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海外 公開日: 2022.01.28

Metaが世界最速級のAIスパコンを構築中、AIの実世界導入へより現実味

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▼ ニュースのポイント
①Metaが16,000個ものGPUを搭載した世界最速級AIスーパーコンピュータの構築を進めていることを明らかにした。
②2022年中には現在の性能からさらに2.5倍に引き上げる計画で開発している。
③マルチモーダルAIなど新次元のプロジェクト、本格的な実用性ある高度AIモデルの実現へ。

人工知能タスク向けで最速レベルのスーパーコンピュータ

 Metaは米国時間の24日、現在稼働中のAIスーパーコンピュータの中で最速となる、強力な演算能力を有した独自の新型コンピュータ「AI Research SuperCluster(RSC)」を構築中であることを発表した。

 すでに稼働を開始させているが、2022年半ばには性能をさらに約2.5倍引き上げ、16,000個のGPUを搭載した世界最速のAIスーパーコンピュータとして完全なる構築を遂げる見通しという。



 次世代の高度なAIを開発するには、1秒間に数十億回といった膨大な演算処理が行える計算用に特化した、強力な新型コンピュータが欠かせない。

 Metaの「AI Research SuperCluster」は、そうした新型コンピュータの完成を目指して開発が進められているもので、Metaの研究者らは、すでにこのRSCを用い、自然言語処理やコンピュータビジョンの大規模モデル学習を開始させている。将来的には数兆ものパラメータを持つモデルの学習が行える状態を目指しているという。

 RSCを使えば、何兆もの事例データから学習し、何百もの異なる言語で動作、テキストや画像、動画といったマルチデータをシームレスに分析し、新たな拡張現実ツールを開発するなど、優れたAIモデルの構築がサポートされるようになる。

 コンピュータビジョン、自然言語処理、音声認識など、あらゆる高度AI開発で必要な最大モデルの訓練が行えるものになるということだ。

 Metaが注力するメタバース向けの技術構築に向けた道を拓くものでもあり、そこではAI駆動のアプリケーションや製品が重要な役割を果たしていくだろうとされている。

 現在の仕様は、6,080個のGPUを760台の「NVIDIA DGX A100」システムに収めたものとなっており、その処理能力は同じNVIDIAのGPUを6,000個以上搭載する、現在世界5位に位置するローレンス・バークレー国立研究所のスパコン「Perlmutter」に匹敵する性能レベルとされる。

 なおストレージ層には、175ペタバイトの「Pure Storage FlashArray」、46ペタバイトの「Penguin Computing Altus」システムのキャッシュストレージ、10ペタバイトの「Pure Storage FlashBlade」を搭載する。

 初期ベンチマークでは、これまでのMetaが保有する生産・研究インフラに比べ、コンピュータビジョンのワークフローは最大20倍、NVIDIA Collective Communication Library(NCCL)が9倍以上、大規模NLPモデルの学習が3倍速く実行できることが確認されている。

 つまり、これは数百億のパラメータを持つモデルであっても、従来9週間の時間を要していたところ、3週間で学習を終えられるようになったことを示す。

 しかしこれも第1フェーズであり、さらにここから第2フェーズとして増強を行い、これまでの展開ネットワークとして最大級となる16,000個のGPUを接続、毎秒16テラバイトの学習データに対応するキャッシュとストレージシステムも設計・搭載し、1エクサバイトまで拡張させる計画となっている。

Facebookの有害コンテンツ特定などにも活用か

 Metaでは、今後このRSCを用い、単純な1種類の入力データではなく、音や画像、動きの組み合わせから結論を導き出すマルチモーダルAIなどの開発・研究プロジェクトを進めていく方針としている。

 Facebookの大きな懸案事項となっている有害コンテンツの識別なども重要なユースケースとして挙げられた。さらに自然言語処理でも、より多くの言語、方言、アクセントをカバーするなど、多様な分野での進歩を実現、実世界で新次元のAIを人々が活用し、有用なタスクを達成できるようにしていくとした。

 学習データのセキュリティやプライバシー管理といった保護面についても見直しを徹底、オープンソースや一般公開データセットのみを用いていたこれまでのAI研究インフラとは異なり、RSCでは、Metaのプロダクションシステムにおける実例を含められるようにすることで、研究成果を効果的に実践、実社会へと移せるようサポートしているという。

 Metaでは、このようにAI研究開発として、大規模にパフォーマンスと信頼性、セキュリティ、プライバシーの各方面への取り組みを行ったのは、業界でも初のことになるのではないかとも説明する。

 このRSC開発においては、現在も続く新型コロナウイルスのパンデミック発生も大きな影響を与える要素となったが、完全なリモートプロジェクトとしてスタートさせながら、担当チームは1年半ほどでシンプルな共有文書から、現状のように機能するクラスタにまで発展させることに成功したという。

 サプライチェーンの問題もあり、その道のりは平坦なものでは決してなかったが、このような状況下でも、RSC構築を実現できたことに、チームは誇りを持っていることも紹介された。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Meta プレスリリース
https://ai.facebook.com/blog/ai-rsc/

▼ 会社概要
Metaは、旧称Facebook, Inc.の米テクノロジーコングロマリット。同国情報技術産業のビッグ5を構成する企業のひとつで、旧社名に用いられたSNS「Facebook」を中心に、InstagramやWhatsApp、Oculus VRなど買収した企業の製品・サービス提供も幅広く手がけている。現在は今後成長が見込まれるメタバース開発を事業の核に据えるとの方針を示している。

社名:Meta Platforms, Inc.
CEO:Mark Zuckerberg
所在地:カリフォルニア州メンローパーク

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