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海外 公開日: 2022.06.27

BMWグループが全車両工場を3Dレーザースキャン、デジタルツイン活用で生産性向上へ

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▼ ニュースのポイント
①BMWが世界中の全車両工場で3Dスキャンを実施、現実世界と仮想世界の融合で生産性向上を図ると発表した。
②推進中の「BMW iFACTORY」の中核をなすもので、NavVis協力のもと工場全領域をデータ化、バーチャル工場を作る。
③生産システム全体の計画・シミュレーションを仮想化、時間や場所を越えたコラボレーションも。

工場の運用管理は新時代へ

 BMWグループは現地時間の6月21日、2023年初頭にも、全世界に存在する同社グループの車両工場について、3Dデジタルスキャンを行い、デジタルデータ化を完了させる予定であることを発表した。

 現実世界と仮想世界を体系的に融合させ、工場のデジタルツインを用いることにより、将来の大規模な新規生産計画と既存工場構造の小規模改造、設備運用まで、最も効率的に、柔軟かつ正確な展開を行っていくとしている。



 このバーチャル工場プランニングは、BMWが生産戦略ビジョンとして打ち出し、現在推進中の「BMW iFACTORY」における中核をなすもの。データサイエンスや人工知能と並び、力点を置いている取り組みで、あらゆるプロセスと生産システム全体のプランニングやシミュレーションについて、100%バーチャルへと移行させることを目指している。

 バーチャル化により、異なる拠点間や異なるタイムゾーン間でのリアルタイムコラボレーションも可能となり、全プロセスのプランニングが、これまでにないレベルで最適化できるようになるという。計画に要していた労力や資本支出を削減すると同時に、新規立ち上げ時のプロセスにおける効率性と安定性を大いに高めることができるとみられている。

 3Dスキャンは、ミュンヘンを拠点とする新興企業・NavVisの協力を得て進められている。同社は現実世界のキャプチャとデジタルツインの分野において、世界有数の技術プロバイダーと目されている企業だ。

 作業にはモバイル3Dレーザースキャナーやドローンシステムを用い、BMWグループに属する全車両工場の全ての建物構造、設備、屋外エリアを含む細部までスキャン、きわめて正確で写実的なパノラマ画像、フロアプラン、スキャッタープロットをデータとして作成していくことを予定している。

プラットフォームには「Omniverse」を採用

 バーチャル工場作成においては、NVIDIAと協力し、同社のメタバース開発ツールである「Omniverse」プラットフォームを採用、作業を進めていくとする。

 完成後には、プランナーがいつでもどこからでもグループ工場をバーチャルに歩き回ることが可能となり、シミュレーション世界でともに生産システムを開発、ベストプラクティスを比較し、ネットワーク内で迅速かつ簡単にその情報を共有できるようになる。

 プロセスの個々の部分を切り出し、外部のサプライヤーへ提供することもでき、社内外のインタフェース連携を向上、さらに生産計画時の時間と労力の節約が叶うものとなり、計画ミスもなくしていけるとした。

 BMWグループでは2020年11月以降、こうしたスキャン作業を進めてきており、約400万平米の屋内空間と900万平米の屋外空間について、デジタルデータ化を完了させている。これにより、米国のスパータンバーグ工場、ミュンヘンの主要工場、レーゲンスブルク工場においては、すでにデジタルツインが利用可能となっているという。

 さらにディンゴルフィング工場、ライプツィヒ工場、中国の鉄西工場で今年9月までに撮影が完了する見通しとされ、2023年春までにはメキシコ、南アフリカ、英国、中国の大同にあるグループ工場でも、デジタルデータが利用可能になる予定であることが発表された。

 これら収集、蓄積された膨大なデータから、「NavVis IVION Enterprise」プラットフォーム上にデジタルツインが作成される予定だ。



 現時点で約15,000人のBMW社員が、クラウドとブラウザベースのソフトウェア「BMW Factory Viewer」を通じ、このデータの活用ができるようにもなっている。このソフトを使えば、数回のクリックだけで既存工場のバーチャル検査を完了させられ、POIs(ポイント・オブ・インタレスト)で見出した生産の特定ポイントにおける高精度測定も実行できるとされる。

 今後は生産ラインの改造プロジェクトに関しても、再スキャンプロセスを用い、簡単に、素早くデジタルワールドへ移行、計画の最適化・効率化などに活かされていく見通しだ。

 また、追加の人的労力をかけることなく、デジタルマスターデータを長期的に、最新の状態で保つため、独自の自律型スキャンロボットについても、開発に着手していることが明かされた。こうした取り組みにおいては、グループ子会社であるIDEALWORK社が開発した「Smart Transport Robot(STR)」などの社内ソリューションが活用されている。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

BMWグループ プレスリリース
https://www.press.bmwgroup.com/global/article/

▼ 会社概要
BMW(バイエルン発動機製造株式会社)は、1916年に設立されたドイツの自動車、自動二輪車、エンジンメーカー。英国のロールスロイスとMINIを傘下のカーブランドとして持つ。現在、世界15カ国に31の生産・組立拠点施設とグローバルな販売網を有し、最新テクノロジーとサステイナビリティで業界を牽引する企業ともなっている。

社名:Bayerische Motoren Werke AG
CEO:Oliver Zipse
所在地:ドイツ・バイエルン州ミュンヘン

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