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海外 公開日: 2021.09.01

Cruiseが農家から買い取った太陽光発電電力を動力源とする取り組みを開始、環境保護と農家の新収益源で未来の交通を作る!

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▼ ニュースのポイント
①Cruiseが「Farm to Fleet」という新プロジェクトを開始した。
②農場設置の太陽光発電システムで得られたエネルギーを自動運転車や電気自動車の動力源にする。
③二酸化炭素の排出量削減と経済的利益の確保、便利な交通インフラの全てを実現させることが目標。

農場と自動運転車をつなぐ?!革新的アイデアが変える社会

 Cruiseは米国時間の8月25日、「Farm to Fleet」という新たな取り組みを開始したことを発表した。カリフォルニア州セントラルバレーの農場に設置された太陽光発電システムから、生み出されたエネルギーを調達し、Cruiseの手がける自動運転車へと供給するというプログラムで、あらゆる人々にクリーンな交通手段を、より持続可能で安全・便利なインフラとエネルギーの仕組みを、構築し提供することを目指している。



 「Farm to Fleet」では、農場における太陽光発電を手がけるSundale VineyardsとMoonlightから直接再生可能エネルギーのクレジットを購入し、サンフランシスコで走行する自動運転車や電気自動車の動力源として利用する。

 Sundale VineyardsとMoonlightは、低排出ガスの農機具や低灌漑の仕組み、環境にやさしい高度冷蔵倉庫などへの投資を進めており、農場への太陽光発電導入も積極的に手がけてきた。

 Sundale Vineyardsは2メガワットの太陽光発電設備を導入し、20万平方フィートの低温貯蔵庫へと電力を供給、Moonlightは3.9メガワットの太陽光発電電池と蓄電池システムを設置し、最先端の仕分け・保管施設で使うエネルギーの50%以上を賄うなどしているという。

 Cruiseは、このような2社の仕組みで生み出されている再生可能エネルギークレジット(REC)を購入・調達し、「Farm to Fleet」の取り組みで活かす。Cruiseでは、2019年に電気自動車の導入だけでなく、その車両を100%再生可能エネルギーで駆動させていくことを打ち出した。

 「Farm to Fleet」はこれを実現する取り組みであるとともに、同様の仕組みを広く社会的に導入していけば、都市部の交通機関における二酸化炭素など温室効果ガスの排出量削減と、農村・農家に作物の収穫量や市場価格に依存しない新たな収益源をもたらすものとなることが期待されている。

二重の意味で農業を守り、人々の暮らしをより豊かにする!

 最先端技術とデータの活用により、二酸化炭素の排出量削減を推進するクリーンエネルギー関連の技術を持ったBTR Energyの協力のもと、Cruiseが試算した「Farm to Fleet」の社会的影響も具体的な数値で発表された。

 それによると、車両走行距離の伸びが比較的緩やかな想定であっても、このように農場から得た再生可能エネルギーを全ての電気自動車における動力源とすれば、2030年までにカリフォルニア州として年間550万トンものCO2を削減できることが判明したという。これはカリフォルニア州が掲げる排出量削減目標達成のため、必要な総量の22%を占める量だ。

 また経済的利益も大きく、「Farm to Fleet」の収益は2025年で1,330万~2,250万ドル、2035年には7,440万~1億420万ドルにもなると見込まれた。農村や農家に還元される利益としても、非常に大きなものになるとみられる。

 物流や移動の手段として欠かすことのできない交通インフラ、その車両走行が再生可能エネルギーによって支えられ、農業を守るもとにもなり、互いが持続可能な仕組みで回転するようになる、「Farm to Fleet」はそうした未来を提案するものとなっている。

 異常気象や人々のライフスタイルの変化により、電力需要は高まる一方で、エネルギー源の確保は世界中の課題となって久しい。また、気候変動の影響によるとみられる深刻な水不足や干ばつ、対極的な集中豪雨は、いずれも農家に多大な被害をもたらし、生産を継続することが困難になるほどの打撃を与えている。

 「Farm to Fleet」の仕組みは、環境の保護による将来の農業を含む資源の持続可能性向上と、農村を経済面から支える具体的で直接的な方法となることで、二重の農家保護になると考えられる。

 Cruiseは、自社の開発する自動運転車や電気自動車を導入するメリットを、交通としての即時利便性だけでなく、地域社会を広く支えるものとしてアピールし、社会の脱炭素化、経済発展と新たな雇用の創出にも貢献すると提案できる。

 革新的でクリエイティブなアプローチがより良い未来を引き寄せる取り組みとして、今後の広がりに期待したい。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Cruise プレスリリース
https://www.getcruise.com/news/

▼ 会社概要
Cruiseはゼネラルモーターズ(GM)の傘下で自動運転の開発を行っている企業。すでに各地で公道での試験走行を重ねており、2018年には2019年までにレベル4の自動運転車「Cruise AV」を生産する準備が整ったとも発表している。自動車メーカー系で自動運転開発における世界のリーダー的存在。

社名:GM Cruise Holdings LLC
CEO:Kyle Vogt
所在地:San Francisco, CA, U.S.

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