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海外 公開日: 2022.06.26

IBMが広告バイアス排除のためのオープンソースツールを公開、より正確なデータ活用へ

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▼ ニュースのポイント
①IBMが懸念の広がるデータセットの偏りを軽減する「Advertising Toolkit for AI Fairness 360」を無料オープンソースで公開した。
②AI活用の広告テクノロジーにおけるアルゴリズムバイアスなどの対策として有効。
③大手企業や団体を巻き込んだ活動へと発展する見通し。

思い込みがAIテクノロジーの可能性を破壊する

 IBMは6月20日、マーケティングキャンペーンの公平性を向上させ、広告テクノロジーにおけるバイアスの軽減に取り組む活動を本格的に開始させたことを明らかにした。「Cannes Lions International Festival of Creativity 2022」内で発表されたイニシアティブで、主要広告代理店や大手企業、業界団体など、同業界のリーダーらを集め、ともに活動を推進していくとする。

 IBMとしては、そのための大きな一歩となる「Advertising Toolkit for AI Fairness 360」を開発、同日より無償のオープンソースソリューションとして提供を開始している。



 AI関連の開発・応用でよく知られる問題のひとつに、アルゴリズムのバイアスがある。トレーニングの段階で偏りのあるデータをAIに学習させてしまうことにより、出力結果も公平性が失われた偏ったものになってしまうという問題だ。

 開発工程などに関わる人間の無意識的な思い込みや判断が機械学習アルゴリズムに組み込まれ、結果として特定の集団が不利益を被るようになるなど、技術進歩が生み出した新たな倫理問題・社会問題としても注目されている。

 IBMでは、こうしたアルゴリズムのバイアスがデジタル広告テクノロジーにおいても、大きなマイナス影響を与えうる問題になっていることを、2021年に開始した研究活動における初期調査結果で確認している。

 一方で、マーケティングプロセスにおけるAIツールやリソースの活用により、望ましくないバイアスを軽減することが可能であることも確認した。

 広告キャンペーンバイアスの潜在的影響をさらに深く理解していくためには、より多くの業界参加とデータ収集が不可欠だが、この事実を広めて認識の促進、意識の向上を訴えていくことで、問題を乗り越えていけるだろうとの見解を示している。

使い勝手にも配慮した専用ツールでより深く正確なオーディエンス理解へ

 IBMが無償リリースした「Advertising Toolkit for AI Fairness 360」は、75の構成指標と13の最新アルゴリズムを展開、離散データセットにおける偏りの特定と軽減を支援するツール。使い勝手を良くするため、プレイブックとサンプルコードも付属させた。

 ツールキットとして活用すれば、自社の広告キャンペーンに存在する潜在的バイアスやその影響、オーディエンス構成について、より深い理解を得ることができるとされる。

 データを正しく利用することで、広告主は消費者とのエンゲージメントを適切にパーソナライズし、最も関連性の高いタッチポイントを特定してアプローチすることが可能になる。それは売上の目標達成など、商業的成果の向上につながるだろう。

 消費者側にとっても、自身らの情報を各ブランドが公正な方法で使用し、不当なターゲティング対象や排除対象となるリスクが大幅に軽減されることは望ましいことであるに違いない。

 IBMでは、広告バイアスは多くの場合、意図的ではなく、人間の思い込みによる仮定や判断の結果であって、それによるキャンペーンの失敗は誰も望まぬものであることを強調、一方でテクノロジーとデータの実社会活用が加速するにつれ、バイアスリスクが増幅しているとした。

 Salesforceによる2022年の「State of the Connected Customer」調査では、調査対象者の約62%がAIのバイアスを懸念していると回答し、2年前の同調査における54%から増加してきていることが判明した。だがその危機意識はまだ十分とはいえず、ブランド広告主や代理店は今後、この影響をより真摯に深く理解することが必要になると強調されており、IBMはこの見解も引用して対応の必要性を訴えている。

 広告業界がプライバシーや透明性をめぐる問題と直面し続けていることはもちろんだが、アドテクノロジーにおけるバイアスへの取り組みは、今後マーケターにとっての重要分野になってくるとみられる。

 2021年に全世界で1兆ドル近い額がデジタル広告に費やされ、その多くが特定のオーディエンスをセグメント化し、ターゲティングするプログラマティックエンジンを通じて流れたものであることを考えれば、その重要性は明らかであり、透明性を確保しながら効果を維持するため、消費者との信頼関係を再構築するため、不可欠な取り組みになるともした。

 IBMでは、活動を推進するため、企業や団体に対し、発表したイニシアティブ「Advertising Fairness Pledge」への参加を広く呼びかけている。すでに参加を表明しているメンバーには、デルタ航空(Delta Air Lines)や、大手マーケティング会社のMindshare、その親会社であるWPP、米国広告業協会(4As)、Interactive Advertising Bureau(IAB)、米国公共広告協会(Ad Council)などの名がある。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

IBM プレスリリース
https://newsroom.ibm.com/2022-06-20

▼ 会社概要
IBMは、ハイブリッドクラウドやAI、ソフトウェア、コンサルティング事業などを展開するテクノロジー企業。世界175カ国以上に顧客を持つ多国籍企業で、金融・通信・ヘルスケアといった重要インフラ領域でも3,000近い政府機関や企業団体が同社のプラットフォームを活用している。愛称はビッグブルー。

社名:International Business Machines Corporation
CEO:Arvind Krishna
所在地:米国・Armonk, New York

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