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総務・法務 公開日: 2022.11.16

PDF化した請求書の有効性とは? 作成のメリットや書き方を解説

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 電子帳簿保存法が改正され2022年1月から施行された。しかし、その事実を知っていたとしても、PDF化した請求書でどのように法律的な有効性が担保されるのか知らない人がほとんどではないだろうか?本記事ではPDF化された請求書の有効性や書き方について解説する。

【画像】Shutterstock

目次

PDFの請求書の有効性について

 結論から言えば、PDFに限らず、電子的に送付した請求書でも法的な有効性は担保される。請求書において大事なのは契約の当事者が請求内容について合意している事実であって、合意の意思を証明できるのであれば請求書の形式は重要ではないとされている。したがって、一度合意した請求書がPDFである事実をもって無効との主張はできない。

 ただ、お互いの合意があれば良いとはいっても、WordやExcelのようなファイル形式だと改ざんが容易にできてしまうので好ましくない。請求時には合意していても後から請求書を書き換えて「金額が違う」と主張されたら、他の資料と合わせて正しい請求額を立証しなくてはいけない。それは非常に手間がかかるし、他に資料が何も無ければ立証は困難である。したがって、電子的に請求書を送付する際にはできるだけ改ざんしにくい形式で送るのが望ましい。PDFは改ざん防止の機能が付いているので一般的に用いられている。

PDFの請求書の保存方法とは

 PDFの請求書の保存方法は電子帳簿保存法によって一定の要件が定められている。まず、PDFの請求書は保存するときに担保すべき性質は、下記の二点である。

●    真実性
●    可視性

 真実性とは「改ざんが不可能な性質」という意味で、可視性とは「いつでも誰でも判読が可能である性質」という意味だ。これらの確保に必要な具体的要件は主に以下の四つである。

●    保存しているサーバーやシステムなどの操作マニュアルや仕様書などを用意
●    いつでも請求書が閲覧できるように端末やプリンタを用意
●    検索が出来るシステムであること
●    以下の四つのタイムうちのいずれかを満たす
     -スタンプ付きの請求書を受領する
     -タイムスタンプ付きの請求書を受領する
     -訂正・削除の記録が残るシステムの利用
     -訂正・削除の防止に関する規定を備える

PDFの請求書への押印義務はない

【画像】Shutterstock
 PDFの請求書を作る際に押印はどうすればいいのか疑問に思う人が多いかもしれない。しかし、電子化された請求書にも紙の請求書にも、押印による法的な義務はない。請求書に押印するのはあくまでも偽造防止を理由とした通俗的な慣習である。

 しかしながら、押印がある請求書しか受け付けない会社も多い。  どうしても押印が必要な場合は  「電子印鑑」を利用すると良いだろう。電子印鑑は透過PNG形式などで画像化された陰影のことで、PDFの請求書に画像として貼り付けて押印の代わりとするものである。ただし、画像データはいくらでも複製可能なので、電子印鑑に偽造防止の機能はほとんど無いと考えてよいだろう。偽造防止はPDFの機能によって確保するなど、セキュリティ対策を検討する必要がある。

 電子印鑑は以下のような方法で作成可能だ。

●    Web上に公開されている無料ツールを利用する
●    電子印鑑作成サービスを提供しているハンコ業者に頼む
●    スキャナーと画像編集ソフトを使って自作する

請求書をPDFで作成するメリット・デメリット

 PDFで請求書を作成すると紙の請求書とは異なるメリットとデメリットがある。

請求書をPDFで作成するメリット

請求書発行の効率化
 請求書を紙で発行すると書類の印刷、押印、封入、宛名書きなどの手間が発生するが、PDFの請求書ならそれらの手間を省くことができる。インク代や封筒代などのコストも削減可能である。

請求書の再発行や修正がすぐにでき
 送った請求書を取引先がうっかり紛失してしまった場合や、請求書の記載項目にミスがあった場合などに、PDFならば再発行や修正がすぐに可能である。紙の請求書は作り直して印刷し、再び郵便で送らなければならない。

相手が受け取るまでの時間が短い
 メールの場合は一瞬で相手に送信できるが、郵便の場合は日数がかかる。

保管場所を取らない
 紙の請求書の場合、物理的な保管スペースが必要になる。PDFの場合は電子データなので必要な物理的スペースは少なく、さらに保管にクラウドサービスを利用すれば物理的スペースをゼロにできる。  

請求書をPDFで作成するデメリット

最低限のITリテラシーが必要
 PDFの請求書はPCを使って作るので、少なくともExcelなどのOfficeアプリやクラウド請求書作成サービスなどを使いこなせる程度のITリテラシーが必要になる。今まで紙媒体しか扱った経験がなく、IT化が遅れている企業は導入が難航する恐れがある。

取引先が受領してくれない場合がある
 自社が請求書をPDFで発行しても、取引先が紙の請求書しか受け付けていない可能性もあり、その場合は印刷して送るしかない。

PDFの請求書とインボイス制度

 ここでインボイス制度について触れておきたい。インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」とも呼ばれ、2023年から施行される。インボイス制度が施行されると、一定の要件を満たす「適格請求書」に基づく消費税しか仕入税額控除として計上できなくなる。

 適格請求書は税務署に届出をした適格請求書発行事業者しか発行できないので、それまでに届出を済ます必要がある。また、適格請求書には書かなければいけない項目が定められており、それは以下の通りである。
 インボイス制度が開始される2023年9月30日までは現在  の請求書と同じでかまわないが、2023年10月1日からは「税率ごとの消費税額」や「適格請求書事業者登録番号」などを記載しなければならない。もし要件を満たさなかった場合には適格請求書とはみなされず、受領した取引先はこの請求書に基づく仕入税額控除を受けられなくなる。

 インボイス制度が始まると記載項目が増え、発行側も受領側も事務作業の負荷増大が懸念される。その対策として、再発行や修正がすぐに可能なPDFなどの請求書電子化を早めに導入することをおすすめする。  

PDFの請求書を作成する際の注意点

【画像】Shutterstock
 PDFで請求書を発行する際にはいくつか注意点がある。取引先とのトラブルを防止するためにも気をつけていただきたい。

注意点①取引先には事前に通知する

 今まで紙媒体の請求書を送っていた取引先に、いきなりPDFの請求書を送付するのは  やめたほうが良いだろう。請求書の有効性については、根拠はお互いの合意であるため  、請求書の形式についても記録に残る形で事前に合意を取っておくべきである。

注意点②情報セキュリティを確保する

 メールで送るときは情報漏えいの懸念があるため、セキュリティが確保された通信プロトコルを用いるべきである。例えばTLS/SSLやS/MIMEを利用すると良い。

注意点③クラウド請求書サービスを利用する

 クラウド請求書サービスの中には取引先のメールアドレスを登録するだけで自動的に請求書をメール送信してくれるものがある。請求書の発行件数が多い場合はこのような自動化サービスを利用すると事務作業の負荷が低減可能である。

電子化された請求書の保管ならBill One(ビルワン)におまかせ

 自社で発行する請求書をPDF化したとしても、紙の請求書しか発行してくれない取引先があった場合、自社で受領後にスキャンして電子化しなければならず、手間がかかる。その作業を代行してくれるのがBill Oneである。

 Bill Oneは電子帳簿保存法にも対応している請求書受領代行業者で、真実性と可視性を確保できるシステムを備えている。2022年1月から施行され  た同法律に対応するためにBill Oneを導入してみてはどうだろうか。

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