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総務・法務 公開日: 2021.11.05

電子帳簿保存法とは? メリットや適用のための要件を解説

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 電子帳簿保存法が時代のニーズに合わせ改正されたが、度々改正されている法律であるため、経理担当者の中にもまだ新しい要件を把握できていない人もいるのではないだろうか。本記事では改正電子帳簿保存法のメリットや要件について解説する。

【画像】Shutterstock

目次

2022年に控えている改正電子帳簿保存法の施行について

 電子帳簿保存法が2021年に改正された。施行は2022年1月からである。この法律は正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」という。

 国税関係の帳簿書類とは、具体的には仕訳帳や現金出納帳といった国税関係帳簿と、決算書や請求書、領収書といった国税関係書類に分類される。これらの書類は法人税法などで一定期間の保存が義務づけられている。従来、これらの法律上で定義される「保存」とは紙媒体での物理的保存だった。しかし、紙による保存は紙代や印刷代、保存するスペースの土地コストなど、企業の負担が大きいため、長年電子化の容認を求める声があった。

 そこで平成10年(1998年)に電子帳簿保存法が施行され、一定の要件を満たせば帳簿書類の電子保存が可能になった。ところが、施行された当初は要件や運用ルールが著しく厳しく、企業の負担となるため電子保存は避けられていた。その後、要件や運用ルールの緩和のため幾度となく改正を繰り返し、ようやく普及が進んできたのである。最新の改正電子帳簿保存法は先述した通り2022年1月から施行される。

2022年1月からの電子帳簿保存法で変わるポイント

事前承認制の廃止
改正前 改正後
導入希望時期の3カ月前までに管轄の税務署長に申請し、承認を得なければ電子保存は認められなかった。 電子保存の普及を促すため、申請や承認が無くても導入できるようになった(※1)。
※1 改正後の保存要件に基づき保存を行うには、改正前の承認を取り止めるなど、一定の手続が必要となる場合がある。
タイムスタンプ要件の緩和
改正前 改正後
スキャナ保存 スキャナで電子化する場合は、受領者が自署した上で、おおむね3営業日以内にタイムスタンプの付与が必要だった。 受領者の自署が不要となり、タイムスタンプ付与の期限が最長「2カ月+おおむね7営業日」まで延びた(※2)。また、電子データの訂正や削除の履歴が残り、受領者による改ざんが不可能なクラウドサービスなどであればタイムスタンプの付与に代えられるようになった。
電子取引 受領者側がタイムスタンプを付与する場合は、遅滞なく行う必要があった。 タイムスタンプの付与期限が最長「2カ月+おおむね7営業日」となった(※2)。また、スキャナ保存と同様に、訂正・削除のの履歴が残るクラウドサービスなどに保存すれば、タイムスタンプが不要となった。
※2 各事務処理に関する規定に準拠する必要があります。「業務の処理に係る通常の期間」を経過した後、「速やかに(おおむね7営業日)」タイムスタンプを付与する必要があります。この「業務の処理に係る通常の期間」が最長2カ月として認められるため、「速やかに」のおおむね7営業日を足した期間としてスキャナ保存、電子取引ともに「最長2カ月+おおむね7営業日」と記載しています。
適正チェック体制の義務づけ廃止
改正前 改正後
スキャナ保存を行う際、不正防止のための厳格なチェック体制を整備する必要があった。チェックは書類の原本とデータとの突き合わせも行うため、検査実施日まで原本の破棄ができなかった。さらに事務処理担当者は2名以上での対応が義務づけられていた。 チェック体制の義務づけを廃止。原本はスキャンして内容確認後、すぐに破棄できるようになった。さらに、事務処理担当者も1名で対応できるようになった。
検索要件の緩和
改正前 改正後
取引年月日、勘定科目、取引金額やその帳簿の種類に応じた主要な記録項目で検索できなければならなかった。また、日付と金額については範囲指定による検索ができなければならなかった。さらには、二つ以上の記録項目を任意に組み合わせて検索できなければならなかった。 検索要件が取引年月日、金額、取引先のみに限定された。また、範囲指定や項目の組み合わせ検索については、国税庁などの求めに応じてデータのダウンロードができるならば不要とされた。
 また、緩和されるといっても、帳簿・書類の種類によって認められる保存の方法が異なる。さらに、クリアすべき要件もあるので、押さえておくとよいだろう。
電子保存が認められる書類
対象となる帳簿・書類の種類 帳簿・書類の例 電子データ保存可否 スキャナ保存可否 紙での保存可否
コンピュータで作成(※3)した国税関係帳簿 仕訳帳、現金出納帳など ×
手書きで作成した国税関係帳簿 仕訳帳、現金出納帳など × ×
コンピュータ作成(※3)した決算関係書類 貸借対照表、損益計算書、棚卸表など ×
手書きで作成した決算関係書類 貸借対照表、損益計算書、棚卸表など × ×
コンピュータで作成(※3)して発行した証憑書類 見積書、契約書、請求書、領収書など
手書きで作成して発行した証憑書類 見積書、契約書、請求書、領収書など ×
電子的に受領した証憑書類 見積書、契約書、請求書、領収書など × ×
紙で受領した証憑書類 見積書、契約書、請求書、領収書など ×
電子取引履歴 ネット取引、電子メール取引、クラウドサービスなどの取引履歴 × ×
※3 「コンピュータで作成」とは、「自己が一貫してコンピュータで作成する場合」を指します。コンピュータで一貫して作成していない場合は、手書き作成と同じ取扱いとなる可能性があります(電子帳簿保存法Q&A(一問一答):電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係 問22参照)。

電子保存が認められる要件(概要)

1. 電子計算機処理システムの概要書などの備え付け
2. 見読可能装置の備え付けなど
3. ダウンロードの求めに応じること
4. スキャン保存の過程に関する書類の備え付け
5. スキャン保存データの見読可能装置の備え付けなど
6. 電磁的記録の訂正・削除・追加の事実と内容を確認できる電子計算機処理システムの使用仕様
7. 帳簿間での記録事項の相互関連性の確保
8. 検索機能の確保
9. タイムスタンプの付与(訂正・削除の履歴等が残るシステムであれば省略可)
電子データ保存 スキャン保存
国税関係帳簿の保存要件 1,2,3,6,7,8 ×
国税関係書類の保存要件 1,2,3,8,9 1,2,3,4,5,6,8,9

改正電子帳簿保存法への対応で企業にどんなメリットがあるか?

紙ならではのリスクの低減
 紙媒体のデメリットは劣化しやすい点である。会社が管理する書類はおおむね7~10年程度保存しなければならないが、紙の質や保存の仕方によっては記載された文字が判別しづらくなってしまう場合がある。

 また、紙は紛失や毀損のリスクを伴う。災害や火事などで焼失してしまう危険もある。書類の電子化のメリットは、保存したときの状態のまま半永久的に、安全性を考慮したデータセンターで保存ができる点である。
コスト削減につながる
 書類を電子化するメリットは検索性の向上にある。コクヨの調査によると、書類を探す行為に社員1人が費やす時間は年間で80時間にも上るとの結果が出ている。正社員の平均時給である2500円で計算すると、年間1人あたり20万円分の人件費を書類探しに費やしている計算になる。

 書類を電子化すれば検索機能を使えるため書類のタイトルや作成日などですぐに検索でき、これらの人的コストの削減が期待できる。

改正によって大きく変わるバックオフィスの働き方

【画像】Shutterstock
 今までの電子帳簿保存法では要件を満たすハードルが極めて高く、ペーパーレス化したいと思ってもなかなか導入ができなかった。しかし、今回の改正で要件が大幅に緩和され、以前よりは容易にペーパーレス化が可能となった。

 この改正において大きな影響を受ける部門がバックオフィスである。現状では完全にテレワーク化しているバックオフィスは少ないが、ペーパーレス化が促進されれば、バックオフィスのテレワーク化が可能になるかもしれない。電子帳簿保存法改正を控えた2021年、企業にとってもバックオフィスのテレワーク推進の機運は高まっている。

 とはいえ、まだ課題もある。月刊総務が2020年6月に実施した調査では、緊急事態宣言中に「完全にリモートワークだった」総務担当者はわずか1.6%しかいなかった。出社した理由は郵便物の対応(受領)と契約書などの押印が多かった。
 これは他社から受領する紙の契約書や請求書への対応がテレワーク化を阻害しているケースが多い事実を示している。いくらペーパーレス化に前向きな会社であっても、取引先から紙の請求書が届けば現実には受領するために出社せざるを得ないからである。

考えたいのは、相手方から受領する書類の電子化

【画像】Shutterstock
 自社の発行する書類を電子化するのは比較的容易である。自社内の意思統一さえできればあとはペーパーレス化のためのツールを導入するだけだ。ペーパーレス化のためのツールとしては以下が挙げられる。
  • 名刺や顧客名簿を電子化するためのCRMや名刺管理システム(Sansanなど)
  • 電子化した書類を保存するためのストレージサービス(Box、Dropbox、Microsoft SharePoint、Microsoft OneDriveなど)
  • 情報共有ツール(Microsoft SharePoint、Microsoft Teams、Chatwork、Slackなど)
  • ウェブ会議ツール(Microsoft Teams、Zoom、Skype)
  • 勤怠管理ツール(マネーフォワード クラウド勤怠など)
 自社で管理している書類をペーパーレス化し、テレワークを促進したいならば、これらのツールを導入すれば良い。それは自社内で完結しやすい課題である。しかし、取引先から受領する書類については自社内だけの問題ではない。

 例えば、受領する請求書を電子化したいならば、電子請求書発行サービスを使う必要がある。しかし契約は相手があるので、取引先のワークフローや社内規定で電子請求書の対応が難しい場合もある。契約書など他の書類についても同様だ。また、仮に取引先が引き受けてくれたとしても、取引先にとっては自社との契約関係にだけ余計なコストがかかっているように感じられるかもしれない。

 対応策として、取引先からは紙の書類を受領し、自社で電子化する方法が考えられる。しかしこの場合、書類をスキャンする手間やコストは自社の負担になる。書類の電子化を推進する場合はこれらの課題を克服しなければならない。

電子帳簿保存法の改正に対応するために、今から自社で始められる対策

 上述の課題を乗り越え、電子帳簿保存法の改正に対応するためには、どのような対策が有効だろうか。企業に求められる対応と、今から始められる対策について下記の資料に詳しくまとめているので、ぜひ参考にしてもらいたい。公認会計士が電子保存に求められる複雑な要件をわかりやすく整理し、請求書の電子保存を実現するためのポイントを解説している。
 また、解決に役立つツールとして、紙の請求書もPDFの請求書も電子化して一元管理できるクラウド請求書受領サービス「Bill One」を活用した対策も紹介している。電子帳簿保存法への対応の第一歩として、請求書の電子化から取り組むことは有効だ。この資料を参考にすることで、迫る法改正に向けて、自社での対策に役立つヒントをつかんでいただきたい。

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