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総務・法務 公開日: 2021.02.19

BCP対策(事業継続対策)とは? 不測の事態に備える、明日からできること

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 新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの企業が事業転換やビジネスモデルの再構築を余儀なくされている中、事業損害を最小限に抑えるために、「BCP」を策定することが重要視されている。本記事では、BCPを策定するメリット、今すぐ始められる対策について解説する。

【画像】shutterstock

目次

不確実性の高い現代社会において、企業が取り組むべきBCPの策定

 BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字をとった言葉で、自然災害、疫病、戦争、テロといった緊急事態に見舞われた際に、被害を最小限にとどめ、事業の早期復旧を図るための計画を指す。防災計画と混同されがちだが、やや性質が異なる。防災計画が従業員や倉庫、工場、機材、事務所などの資産への災害による被害を減らすことに重きが置かれているのに対し、BCPは災害だけでなく、感染症やテロなどによる被害も対象範囲に含む。また、工場の操業停止、提携先からの部品や資材の共有停止、システムダウン、通信網の遮断などの影響を受けず、いち早く事業を復旧させることを優先とする。

 日本では、阪神淡路大震災をきっかけにBCPに関心を持つ企業が増えたといわれている。世界的にBCPが認知されたのは、2001年に世界同時多発テロで破壊された貿易センタービルに本社があったメリルリンチ社(現バンク・オブ・アメリカ)の対応だ。事件前にBCPを策定し、本社機能停止を想定した大規模模擬訓練を実施していた。テロ発生からわずか20分後には従業員9000人の避難が完了し、また翌日には、迅速に本社機能の移転を行い、公債市場を再開させた。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、再び、BCP策定に注目が集まっているものの、いまだ実行に移せている企業は少ない。2020年5月に帝国データバンクが行った調査では、BCP策定を行っている企業は16.6%で、前年と比べると1.6%増加しているものの20%を下回っており、依然としてBCPに対する意識は低いことが見て取れる。

 また、規模別で見ると、大企業は30.8%がBCPを策定しているのに対して、中小企業は13.6%、小規模企業では7.9%と、規模が小さくなるごとに割合は少なくなっている。

 BCPを策定していない理由としては、「策定のスキル・ノウハウがない」が41.9%、続いて、「策定をする人材が確保できない」が28.7%、「実践的に使える計画にするのが難しい」が28.6%となっている。

BCPを策定するメリット

【画像】shutterstock
 BCPを策定すると、具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。

不測の事態に対する対応力の向上

 BCPの策定をすることで、自社に潜むリスクや課題が浮き彫りになるのがメリットの一つだ。事前にリスクや課題に対する打ち手を計画することで、被害を最小限に食い止めることができる。また、マニュアルが整備されていれば、緊急事態時でもスムーズな部署連携が可能となり、事業の早期復旧を図ることができる。

企業評価の向上

 緊急事態時では、操業停止に追い込まれたり、ビジネスモデルが激変して事業継続が困難になったりするケースも少なくないだろう。その中で、迅速に復旧をすれば、取引先や世間にリスクマネジメントができる会社という印象を与えられ、企業評価の向上につながる。

優先順位の明確化

 緊急事態が起こった際には、まず会社が倒産しないことを最優先に考えなければならない。BCPでは、優先順位を明確にし、どの事業や業務を再開させて復旧を急ぐかを検討する。結果として、自社の中核事業が明確になる。

不測の事態において、もっとも大きな課題となるのは「顧客・取引先との連絡がスムーズに取れない」こと

【画像】shutterstock
 BCP策定といっても、安否確認の体制作りや、保有する情報のバックアップ体制の整備など対応は多岐にわたる。事業活動を継続するためにBCP策定の打ち手として重要なことは顧客・取引先間でコミュニケーションが取れる体制を整えておくことだ。

 Sansanが新型コロナウイルスの状況下で実施した「企業活動における不測の事態への対応力に関する調査(以下、BCP調査)」では、「業務上困っていることは何か」という質問に対し、最も多かったのが、「顧客・取引先との連絡がスムーズに取れない」で、続いて「チームメンバーの行動が見えにくい」だった。

 顧客や取引先と連絡が取れないことで、どのようなデメリットが想定されるのか。

 まず考えられるのが、競合他社に受注を決められて失注しまうことだ。営業先の企業も、事業を継続させるためにさまざまな打ち手を試み、営業利益を回復させようと努力をしている。発注元のレスポンスが遅く、被災などによって製品またはサービスの安定供給が受けられる確証が得られないのならば、別の企業に発注したいと考えるのが筋だろう。

 次に考えられるのが、既存顧客へのフォローが手薄になり、解約の危機に陥ってしまうことだ。新型コロナウイルスの流行のような緊急事態では、多くの企業が業績悪化を予測し、不要なコストを削減する方向に傾く。特に、代替品が存在する製品やサービスを製造・供給している企業にとっては、真っ先にコストカットの対象となる。コンタクトが疎遠になっている中で顧客がコストの見直しを行ってしまうとき、十分なフォローができないまま、より価格の安い代替製品に乗り換えられてしまう危険性があるのだ。つまり、早い段階で顧客とコンタクトを取り、どれだけ自社製品やサービスの重要性・必要性を提案・アピールできるかがカギになる。

 このような状況に陥り、企業経営に大きな影響を与えないようにするためには、不測の事態でも顧客・取引先間でコミュニケーションを取れる体制を整備しておくことが重要となる。

社外から社内の顧客データにアクセスできないことが障壁に

 しかしながら、社外から保有している顧客の基本情報や連絡先、過去の商談実績、案件状況などの顧客データにはアクセスできない企業が多いのが現状だ。Sansanが実施したBCP調査では、コミュニケーションが阻害される要因として「社内のすべての情報は、社外では利用できない」と回答した割合は51%と半数にのぼった。

 また、社外からでも情報にアクセスできるクラウドサービスを利用しない理由として、総務省の情報通信白書における企業のクラウドサービスの利用動向では、「必要がない」が45.7%、次いで多いのが「情報漏洩などセキュリティに不安がある」の31.8%と、セキュリティーに対して懸念を抱いている企業が多いことが見て取れる。
 緊急事態では迅速な連絡・対応で、被害を最小限に食い止めることが大切である一方、セキュリティ―対策を行いながら、常日頃から顧客データにアクセスできる環境整備をすることが、BCPの策定で重要である。

明日から始められるBCP対策

【画像】shutterstock
 災害やテロ、そして今回のような新型コロナウイルスといった感染症などに対応するためには、日頃から不測の事態に備えておく必要がある。まず、顧客データのクラウド化、そしていつでもどこでもアクセスできる環境を整えておくことが不測の事態にも対応できる組織をつくる第一歩となる。

一方で、顧客情報は紙の名刺で保管していて、すぐに対応できない、さらにセキュリティー上の問題もあると感じている担当者も多いかもしれない。

 アドビが実施した調査によれば、書類データをどのように管理しているかという質問に対し、83.8%が「書類データの管理・保管を紙で行っている」と回答している。また、データ化しているのにも関わらず、67.4%が確認書類では「紙に印刷して一人ずつ回覧確認」する社内慣習があると回答している。
 セキュリティーを担保しつつも、手間をかけずに実施できるBCP対策に寄与するのが、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」だ。万全のセキュリティー対策を講じており、外部からのアクセスは基本HTTPSによって暗号化されている。

 名刺をスキャンするだけで99.9%の精度で顧客情報をデータ化できるため、誤情報の登録も防ぐことができる。もちろん、パソコンだけでなく、スマートフォンからでも閲覧・編集でき、外出中でも手軽に活用できる。

不測の事態に備え、企業活動を止めないために

 緊急時には、想定しなかったことが次々と発生し、通常通りに業務を行うことが困難になる。事前にBCPを策定すれば、優先度の高い業務の取捨選択と実行を迅速に行うことができ、被害を最小限に食い止めることができる。

 人的リソースやノウハウに限りがある中小企業では、BCP策定を実行できるケースばかりではないが、事業存続に関わる顧客・取引先間の緊急連絡網の整備は、早急に取り組む必要がある。ぜひこの機会にBCPの策定や見直しを検討してみてはいかがだろうか。

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