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海外 公開日: 2023.03.19

MicrosoftがGPT-4を組み込んだ「Microsoft 365 Copilot」を発表、DX加速で新産業革命の予感

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▼ ニュースのポイント
①「Microsoft 365」群にGPT-4を組み込んだ統合型生産性支援機能ツールが誕生した。
②使用頻度の高いWordやExcel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどにAIの自動生成能力が加わった衝撃、業務の急速な効率化が進む。
③データ分析を活かした「Business Chat」も発表、新たな知識モデルに。

加速する生成型AIツール開発競争でMicrosoftが新たな一歩

 Microsoftは現地時間の3月16日、次世代AIの力を自社製品群に組み込んだ「Microsoft 365 Copilot」を発表した。

 話題を呼んでいるOpen AIの「GPT-4」を含む大規模言語モデルを活用したもので、「ChatGPT」のように自然言語で指示を行えば、ユーザーがWordやExcel、PowerPointなどで行いたい作業の支援を実行してくれる。「Copilot(副操縦士)」の名が示すように、あらゆる仕事現場の副操縦士として働き、生産性を向上させるツールになるとされる。

 例えばWordでこれを活かすと、従来ならば白紙の状態から仕事を開始していたが、作成したいドキュメントのイメージアイデアを伝え、Copilotに最初のドラフトを作成・提案してもらうところからスタートできる。ユーザーはそれをより完成形に近づけるため、編集・改良を加えればよい。

 ユーザーが書いたものを要約させたり、リライトさせたり、フィードバックを行わせるといったこともできる。あくまで著者としてのコントロール権はユーザーにあるが、書くための情報収集や実際のテキスト執筆、編集作業に要していた時間を大幅に短縮でき、イメージに合うドキュメントを素早く形にして手に入れることが可能となるだろう。

 Excelの場合では、入力されたデータの計算処理を実行したり、数値の傾向分析を行い、グラフなどのビジュアルデータへと変換、数秒で資料作成を完成させたりすることができる。

 またPowerPointならば、ベース資料となるドキュメントからコンテンツを自動追加し、プレゼンテーションの新規作成を行ったり、よりイメージ通りの優れたビジュアルを導入したファイルに改善させたりすることが簡単にできるようになる。



本当に重要な仕事だけに注力

 Microsoftは、現在の私たちの働き方では、本当に重要な核となる20%の仕事に集中したいと思いながら、実に80%の時間をそれ以外の面倒な作業で浪費してしまっていると指摘する。「Copilot」はこの問題を解消し、人々の負担を軽減して生産性を最大化するという。

 Outlookでは、長文メールのスレッドを要約したり、返信メールのドラフトを自動で素早く作成させたりすることができ、さらに膨大なデータが混在する受信トレイの整理もすぐに終えられるようになる。

 Teamsにおいては、あらゆる会議をより生産的にし、いつ誰がどこで何を発言したか、どの部分で意見が一致し、どの部分では対立が生じたか、会議の重要論点は何であったかなど、すぐに整理してアクションアイテムを提案、会議が進行するまさにその最中に、話し合いや共同作業の支援、議事録作成などを行ってくれる。

 ほかに「Copilot in Power Platform」を用いれば、現場で生じている反復作業を自動化し、それに合ったオリジナルのチャットボットを作成、効率化に寄与するアプリのアイデアを誰でも数分で形にできるようになるという。

「Business Chat」で秘書的機能も強化

 Microsoftはさらに、新たなユーザー支援機能となる「Business Chat」についても発表した。

 「Business Chat」は、Teamsに内蔵する新インターフェースとして導入されるもので、予定表や電子メール、チャット、ドキュメント、会議、連絡先などの各種関連データと、「Microsoft 365」アプリを横断的に連結、ユーザーからの問い合わせや指示に応じる。

 例えば、マーケティング戦略の更新内容についてチームに連絡するよう指示するプロンプトを与えると、会議議事録やドキュメント、電子メール、チャットなどのデータから必要な情報を収集してまとめ、最新の状況を伝える応答を生成して返すといった動きをする。

 「Business Chat」へのアクセスは、Microsoft 365.comや職場のアカウントでサインしているBing、Teamsのいずれからでも可能とされ、これまで活用されていなかった膨大なデータも含め、有用な知識が組織全体を自由に流れる環境を生み出し、優れた洞察の獲得や、最適解を探す時間と手間の削減を図れるようになるとした。

 Copilotは、ユーザーがしたいことをよりスムーズに実行できる力をもたらすものとなる。現状では、ユーザーのほとんどが「Microsoft 365」の数千のコマンドの一部しか使いこなせていない。だが、今後は使われていないが搭載されている機能も含め、最も適したものを、誰もが迅速に自然言語だけで使えるようになる。

 また、ビジネス利用としてセキュリティ面など、エンタープライズ対応の水準にあるかどうかも重要な点となるが、MicrosoftではこのCopilotシステムについて、十分にそのレベルを満たしているとする。

 LLMは、膨大ながら、やはり一面では限界のある限られた言語資料データで訓練されている。ビジネスの生産性向上に使えるものとなるかどうかは、LLMとビジネスデータを安全かつ正確に、適切で文脈に沿った接続ができるか、コンプライアンスの配慮やプライバシー保護と両立できるかといった点に左右される。

 その点で「Microsoft 365 Copilot」は、ユーザーの所有するコンテンツとMicrosoft Graphの持つコンテキスト情報の両方にリアルタイムでアクセスし、適切な回答を安全に導き出す。

 また「Microsoft 365」に統合されたものであるため、すでにこれを用いている企業ならば、重要なセキュリティやコンプライアンス、プライバシーに関するポリシー、プロセスの全てを自動的に継承するものとなる。二要素認証やコンプライアンス境界、プライバシー保護といったMicrosoftの包括的アプローチがそのまま機能するソリューション、信頼できる使いやすいAIになる。

 潜在的な有害性などについても、これまでのレビューを活かし、データの偏りを検出、修正を施しているといい、専門知識に基づいたレビュー、ファクトチェック、調整・修正などをユーザーに促すプロンプトでも、システムによる判断の根拠を明確化、責任あるAI構築を図っているとした。

 Microsoftでは、Copilotを、私たちの働き方を根本的に変え、生産性向上の新たな波を起こすものと位置づけており、その提供に自信をみせている。

 今後Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams、Viva、Power Platformなど全アプリケーションに導入される予定で、価格やライセンスなど詳細が近日中に公開されるという。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Microsoft プレスリリース
https://blogs.microsoft.com/blog/2023/03/16/

▼ 会社概要
Microsoftは、米国のコンピュータソフトウェア会社で、世界最大手のテクノロジー企業のひとつ。代表的製品に「Windows」シリーズ、オフィスソフト「Microsoft Office」、ウェブブラウザの「Internet Explorer」などがある。2000年以降は家庭用ゲーム機の「Xbox」、検索エンジン「Bing」、クラウドサービスの「Azure」などを投入してきた。2015年には「Microsoft Edge」を開発、展開開始としている。

社名:Microsoft Corporation
CEO:Satya Nadella
所在地:米国・One Microsoft Way, Redmond, Washington

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