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海外 公開日: 2021.07.25

Armが超薄型の折り曲げられる「PlasticArm」を開発、IoT分野への活用に期待

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▼ ニュースのポイント
①Armがフレキシブルな最新プロセッサの製造に成功した。
②超低コストで複雑性は12倍、大きな技術的前進
③日常に溶け込むIoTなどヘルスケア領域を中心に導入推進を見込む。

フレキシブル・エレクトロニクスの真の実現へ

 Armは英国時間の7月21日、折り曲げたり変形させたりすることができる非シリコン製の最新マイクロプロセッサ「PlasticArm」の開発・製造に成功したことを発表した。今後、本格的な実用化を見据え、さらなる研究開発を進めていく。

 これまで各種センサーやメモリ、発光ダイオードなど、製品を形成するいくつかの部品においては、フレキシブルなものが試作されてきたものの、完全にフレキシブルな電子デバイス製品を実現するには、自在に折り曲げることなどができるマイクロプロセッサが必要で、その開発が大きなハードルとなってきた。

 Arm Researchでは、Armベースでこのフレキシブルなプロセッサを実現すべく、2013年にPlagmatICとの共同開発研究を開始、リングオシレーターやカウンター、シフトレジスタアレイなどの回路を試作し、2015年に最初の「PlasticArm」を生み出していた。

 しかしこの段階では、まだ技術上、製造上のさまざまな制約から、完全に動作する部品として作り出すことはできなかったという。

 その後、開発チームはいったん「PlasticArmPit」という、特定の匂い検出を行う「e-nose」の製造を目的としたプロジェクトに焦点を移し、産学連携でデザイン技術の最適化プロセスなどに取り組んできた。

 この間に、PragmatICからは「FlexLogIC」製造システムが発売され、同じツールフローやプロセス技術を用いている「PlasticArmPit」プロジェクトで得られた成果と合わせた結果、世界初の非シリコンArmプロセッサである、今回の「PlasticArm」を作ることに成功したとしている。

あらゆるIoTの開発に寄与する発明として期待

 発表された最新の「PlasticArm」は、Cortex-M0ベースのSoCで、128バイトのRAMと456バイトのROMを備える32bitのプロセッサになっている。超薄型のミニマムな仕上がりながら、既存の最先端フレキシブル回路に比べ、約12倍複雑な処理を実行できるという。

 シリコンマイクロプロセッサに比べ、より薄く、自在に変形可能で紙やプラスチック、金属箔などの代替基盤上に作ることができるほか、製造コストも大幅に抑えられるため、IoT市場の発展に大きく寄与するとみられる。

 Armでは、この分野における飛躍的前進を示す技術だとして、開発内容をまとめた論文を発表、Natureの最新号に掲載された。

 本格的に実用化されれば、スマートセンサーやスマートラベル、インテリジェントパッケージングなど、さまざまな用途に活用できるプロセッサになる。

 Armは、この「PlasticArm」により、スマートなライフサイクルの追跡で食品廃棄物を最小限にするなど、持続可能性に貢献する循環型経済の確立を促進させられるほか、とくにヘルスケア領域での貢献が期待されるとする。

 具体的には、皮膚に直接塗布し、使い捨てで利用できるインテリジェントな健康モニタリングシステムの構築などが可能とみている。私たちの日常生活を大きく変えるような、IoTの未来がまた一歩近づいたようだ。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Arm 公式ブログ発表記事(プレスリリース)
https://community.arm.com/developer/research/b/articles/posts/plasticarm-realising-the-full-potential-of-the-internet-of-things?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=2021_education-r&d-research_mk07-3_arm_na_na_awa&utm_content=blog

▼ 会社概要
Armは英国ケンブリッジに本社を置く半導体IPのリーディング企業。61の国々でビジネスを展開し、同社のテクノロジーを全世界の約7割の人が利用しているとされる。とくに携帯電話市場に強い。2016年にはソフトバンクグループが買収、傘下として話題になったが、2020年にはこれをNVIDIAが買収すると発表している。

社名:Arm Holdings plc
CEO:Simon Segars
所在地:英国イングランド・ケンブリッジ

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