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Trends 公開日: 2021.04.19

Zoom疲れは男性より女性で顕著、SSRNが調査

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▼ニュースのポイント
①コロナ禍で広がった「Zoom」利用による特有の疲労感をスタンフォード大が調査している。
②要因の一部は先行研究で明らかにされているが、男性より女性の方が疲労感が強いと分かった。
③ポイントは自己意識の違いか、年齢別では若年層の方が疲れやすい傾向。

SSRNがZoom疲れに関する興味深い調査結果を発表

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生から、世界でその影響が長期化し、急速に進んだテレワーク化やオンライン授業などにより、人々の間に「Zoom Fatigue(Zoom疲れ)」が広がっていることが注目されている。

 「Zoom疲れ」とは、長時間にわたり互いの顔を見続けるビデオ会議システムを利用した後に残る、特有の強い疲労感のことだ。これについて、Social Science Research Network(SSRN)は4月14日、興味深い最新の調査結果を公開した。

 スタンフォード大学の研究者らによる10,591人を対象にした調査で、女性の方が男性より、Zoomなどのビデオ会議を実施した後、強い疲労感を覚える傾向がはるかに高いことが明らかになったという。



使用時間が長い場合にはセルフビューをオフにするなど工夫を

 この研究調査結果によると、まず発生する「Zoom疲れ」の強さは、日々の使用量と有意に関係することが分かった。長く使用すればそれだけ強い疲労感が発生しやすくなる。

 続いて男性と女性の疲労感について、それぞれの報告を比較したところ、Zoom会議後の疲労感が「とても強い」、「極度に強い」とする人が、男性では5.5%と、約20人に1人であったのに対し、女性の場合では13.8%にのぼり、約7人に1人となっていた。

 Zoom会議の実施回数については、ほぼ男女で違いはなく、同程度となっていたが、Zoom会議の時間は女性の方が平均して長く、会議の間の休憩時間も短い傾向にあった。しかし、これらの要因を考慮しても、分析の結果、有意な男女差が残ったという。

 研究者らは、この男女差が生じた主な原因について、「ビデオ会議中に自分の姿が見えることをどの程度気にするか」、「ビデオ会議中、自分の姿が見えるとどの程度気が散るか」といった質問でみられた男性と女性の回答傾向の違いにあるとする。いずれも女性の方が強く気にする傾向があり、「自己注目」と呼ばれる意識の強さが疲労感につながっていると考えられた。

 自分の姿がどのように見られているか、会話の印象はどうかといったことを気にする自己意識の問題で、Zoomカメラによって自らの姿が画面上に映し出されるため、この「自己注目」が強く引き起こされているとみられる。

 研究チームはこの「Zoom疲れ」を改善・解消するため、自らの姿を映すセルフビューを無効にすることや、1日10分鏡の前に座り、見える自分の姿を自己判断せずオープンに見つめるような瞑想的訓練を行うことを推奨している。

 なお「Zoom疲れ」の発生原因については、スタンフォード大学のチームによる先行研究で、視線への意識が過剰で濃密になることや、常に自らの姿を見ていること、机上に縛られ身体的自由が失われていること、対面でのやりとりでは自然に行えている場の空気を読む行為に過剰なエネルギーが必要となっていることなどが挙げられており、今回もその影響が確認された。

 研究結果では、男女差のほか、人種では有色人種の方が白人よりやや疲労度合いが強いこと、年齢別では若年層の方が、熟年層より疲れを感じやすいことも判明したとされている。

 性格面では、外向的な人の方が内向的な人より疲れにくく、穏やかで精神的に安定している人の方が、神経質な人より疲れにくい傾向にあった。

(画像はPixabayより)


▼外部リンク

Social Science Research Network 研究レポート
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3820035

▼会社概要(団体概要)
Social Science Research Networkはさまざまな論文を掲載しているオープンアクセスのオンラインレポジトリ。1994年に誕生し、初期は経済学、法学、人文科学など社会科学系を専門としていたが、現在は幅広い科学論文を紹介し、主要学術団体や政府機関、研究者らに貴重なサービスを提供している。

団体名:Social Science Research Network
Producer:Elsevier

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