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総務・法務 公開日: 2022.04.14

請求書の電子化とは メリットや手間をかけずに実現する方法まで紹介

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 総務・経理部門のテレワークを阻害する要因の一つに請求書の受領や処理業務が挙げられる。本記事では総務・経理部門が抱える請求書業務を、電子化するメリットやペーパーレス化するにあたっての課題、解決できるポイントを解説する。

【画像】Shutterstock

目次

多くの企業が検討を始めている、「請求書の電子化」

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、従来オフラインで行われていた手続きをオンラインで完結させることが社会的に求められている中、テレワーク化においていくつかのハードルが指摘されている。

 2020年に政府は行政手続きから押印を廃止する改革を始めたが、これは行政でも押印などのアナログな紙媒体の手続きが、テレワークの普及を阻害する一因になっていることが伺えるだろう。これは民間企業においても同様で、この傾向は特に経理や総務部門において顕著である。このような部門には紙の請求書の受け取り業務があり、紙の請求書を処理するためだけに出社しなければならない。

 そのため多くの企業が検討を始めているのが「請求書の電子化」である。請求書を電子化することで経理・総務部門のテレワークを促進できる。また、2023年から導入される「インボイス制度」に備えて、請求書の電子化が急務であるという事情もある。
インボイス制度とは
 課税事業者が発行する適格請求書(インボイス)に書かれている税額のみを仕入税額控除の対象にできるという制度である。

 現行の消費税法では売り上げ1000万円以下の事業者は免税事業者となり、消費税を納める義務はない。しかし、それにもかかわらず免税事業者に消費税を払った事業者は仕入税額控除を計上できてしまうのだ。これを不適切だとして改善しようというのがインボイス制度である。
 インボイス制度の実施によって経理・総務部門の業務において大きく変わる点の一つが、「発行側も発行した請求書を保存しなければならない」点だ。現行の制度では受領側が受け取った紙の請求書を保存することが一般的だが、インボイス制度の実施後は、発行側も取引先に発行した請求書を保存しなければならない。というのも、インボイス制度の下では、適格請求書発行事業者として登録を受けた課税事業者は、交付した適格請求書や帳簿を保存することが義務付けられているからだ。経理・総務部門の事務処理の負荷は多くなる。したがって請求書などの管理や保存を効率化するために、請求書の電子化の必要性が高まっている。

請求書を電子化するメリット

【画像】Shutterstock
 請求書の電子化にはさまざまなメリットがある。ここでは代表的なものを五つ紹介する。

(1)コストの削減

 紙の請求書を発行するためにはコストがかかる。具体的には紙代、インク代、送付のための封筒代、そして郵便料金などである。請求書を電子化すると、これらのコストが削減できる。取引先企業が電子化を受容してくれるかどうかや、電子化システムの利用料などは考慮する必要があるが、一般的には請求書の発行数が多い企業ほど電子化によりコストを削減しやすい傾向にある。

(2)業務の効率化

 紙の請求書の送付作業は工数がかかるため、人的コストの面で非効率である。例えば送付作業だけを考えてみても、封筒に入れて宛名を書き、切手を貼って郵便局へ出さなければならない。1枚や2枚ならどうということはないが、請求書の発行が多い企業ほどこれらの業務は担当者に負担をかけている。また、請求書の控えは7年間の保管が義務づけられている。請求書の発行が多い企業は保管スペースを確保するだけでもコストとなる。電子化すると、これらを削減できることになる。

(3)テレワークへの対応

 電子化されたデータであれば、担当者の自宅から管理サービスにアクセスし、業務を行うことが可能となる。紙の請求書の場合は請求書の印刷、封入、郵送のためにわざわざ出社しなければならない。テレワークへの社会的な要求が高まる中、経理・総務部門のテレワークへの対応は急務である。

(4)送付履歴や紹介履歴の保存

 紙の請求書の場合は、送付したはずなのに取引先から「請求書が届いてない」というクレームが来ることがあり得る。郵送の途中で紛失したり、取引先の社内で紛失してしまったり、また自社の担当者が送付したつもりで実は失念しているということもあり得るだろう。しかし、電子化された請求書であれば、作成・送付・訂正・取引先の照会、すべての履歴が保管され、いつでも照会できるため、トラブルを回避しやすくなる。

(5)自動化やテンプレート化ができる

 紙の請求書だと定常的に発生する内容や過去と同一内容のものを発行する際にも必ず人の手で入力しなければならず、自動化をすることが難しい。また郵送作業も人力で行わなければならない。しかし、電子化されたデータだとRPAと組み合わせて大部分を自動化していくことが可能である。また、AI技術を搭載したOCRであれば、請求書データを分析し、一度スキャンしたデータはテンプレート化され、同じ取引先に再び発行する際に大幅に時間が短縮することも可能だ。

請求書の電子化に関連する法律

【画像】Shutterstock
 請求書の電子化は二つの法律によって規定されている。一つは「電子帳簿保存法」、もう一つは「e-文書法」である。

 まず電子帳簿保存法(電帳法)とは、紙の帳簿や書類を電子化するための税務上の要件について規定した法律だ。電子化に当たっての条件が定められている。

 一方、電子帳簿保存法と比べてe-文書法は比較的新しい法律で、今までに紙で保存することが求められていた書類をスキャンして電子化できるように要件を定めたものだ。

 電子帳簿保存法に基づき、請求書の電子データの保存を行うためには「税務署長の承認」「真実性の担保」「可視化の確保」という三つの要件がある。紙の請求書を電子化して保管するには、まず文字通り税務署長の承認を得る必要がある。具体的には社内システムを変更する3カ月前までに所定の用紙で申請書を提出しなければならない。しかしながら、2022年1月の改正以降は、税務署長の承認が不要となるため、電子化へのハードルは大きく下がった。

 また、真実性の担保というのは電子データの改ざんやねつ造が行われていないと証明できなければならないということである。具体的には訂正や加筆、削除の履歴を保存できるシステムを利用すること、帳簿間での整合性を取ることなどが求められる。

 さらに、可視性の確保というのはPCやプリンターなどの端末にいつでも書類のデータを出力して閲覧できるようにしておくことと、取引日付や取引金額などの項目から保存データを検索できる機能が備わっていることである。
※編集部註:上記の「真実性の担保」と「可視性の確保」のため、2022年1月施行の改正電子帳簿保存法において、電子データで受け取った書類は電子で保存することが義務づけられている。しかし、2022年1月1日から2023年12月31日までの期間において、電子帳簿保存法の保存要件に従って電子受領した請求書を電子保存することができなかったことに対して、やむを得ない事情があると税務署長が認め、かつ、該当する請求書について出力書面(整然とした形式・明瞭な状態に限る)を提示または提出できる場合に限って許容される(参照:令和4年度税制改正大綱より)。

請求書を電子化する上で発生する課題

 一般的な概念として、受領した請求書を電子化するには主に二つの方法がある。

(1)紙の請求書を受け取ってから、受領先企業の担当者が電子化する
(2)発行元の企業があらかじめ電子化した請求書を送る

 どちらの方法でも請求書を電子化することが可能であるが、それぞれの方法には課題がある。

(1)紙の請求書を受け取ってから受領先企業の担当者が電子化する場合

 この方法で電子化した際に起こりうる問題としては、自社のみで請求書の電子化業務フローを構築することが難しいという点にある。なぜなら、人力で紙の請求書をスキャンする作業が発生するためである。さらに、スキャンした請求書が必ずしも上記のような真実性や可視性を持つとは限らない。

 多くの場合、紙の書類をスキャンすると画像データで保存される。しかし、画像は文字列で検索することができないため、スキャンして電子化したはいいが真実性や可視性が担保できず、結局電子データはほったらかしにして紙の請求書を探してしまうというような事態に陥るケースも多い。このようなことから、担当者の負担が増加することや電子化のための業務フローが構築できないことが問題点として挙げられる。

(2)発行元の企業があらかじめ電子化した請求書を送る方法の課題

 この方法による電子化の問題点は、自社の請求書の電子化業務が発行元の企業のシステムに依存してしまう点である。いくら自社に請求書電子化の意思があるとしても発行元の企業が電子化に対応してくれなかったらこの方法は使えないことになる。

 つまり、発行元の企業に対して指定のフォーマットでの請求書発行や、特定のサービスからの発行をお願いしなければならない。発行元の企業にも使用しているフォーマットやサービスがあるはずである。それにもかかわらず、取引先の企業からフォーマットやサービスを指定されると、その取引先への発行時のみ業務フローを変える必要があり、大きな負担となってしまう。

自社と発行元の負担なく請求書を電子化 クラウド請求書受領サービス「Bill One」

【画像】Shutterstock
 上記のような問題点を解決できるサービスがクラウド請求書受領サービス「Bill One」である。発行元の企業がBill Oneのスキャンセンターに紙の請求書を送ると、代理受領し、スキャンを代行して電子データ化してくれるのである。Bill OneはAI、OCR、人力を必要に応じて使い分け、99.9%という高い精度で請求書を電子データ化できる。

 また、Bill Oneはフォーマットに依存することなく電子データ化できる。非定型な請求書であっても電子データ化できるので、発行元にフォーマットの指定を行う必要がなく、発行元は業務フローを変更する必要がない。すなわち自社の担当者も発行元の企業も負荷を負うことなく、請求書の電子データ化を実現できるのだ。

 請求書の電子化については、導入を検討してみても取引先とのシステム間の都合でなかなか踏み切れないケースも多いが、フォーマットに依存することなく電子データ化できることは担当者の負担を大幅に削減し、導入のハードルを下げてくれるだろう。

 インボイス制度の導入やテレワークの推進が進むこの機会に、ぜひ請求書の電子化を検討してみてはいかがだろうか。Bill Oneについて、詳しくは下記からダウンロードできる資料に記載している。ぜひ一度確認してみてほしい。
監修/弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 弁護士 小野智博

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