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海外 公開日: 2021.03.12

Intel、DARPAの完全準同型暗号アクセラレーター開発プログラムに参加へ

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MicrosoftとともにDARPA向けプログラムへ参加

 Intelは米国時間の3月8日、米国防高等研究計画局(DARPA)の「Data Protection in Virtual Environments」(DPRIVE)プログラムへMicrosoftとともに参加することを発表した。仮想環境でのデータ保護にかかるプロジェクトで、これに参画する契約をDARPAと締結したことを明らかにしている。

 この「DPRIVE」プログラムは、完全準同型暗号(Fully Homomorphic encryption・FHE)向けのアクセラレーター開発を目指すもので、Microsoftはすでに米国政府と協業し、Microsoft AzureやMicrosoft JEDIクラウドなどの製品を提供、これらを活用した実証実験を進めてきている。

 完全準同型暗号は、データを暗号化したまま計算や分析が行えるようにする最先端の暗号化技術で、DARPAは、これを用いることでより高い安全性が確保された環境でのデータ格納や操作を可能とし、漏洩リスクを極限まで低減して、機密データのさらなる活用を進めたい考えがある。

 現在も多くの企業や組織がデータを保護するため、さまざまな暗号化技術を用いているが、既存の技術の場合、保存・転送時の安全性確保は実現できているが、データ処理を行う際にデータを復号化する必要があり、この復号化データが狙われる危険性の高いものとなっている。

 計算中データとして暗号化されていないために、潜在的な攻撃リスクを残している状況で、これによりデータから得られるはずの価値が十分に引き出せなかったり、必要な共有が行えなかったりといった問題が生じているとされる。



暗号化したまま安全に処理、データ利用は新たな次元へ

 完全準同型暗号では、暗号化されたデータのままプログラム上で計算を行うことが可能となり、これらの問題が解消される。技術として大規模に実装が完了すれば、データのライフサイクル全体で高い機密性を保持したまま、大規模なデータセットから最大限の価値を引き出し、より有用に活用することができるようになるとみられる。

 民間レベルでは、とくにヘルスケア領域や保険、金融業界関連での活用が期待されているが、現状では完全準同型暗号を用いると、膨大な計算処理能力と時間が必要になってしまう。

 DARPAの立ち上げた「DPRIVE」プログラムは、この問題解決を目指しており、Intelはパフォーマンス上のオーバーヘッドを低減する、特定用途向け集積回路のアクセラレーターの設計を担当する。

 Intelによると、このアクセラレーターが実現できれば、完全準同型暗号での実行処理が大きく改善されるものとなり、処理時間として5桁規模の大幅短縮につながる可能性があるという。

 「DPRIVE」プログラムは、今後基盤IPブロックの設計や開発、検証など複数のフェーズを経て進められる見通しで、数年をかけて進行させる大規模プロジェクトになる。Intelでは、準同型暗号化されたデータによるAIのトレーニングや、推論ワークロードの性能目標に対する進捗状況評価も実施し、進行をサポートする。

 また国際標準化団体と協力し、完全準同型暗号の国際標準も作成していくという。さらにこれら暗号化技術分野の先端学術研究にも引き続き投資を行い、技術進展の促進を図る方針とした。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Intel プレスリリース
https://newsroom.intel.com/

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