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海外 公開日: 2022.11.09

GoogleがAIに関する最新の取り組み3つを発表、責任ある開発で社会をより良く

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▼ ニュースのポイント
①GoogleがAI開発の最新動向について3領域の取り組みを明らかにした。
②世界1,000言語への対応やクリエイティビティへの挑戦、気候変動問題への対策などが挙がっている。
③AIに関し、リスクを考えた責任ある開発と導入を推進することも強調している。

GoogleのAIで何ができるようになる?

 Googleは現地時間の11月2日、現在、自社で進めているさまざまなAIの進歩について、その最新動向を伝える発表を行った。AIに対するGoogleの基本姿勢も改めて明らかにしている。

 Googleは、まずAIについて、新たなテクノロジーとして、それがもたらす課題やリスクを認識し、何よりも世界の人々を助けるための技術として確立させること、「責任あるAI」に焦点を当てた開発と導入を推進すべく、AI原則を明らかにし、その運用を開始していることを強調した。

 また、AIを正しく使っていくには、研究者だけでなく、関連する専門家、開発者、コミュニティのメンバー、企業、政府、一般市民まで広く巻き込んだ集団的な取り組みが欠かせないともした。



 その上で、今回は3つの革新的領域における最新動向が発表されている。第1は、AIを用い、最新技術をより多くの言語で簡単に利用できるようにするもの。具体的には、サポート言語を1,000言語にまで拡充させる。

 言語は、人々が日々用いる基本的なものであり、コミュニケーションや世界の理解に不可欠なものである。よってテクノロジーに関わる際も、言語を媒介とするのが最も自然で、誰にとってもその技術が使いやすいものとなることを意味する。

 世界には7,000を超える言語が存在するが、現在、オンライン上で十分に表現され、利用可能となっている言語は、それらの中のごく一部にすぎない。そのためWeb上のテキストから言語モデルを学習させる従来型のアプローチでは、幅広い言語をサポートし、人々が使い慣れた言語で世界の情報に普遍的にアクセスできるという仕組みを構築することはできない。

 この問題をクリアするため、世界で最も話されている1,000言語をサポートするAIモデルを構築し、提供することを目指しているという。

 実際に現実化させるには、まだ長い年月を要すると見込まれるが、Googleではすでに着実に歩を進め始めており、400以上の言語でトレーニングをした「Universal Speech Model」を開発することに成功している。

 研究開発のため、同社では世界中のコミュニティと協力し、多様な音声データを収集、直近でもアフリカの研究者や組織と協力し、モバイル端末向けキーボードの「Gboard」で、新たに9つのアフリカ言語の音声入力を可能にした。

 また、南アジアでは、地方自治体やNGO、学術機関などと積極的に協力し、取り組みを進めており、最終的には世界のあらゆる地域における方言や言語から、代表的な音声サンプルを収集、AIモデルの構築に活かしていくとしている。

クリエイターの力を引き出すAIも

 機械とクリエイティビティは相性が悪いと考える向きもあるかもしれないが、Googleの見立ては異なり、AIを活用した生成モデルが、これまで不可能だった映像や画像、デザインによる表現を可能にするなど、これまで以上にクリエイターやアーティストの力を引き出すものになるとする。

 Googleの研究者らは、評価する側の人間が、他のモデルよりも好む画像を生成するAIモデルの開発などで業界をリードしてきたが、とくに最近の目覚ましい成果としては、拡散モデルをビデオシーケンスに適用し、テキストプロンプトのシーケンスに対し、長いコヒーレントビデオを生成することに成功したことが挙げられている。

 ブログ発表記事内では、すでに開発された技術を組み合わせ、実際にAIが生成したという超解像動画の公開もなされており、その仕上がりを見ることができる。

 テキストから画像を生成するAIの「Imagen」、「Parti」、テキストから動画を生成する「Imagen Video」、「Phenaki」といったモデルが構築されているが、「AI Test Kitchen」には、テキストから画像への生成テクノロジーが導入される予定で、デモを公開し、新技術に対するフィードバックの場を提供することも開始した。

 2D画像だけでなく、テキストから3Dを生み出すことも目指す。「DreamFusion」はそのひとつで、あらゆる角度から見られる3Dモデルを生成し、多様な3D環境に合成することができるものである。

 このほか、音声を聞くだけでリアルな音声やピアノ曲を作曲することを学習するモデルの「AudioLM」も生み出された。この「AudioLM」は、言語モデルがあるテキストプロンプトに続く単語や文章を予測するのと同様、数秒間のオーディオプロンプトに対し、その後に続くべき音を予測することもできるという。

 Googleでは、これらのツール開発において、世界のクリエイティブなコミュニティと協力関係を結んでおり、最先端の対話システムである「LaMDA」では、これをベースとする「Wordcraft」を用い、実際の作家陣とAIでのテキスト生成実験を進めている。これによって創作された物語の第1巻は、「Wordcraft Writers Workshop」で読むことができる。

深刻化する気候変動問題や健康課題にも対応

 人々の安全な暮らしを守るという面で、Googleでは、気候変動への対応でもAIの活用を目指している。例えば山火事に対し、人工衛星画像を用いてAIモデルを学習、リアルタイムで山火事の特定と追跡を行い、発生や拡大の予測支援を進めている。この山火事追跡システムは、すでに米国・カナダ・メキシコでリリースされ、オーストラリアの一部でも利用可能となっている。

 7月以降、米国とカナダで発生した30以上の大規模な山火事について、Google検索とGoogleマップによる閲覧を通じ、ユーザーや消防隊への情報提供を行ってきた実績も報告された。



 山火事と並ぶ大きな異常気象問題の洪水予測にも、AIが活かされている。いつどこで発生し、水深がどれほどになるかを予測するもので、2021年にはGoogle検索とGoogleマップを通じ、1億1,500万件もの洪水警報通知を2,300万人に発信、人々の命を救うことに貢献した。

 対象地域はアフリカ各地にも拡大されたが、データの少ない地域でも利用可能となるよう、転移学習というAI手法を用いているといい、新たな洪水予測のプラットフォーム「Google FloodHub」のグローバルローンチも発表した。今後はこの情報をGoogle検索やGoogleマップにも取り込み、より多くの人々が安全を確保できるようにサポートするとしている。

 さらに、異常気象から身を守るだけでなく、医療サービスが行き届かない地域までカバーした健康支援、医療アクセス向上にも、AIを役立てようとしている。

 例えば、低価格の超音波診断装置から出力されたデータをAIで読み取り、分析することで、妊娠早期に問題を特定できる手法の研究を進めたり、介護士や公衆衛生機関と提携し、自動網膜疾患評価ツール(ARDA)による糖尿病性網膜症のスクリーニングへのアクセス拡大を図ったりしている。

 さらにAIを用い、スマートフォンで呼吸数や心拍数を検出、日常のヘルスケアサポートを展開することも視野に研究を進めているといい、身近なところでも、人々の健康な暮らしを守る仕組みが構築されていく可能性が示唆された。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

Google 公式ブログ発表記事(プレスリリース)
https://blog.google/technology/ai/

▼ 会社概要
Googleは、インターネット関連サービスと製品を提供する、グローバルな巨大IT企業。2015年以降はAlphabet Inc. の傘下にある子会社の位置づけとなっているが、世界最大の検索エンジンをはじめ、クラウドコンピューティングやソフトウェア、ハードウェア、AI関連事業まで幅広く手がけ、業界を牽引している。

社名:Google LLC
CEO:Sundar Pichai
所在地:米国・Mountain View, California

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