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総務・法務 公開日: 2022.10.13

いまさら聞けないコンプライアンスの意味とは?背景や事例、対策方法を解説

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 コンプライアンス経営という言葉を耳にしたことがあるだろうか?会社を経営する上では、コンプランスの正しい意味を把握しなければならない。

本記事では、コンプライアンスの意味や背景、コンプライアンス違反の事例と対策を紹介していく。コンプライアンスの正しい意味を理解できているかが不安な方は、ぜひご覧いただきたい。

目次

【画像】Shutterstock

コンプライアンスとはどういう意味か?

 コンプライアンスとは、法律や倫理観を守りつつ企業が組織活動をおこなうことを指す。コンプライアンスの日本語訳は「法令遵守」である。だが、実際のコンプライアンスは法令を遵守するだけでなく、就業規則や企業倫理、社会規範まで守る必要がある。

あわせて理解しておきたい用語

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 ここでは、コンプライアンスと同時に理解するべき用語として、コーポレートガバナンスや内部統制について紹介する。

コーポレートガバナンス

 コーポレートガバナンスとは、経営者を監視・監督する仕組みのことである。コーポレートガバナンスによって、経営者の企業内の不正行為の防止や収益力の向上につながり、会社の所有者である株主の利益の最大化を目指すことが可能だ。

 株主の利益を向上させることで、より多くの金額を会社に投資してもらえる可能性が高まる。会社の維持や事業規模拡大のためにも、コーポレートガバナンスの実施は欠かせない。

内部統制

 内部統制とは、会社においてやるべき業務を確実に実施できるようにする内部的なシステムのことだ。企業が内部統制のために構築するべき体制の例として、以下の3つが挙げられる。

●    組織形態の整備
●    社内規定や業務マニュアルの整備
●    社員教育システムの構築

 内部統制を実施する際は、実現可能性があるシステムを構築しなければならない。内部統制を確実に実施するために、以下の5つの手法を同時に決定する。

●    実施する内容
●    実施者
●    実施方法
●    実施の時期や期限
●    内部統制の運用状況を評価する基準や方法

 内部統制を確実に実施し、コンプライアンスを遵守できるようにしていただきたい。

コンプライアンスの適用範囲

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 ここでは、コンプライアンスの適用範囲を3つ紹介する。

法令

 法令とは、法律や条例など国で定められた一定の守る必要があるルールのことである。企業が法令違反すれば、逮捕や損害賠償請求される可能性がある。企業を維持・成長させていくためにも、法令は必ず順守しなければならない。

就業規則

 就業規則とは、社内の決まりや業務の手順など業務を遂行するうえで社員が順守しなければいけない取り決めのことだ。

 労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の社員を雇っている雇用主は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届けなければならない。

 就業規則を変更する際にも、労働基準監督署に届ける必要があるため注意する必要がある。

企業倫理・社会規範

 企業倫理・社会規範とは、企業から求められている価値観や道徳観に基づいた意識のことだ。法律では求められていないものの、顧客や取引先の企業からの信頼を得るためには、企業倫理や社会規範を明確に定める必要がある。

 ハラスメントの防止やジェンダー平等など企業は企業倫理・社会規範に乗っ取って経営をしなければならない。時代の流れによって、社会や社員が求める企業像は変わっていくため、定期的に見直すことも不可欠である。

なぜコンプライアンスが重要なのか?その背景とは

 ここでは、コンプライアンスの重要性を1980~2000年代の時代背景に沿って紹介する。

1980年代

 EDI取引とは、電子的にデータを取引する方法の1つ。特定のデータ変換システムを用いて、請求書や契約書、見積書などの国税関係書類を直接的に相手のシステムに送付する方法のことだ。EDI取引の「EDI」は「電子データ交換」という意味である。

1990年代

 1990年代は、バブルが崩壊して不況に陥ったことが原因で不正融資や粉飾決算などさまざまな企業による不祥事が発生した時代である。

 不安定な社会情勢で人々の不満が蓄積されていることが原因で、徐々にコンプライアンス違反している企業が取り沙汰されるようになった。

2000年代

 2000年代に突入しても数々の企業の不祥事が相次ぎ、2000年代半ばからコンプライアンスが注目されるようになった。

 コンプライアンスが注目されたころは法令順守との意味合いで使用されていたが、最近になって就業規則や企業倫理・社会規範などを指す意味としても定着してきている。

ビジネスシーンでよくあるコンプライアンス違反の例

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 ここでは、ビジネスシーンで起こりかねないコンプライアンス違反の事例を紹介する。

労働問題

 過労死ラインを超えた過重労働やセクハラ・パワハラなどのハラスメントなど、労働者が雇用者から受ける不当な扱いによって受ける肉体的・精神的な苦痛が、労働問題におけるコンプライアンス違反に該当する。

 過重労働に関するコンプライアンス違反は、労働時間だけでなく職場の人間関係やハラスメントなどさまざまな要因が原因となっている場合がある。労働時間を契約通りに戻すだけでなく、過重労働の原因を解決する必要があるだろう。

法令違反

 著作権法違反や食品衛生法など法令で定められた決まりを破ると、コンプライアンス違反になる可能性がある。法令違反をすると、罪の内容によっては逮捕される可能性もあるだろう。法令を遵守し、健全に経営しなければならない。

経理

 架空請求や業務上横領などの不正経理もコンプライアンス違反だ。不正経理をおこなうことで、取引先や関連企業など多方面に被害を与えてしまい、企業が最終的に経営破綻することも珍しくない。

 不正経理を実施することで多方面に迷惑をかけてしまわないよう、十分に気をつける必要がある。

情報漏えい

 企業の情報漏えいの多くは顧客情報の流出やインサイダー取引によるものが多く、取引先や顧客とのトラブルの原因になる。損害賠償請求される可能性もあるため金銭的な影響も高く、企業そのものの信頼を失う可能性もあるだろう。

著作権侵害

 著作権侵害をするとコンプライアンス違反になり、損害賠償請求や書類送検などをされる恐れがある。たとえば、製作元に許可を取らずにキャラクターケーキを製造して販売した場合、著作権侵害に該当してしまう。

社内や家族との会話

 社内や家族との会話で、顧客の個人情報や社内の機密情報を話すと、コンプライアンス違反に該当する。第三者に広まってしまい、情報が拡散する恐れがあるためである。

 法令違反や著作権侵害とは異なり、ふとした会話の流れで社内の機密情報を漏らしてしまう可能性がある。顧客の個人情報や社内の機密情報に関する会話はコンプライアンス違反になり得るため慎重にならなければならない。

社内でコンプライアンス違反が起きる理由とは?

 ここでは、社内でコンプライアンス違反が起きる理由を紹介する。

知識の不足

 知識不足が原因でコンプライアンス違反が起こることもあるだろう。法令に関する十分な知識がなければ、知らない内に社員が法令違反を犯してしまうことも珍しくない。

 経営者のコンプライアンスに関する知識がなければ、社員のコンプライアンス意識は向上しないだろう。会社にとってのコンプライアンスの重要性をあらためて確認するためにも、コンプライアンスに関する勉強をして知識不足を解決する必要がある。

プレッシャー

 過度なノルマ設定をしていれば、プレッシャーからコンプライアンス違反をする社員が出やすくなる傾向にある。

 もちろんプレッシャーに追い詰められたからといってコンプライアンス違反をする社員に問題があるわけだが、社員にプレッシャーを与えて仕事をさせている会社の環境や方針に問題があるともいえるだろう。また、そのようなプレッシャーそのものが精神的な苦痛となり、労働問題におけるコンプライアンス違反に繋がる可能性があるだろう。

 マネジメント層の再教育、社員の目標設定の見直しや評価制度の再構築を行い、会社の方針を改善すると共に環境整備を行う必要があるだろう。

対策不足

 コンプライアンス違反を内部で防ぐ仕組みがないことから、違反が発生していることも考えられる。誰でも簡単に機密情報へアクセスができることや、コンプライアンスを管理する仕組みがないのは、会社の組織体制に問題があるといえる。

 情報セキュリティー対策や会社へ相談窓口を作り、コンプライアンス対策を早急に講じなければならないだろう。

コンプライアンス違反をすることの影響やリスク

 ここでは、コンプライアンス違反することへの影響やリスクを紹介する。

労務リスク

 コンプライアンス違反による労務リスクとしては、長時間労働による労働基準法違反や非正規的な社員に対する不合理な待遇差などが挙げられる。非正規社員に対する待遇差の禁止は、2018年7月6日に公布された「働き方改革」により厳しく定められている。

 労務リスクを違反すると、罰則や損害賠償請求をされる恐れがあるので、会社を引き続き経営するためにも、労務リスクを破らないようにしたい。

契約リスク

 ビジネスにおいて、企業は契約を交わしたうえで取引をするわけであるが、契約内容が法令違反していると大きな損失を被る可能性がある。そのため、契約書を作成した後に契約内容が問題ないかをチェックする体制を整える必要がある。

コンプライアンスを遵守するためにできる対策

 ここでは、コンプライアンスを遵守するためにできる対策を5つ紹介したい。

社内規定やマニュアルの作成

 コンプライアンス違反を防ぐためには、社内規定やマニュアルの作成が欠かせない。たとえば、機密情報のデータの持ち出し禁止や無駄な残業の注意などの対策を徹底することで、コンプライアンスを守ることができる。

 基本原則のガイドラインや罰則規定などを明確に定め、社内に周知することでコンプライアンス違反を防ぎたいところだ。ただ、社内で規定やマニュアルを共有する前に弁護士に監修してもらう必要がある。

社内での相談窓口を設置する

 社内での相談窓口を設定すれば、マネジメント層が気付かない社員の違反行為を把握できる。社内の相談窓口を設定する際は、中立的な立場の職員を配置して、通報したことを周囲へ漏らさないとあらかじめ明記する必要があるだろう。

コンプライアンス研修の定期的な実施

 コンプライアンス研修は、社員にコンプライアンスに関して理解を深めてもらうには欠かせないものだ。専門家を講師として招き、正しいコンプライアンス研修を実施しよう。

 年月が経過するとともに、新たな法律が施行されたり、世間の監視の目が厳しくなったりすることで、コンプライアンスの適用範囲が拡大されているため知識をアップデートする必要がある。コンプライアンス研修を定期的に開始し、コンプライアンス違反の知識を社員に習得してもらう必要がある。

自社のリスクを洗い出して対処

 社内リスクを洗い出してしっかり対処していくことで、コンプライアンス違反を未然に防ぐことにつながる。

 たとえば、中立的な立場の社員に対して長時間労働や残業代の未払いがないかを、役職がない社員へヒアリングしてもらったり、時代錯誤の社内ルールを洗い出したりして改善する必要があるだろう。

 一度コンプライアンス違反を起こしてしまった場合は、二度と起こさないようにリスクの見直しを徹底しよう。

コンプライアンスの推進体制の構築

 コンプライアンス統括部門といったコンプライアンスの推進体制の構築も、対策の1つだ。特に規模が大きい会社の場合は、マネジメント層ですべての社員のコンプライアンス違反の有無を確認することは不可能である。

 コンプライアンス推進体制を構築し、すべての社員がコンプライアンスを守るように対策しなければならない。

コンプライアンスチェックの課題とは

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 ここでは、コンプライアンスチェックの課題を紹介したい。

担当者の負担

 コンプライアンスチェックはデータベース検索や業界団体の問い合わせなど多岐にわたるため、調査業務が担当者の負担になる恐れがある。通常の部署の社員がコンプライアンスチェックをすると、調査業務が通常業務の妨げになりかねない。

 チェック担当者の負担を軽減するためにも、コンプライアンスチェック専門の部署を構築するべきである。

人力チェックによる不備や負担

 コンプライアンスチェックは、人力で違反の有無を確認するため、確認ミスといった不備や担当者の負担が懸念される。コンプライアンスチェック専門の業者を構築し、少しでも人に対する負担を減らすことで、人力チェックによる不備を軽減しよう。

属人的なチェック体制

 属人的なチェック体制も、コンプライアンスチェックの課題といえる。たとえば、社員が反社会勢力との関わりがあるか否かを調査する際には、信頼できる明確なデータがないため判断は個人に委ねられることになる。

コンプライアンス経営に向けて

 今回は、コンプライアンスの意味や背景、対策について紹介した。昨今では、SNSの発展により個人が気軽に情報発信できるようになって些細なことでも批判されやすくなったため、コンプライアンスが一層厳しくなってきている。

 そこで、Sansan株式会社の営業DXサービス「Sansan」のオプション機能「リスクチェックpowered by Refinitiv/KYCC」を取り入れることで、リスクを回避した会社運営が可能だ。コンプライアンスチェック機能を使用することで、名刺相手の企業が危険な企業ではないかをチェックすることができる。詳しくは下記ページを見ていただきたい。

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