場合に因っては数千件もの苦情を、Facebookの不正使用報告ツールを利用して提出、Facebook上から不当に排除しようとしたという。こうした不正行為においては、主に本物のアカウントと重複するアカウントが利用されていた。

 パレスチナ、ポーランド、ベラルーシ、中国の4つのネットワークもポリシー違反で削除された。いずれも複数の国の人々を一度にターゲットとする不正行為がみられたとされる。

 パレスチナに関しては、パレスチナガザ地区からパレスチナの人々をターゲットに問題のある投稿がみられ、エジプトとイスラエルを対象とした141のFacebookアカウント、79のFacebookページ、13のグループ、21のInstagramアカウントが削除された。いずれも内部調査によって判明したもので、武装組織ハマスと関連がある可能性があったことが報告されている。

 ポーランドでは、同国から発信され、ベラルーシとイラクをターゲットにしているとみられる31のFacebookアカウント、4つのグループ、2つのFacebookイベント、4つのInstagramアカウントが削除対象になった。ベラルーシとEUの国境付近で生じている移民危機に関するものだった。

 ベラルーシでもこの移民危機に関係し、主に中東とヨーロッパのユーザーを対象とする発信を行っていた41のFacebookアカウント、5つのグループ、4つのInstagramアカウントが削除対象になった。ベラルーシのKGBと関連があるとみられている。

 中国においては、524のFacebookアカウント、20のページ、4つのグループ、86のInstagramアカウントとより多くのものが削除対象になった。主に中国で発生したもので、米国や英国の英語話者ユーザー、台湾、香港、チベットの中国語話者ユーザーがターゲットになっていたという。

 何者かが「Wilson Edwards」という生物学者を装った偽アカウントを運用し、米国がWHOの科学者に圧力をかけて新型コロナウイルスに関する責任を中国に負わせるよう迫ったとするなどの不確かな情報をまき散らし、活動の中心になっていたことが報告されている。

 また詳細調査の結果、四川省の情報セキュリティ企業従業員を含む中国本土の個人や、世界各地にある同国の国家インフラ企業に関連する個人とのつながりも判明したとも発表された。

情報を共有し環境改善へ

 Metaでは、こうしたポリシー違反で削除した150以上のネットワークに関する情報を、2018年以降、独立研究者らと共有してきたといい、これによってインターネット全体のセキュリティリスクに関する知見も深められてきたと説明する。

 直近では、MetaのCrowdTangleチームと協力し、研究者がこれら悪意のあるネットワークに関するデータへとアクセスし、脅威となる行為者らの戦術を比較検討することを可能とするプラットフォームを構築することも進めてきた。

 2020年後半に試験的に立ち上げられたアーカイブも、いくつかの研究者グループらと共有済みで、研究者や専門家チームからのフィードバックを受けた改良作業も続けているという。

 Metaでは、今後数カ月のうちにこのアーカイブを世界中のより多くの研究者らを対象に提供し、情報分析をサポート、協調的な不正行動や偽情報の拡散にかかる兆候など、人々の健全な情報環境を維持するために有益な方法や仕組みを社会に広げていくよう努めたいとした。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Meta プレスリリース
https://about.fb.com/news/2021/12/

▼ 会社概要
Meta Platforms, Inc.はかつてのFacebook, Inc.に該当する米国のテクノロジーグループ企業。GoogleやApple、Microsoft、Amazonと並ぶ米国の巨大IT企業で、SNSの「Facebook」や「Instagram」のほか、「WhatsApp」、「Oculus VR」、「Mapilary」なども傘下とする。2021年10月28日に、今後成長が見込まれるメタバースの開発を事業の中核に据えるとして、社名を現在のMetaへ変更し話題となった。

社名:Meta Platforms, Inc.
CEO:Mark Zuckerberg
所在地:米国カリフォルニア州メンローパーク

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