海外
公開日: 2021.02.17
HPE、商用エッジコンピューティングで宇宙探査へ
NASAと「Spaceborne Computer-2」を打ち上げ
Hewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間の2月11日、米航空宇宙局(NASA)とともに、2月20日に「Spaceborne Computer-2」の打ち上げを行い、高度な商用エッジコンピューティングによる宇宙空間でのリアルタイムデータ処理を開始すると発表した。宇宙探査の加速化を図る。国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士らは、このHPEによるエッジコンピューティングシステムを用い、医療用画像の処理やDNAシーケンス処理、さまざまな遠隔センサーや人工衛星から得られるデータの分析・解明など、実験ミッションをよりスピーディに行えるようになり、これまで数カ月かかっていた処理を数分で終えられるようになるという。
地球とのデータ送受信も遅延なく実行可能になる見通しで、2月20日、第15回の「Northrop Grumman Resupply」ミッションで無事軌道に打ち上げられれば、今後2~3年間はISSで利用されるものとなる。

初代の知見を基に開発
今回の「Spaceborne Computer-2」は、2017年に打ち上げられた初代「Spaceborne Computer」で得られた知見が開発の基となっている。初代はNASAとの提携で開発され、1年間ISSで運用、概念実証実験がなされるものとなっていた。ここでは、地球で用いられている手頃な商用サーバーで、専用に設計されたソフトウェアベースの強化機能を搭載したものが、打ち上げに伴う振動に耐えられるか、またISSでシームレスに稼働できるかテストすることが主な目的だった。
テストは成功裏に終わり、ISSの無重力環境や高い放射線レベルといった、コンピューティング技術をホストするためのITデバイスが損傷されてしまう可能性の高い過酷な環境にも耐え、これまで実現不可能だったISSや地球低軌道(LEO)でのコンピューティング機能提供へ道が開けることとなった。
より高度なシステムを搭載する「Spaceborne Computer-2」は、さらに信頼性の高い通信が求められる月や火星などへの有人宇宙旅行をサポートするものになる可能性も秘めているという。
最先端技術が変える宇宙科学
「Spaceborne Computer-2」には、HPE Edgeline Converged EdgeシステムとHPE ProLiantサーバーを搭載した専用のエッジコンピューティングが採用されており、2倍の計算速度を実現、衛星などから膨大なデータを取り込み、リアルタイムで処理することができる。また、地球上の極地の氷冠や医療用X線画像撮影など、高い画像解像度を必要とする画像集約型データを効率良く処理するためのGPUが搭載される予定で、このGPU機能はAIや機械学習を用いた特定のプロジェクトにも対応させていくとものとされた。
宇宙から交通動向をモニタリングしたり、大気中の排出物や汚染物質レベルを測定、大気の質をリアルタイムでチェックしたり、飛行機からミサイル発射まで宇宙空間や大気圏内を移動する物体を追跡するといったことも可能になる。
なおHPEでは、この「Spaceborne Computer-2」で、Microsoftによる「Azure Space」の取り組みと連携することも新たに発表した。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
Hewlett Packard Enterprise プレスリリース
https://www.hpe.com/
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