sansansansan
  • DIGITALIST
  • Trends
  • Kickstarterがブロックチェーン採用へ、分散型プロトコルに見る未来
Pocket HatenaBlog facebook Twitter Close
海外 公開日: 2021.12.12

Kickstarterがブロックチェーン採用へ、分散型プロトコルに見る未来

お気に入り

▼ ニュースのポイント
①クラウドファンディングのKickstarterがプラットフォームをCeloブロックチェーンに移行する計画を発表した。
②中核機能の分散化を進め、よりオープンで協同的・クリエイティブな未来を目指す。
③プロトコル開発の独立組織を創設、ガバナンス監視のラボも設立予定。

Kickstarterがブロックチェーン採用で新たな一歩

 Kickstarterは米国時間の9日、同社のクラウドファンディングプラットフォームにおいて、今後の基本プロトコルにブロックチェーンを採用していくことを発表した。

 今後開発するオープンソースプロトコルにより、中核機能の分散化を進め、人々により開かれた協同的でクリエイティブな分散型の未来にマッチする仕組みへと改革を進めていく方針だ。今後数週間のうちに、技術と計画概要を記したホワイトペーパーの公開を行うこともアナウンスしている。

 Kickstarterによると、2009年以来、同社のクラウドファンディングには60億ドル以上の資金提供があり、20万以上のクリエイティブなプロジェクトがそれを得て、世に出て行ったという。資金獲得に成功したプロジェクトは、75万人以上のパートタイムの仕事、8万人のフルタイムの仕事、2万以上の企業や非営利団体を生み出すものとなり、総額で135億ドルもの経済効果を創出するにいたった。

 しかし、こうした優れた結果が出ている一方で、今なお才能あるクリエイティブな人々が機会を待っている状況もある。Kickstarterでは、こうした人々の能力やそのアイデアに潜在する可能性を引き出すため、同社のサービスを革新的たらしめたポイント、見知らぬ人同士が共通の目標に向かって協力し合うネットワークの大きな力に再度着目、そのポリシーと親和性の高い、ブロックチェーンプロトコルへの移行計画に着手することとした。



オープンソースプロトコルの開発を支援

 まず、Kickstarterの中核機能を分散化したバージョンを本質的に作成する、オープンソースプロトコルの開発を支援する。分散化の精神に基づき、自社で開発を担うのではなく、独立した組織が開発、Kickstarterはその組織に資金を提供して、プロトコルの最初のクライアントになる。この開発組織として、「Kickstarter PBC」という独立組織が新たに設立された。

 プロトコルはパブリック・ブロックチェーン上に置かれ、世界中の一般協力者はもちろん、競合他社らも含めた誰もが構築したり、接続したり、使用するといったことが可能となる。

 「Kickstarter.com」のサービスはこのプロトコルの上に構築されるが、サービスユーザーはプロトコルを「目にする」こともなく、これまで通りのユーザー体験で利用、プロトコルの改善による恩恵のみ受けられるかたちになるとされる。

 また、開発・運用に際し、独立したガバナンスラボも創設する。当初はプロトコルガバナンスの開発を監督することに専念させ、研究成果の発表やコミュニティとの連携、知見共有を推進させていく方針だ。

採用したのはカーボンネガティブなCelo

 こうしたプロトコル構築に最適な技術とコミュニティとして、Kickstarterが選択したのは「Celo」だった。「Celo」はオープンソースでカーボンネガティブ(CO2の実質排出量がマイナス)なブロックチェーンプラットフォームとして知られ、モバイルアクセスを通じたグローバルなアクセス性にも優れる。

 Kickstarterでは、昨今の世界について、ここ数十年だけを見ても非常に複雑になってきたと指摘、COVID-19から気候変動、金融危機、遺伝子工学など複雑さで共通する数々の問題に直面しているとする。

 こうした世界の問題に対応していくためには、新しいシステムが必要であり、とくに自然界のシステムのように、変化や予測不可能性に対しても、より柔軟な適応力を発揮するシステムや、人々のつながりを活かし問題を解決していくコラボレーションのシステムこそ求められるとした。

 そして、ブロックチェーン技術は、政府や巨大企業にも不可能なほどのスケールで、人々の非中央集権的で分散化されたネットワーク、新しいネットワーク型組織や経済を創造し、連携させるための強力なツールになると説明。

 今後数年のうちにはインターネットの大部分も、技術設計、運用、ガバナンス、所有権にいたるまで、参加する人々によるオープンで分散型のネットワークで再構築されるだろうとし、創造的なプロジェクトを実現するためのインフラとツール構築をいち早く支援することが、Kickstarterの使命であり、事業上でも重要かつエキサイティングな方法であると確信しているとした。

(画像はPixabayより)


▼外部リンク

Kickstarter プレスリリース(公式ブログ発表記事)
https://www.kickstarter.com/articles/

▼ 会社概要
Kickstarterは、世界最大級のクラウドファンディングプラットフォーム事業を展開する米国の企業。クリエイターファーストを掲げ、資金調達支援だけでなく、コミュニティ作りやエコシステムのサポート、クリエイターへのアドバイスやガイド発信なども手がけている。多彩な人材を有し、社内チームが独自にローンチしたプロジェクトも多い。

社名:Kickstarter
CEO:Aziz Hasan
所在地:米国ニューヨーク州ニューヨーク・ブルックリン

関連記事

DIGITALIST会員が
できること

  • 会員限定記事が全て読める
  • 厳選情報をメルマガで確認
  • 同業他社のニュースを閲覧
    ※本機能は、一部ご利用いただけない会員様がいます。

公開終了のお知らせ

2024年1月24日以降に
ウェブサイトの公開を終了いたします