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海外 公開日: 2021.08.17

Google調査・コロナ禍でヘルスケア領域のDXが加速、ほとんどの医師が患者予後改善に効果と回答

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▼ ニュースのポイント
①Googleが米国医師らに調査を実施、医療界のDX実態を調査した。
②COVID-19の感染拡大から急速にデジタル活用が進んだが、まだ他の業界に遅れをとっていると認識する向きが主流。
③さらなる活用で個別改良の実現や最終的な患者予後の改善に期待。

ヘルスケア業界のDXはどの程度進んでいる?ゲーム業界などに比べて遅れを認識する医師も

 Googleのクラウドサービス部門は米国時間の9日、医療専門家らを対象としたデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する調査を実施し、その結果を公開した。

 この調査はThe Harris Poll協力のもと、昨年にも実施されており、今回は2021年6月9日~6月29日の期間、米国の医療従事者303人を対象に実施された。ちなみに昨年は2020年2月18日~2月25日の期間で同様に実施し、300人の医療従事者から回答を得ている。

 調査の結果明らかとなったのは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック発生が大きな契機となり、医療分野におけるDXが急速に進んで、同分野におけるテクノロジーの役割や、医師の日常業務に確かな変化がもたらされたということだった。

 まず、オンライン診療など遠隔医療の技術利用は大幅に増加し、2020年2月時調査では32%であったところ、今回の調査結果では90%にまで伸びていた。利用率として約3倍の増加がみられる。

 現場で働く医師の45%は、COVID-19の爆発的流行により、組織のテクノロジー導入ペースは明らかに加速したと回答、全体の62%の医師は、パンデミックの影響で、医療機関は通常なら何年もかかるであろう技術アップグレードを今すぐ実現することを余儀なくされ、実際の対応が進んでいったとも回答している。



 医師ら自身の考え方にも変化がみられ、約半数にあたる48%の医師は、今後5年間で遠隔医療機能を全般的に利用できる仕組みを整えたいとした。

 しかしパンデミック発生以前は、53%の医師がこうしたテクノロジーの導入・活用について、医療機関におけるアプローチは「中立的」と表現するのが適当と回答していた。これは、市場に出て一定の期間が経過し、安定浸透した技術や、導入済みの医療機関から効果のあるものとして勧められた場合には、ある程度前向きに試してみるといった意味合いである。

 こうした飛躍的なDX推進があったものの、今なお多くの医師が、ヘルスケア業界は他の業界に比べると、テクノロジー導入の面で遅れをとっているとも考えていた。とくにゲーム業界と比べると遅れているとした医師は64%にのぼり、通信業界との比較でも56%、金融業界との比較で53%が遅れていると回答している。

 だが、小売業界と比べると、2020年には54%が遅れを感じていたが、2021年調査では44%に低下、接客・旅行業界との比較でも2020年に53%であったところ2021年調査では43%に、公共部門との比較においては、2020年で39%、2021年で26%が遅れていると感じるにとどまっていた。これらの業界に比べると、医療業界は確実に進化したと考えられているようである。

スピーディで正確な医療、医師のワークライフバランス改善にも有効か

 患者データの統合と活用は、ワクチンの迅速かつ公平な提供にも寄与した。今後も人々の健康維持、ライフサイエンス研究の促進、広く個別改良を実現することなどにDXが寄与するとみられている。

 調査に回答した実に95%の医師が、データの相互運用性を高めることによって、患者の予後を改善することができるだろうと考えていたことも特筆点だ。

 データの相互運用性向上は、患者の診断にかかる時間の大幅な短縮につながるとも考えられている(86%の医師が回答)。患者の医療アクセス時における体験や予後の改善だけでなく、医療機関全体にもプラスの影響を与えていると考える医師も54%と過半にのぼっていた。

 また、57%の医師はテクノロジーの活用により、医師に生じる燃え尽き症候群の可能性を低減することができると感じており、さらに多い84%の医師は、効率的なツールの利用で日々の診療などにおけるさまざまなストレスを減らすことができると考えていたという。

 優れた最新の技術や臨床データシステムを活用することにより、60%の医師がワークライフバランスの改善が可能とみていたほか、患者データへのアクセスが改善され、管理業務負担も軽減されると考えた医師が61%を占めたことも報告された。

 こうした結果をみれば、より患者の健康状態を完全なかたちで把握できるよう、全データを1箇所に集め、統合管理する方法を積極的に探しているとした医師が、全体の89%と9割近くにのぼったことも驚くべきことではないだろう。

 米国保健社会福祉省(DHHS)が定める新たなデータの運用ルールへの認知も高まっており、74%が2019年開始の新規則について、少なくとも聞いたことがあると回答したそうだ。だがより細かな内容についてとなると、新規則について多少知っている、よく知っているとした医師は30%で、まだ十分に高い値とは言えない。

 2020年調査に比べると改善されたものの、より効果的なテクノロジーの活用を広げていくには、ルールの認知徹底も不可欠になるとみられている。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Google Cloud 公式ブログ発表記事(プレスリリース)
https://cloud.google.com/blog/topics/

▼ 会社概要
Googleは、GAFAの一翼をなす、インターネット関連サービスと製品の開発・提供を進める世界的な巨大企業。世界最大の検索エンジンをはじめクラウド、オンライン広告、ソフトウェア、ハードウェアと幅広い分野で事業を展開する。経営理念は「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」。

社名:Google LLC
CEO:Sundar Pichai
本社所在地:City of Mountain View, California, U.S.

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