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総務・法務 公開日: 2022.08.04

電子化された書類に最適な電子印鑑、その大きなメリットと導入前に知っておきたい法的効力

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ペーパーレス化が社会的に注目されるにしたがって、押印のコストが課題に挙がるケースが増えてきている。そもそも書類を電子化する際に押印は必要なのだろうか? 本記事では押印や電子印鑑の法的効力について解説する。

【画像】Shutterstock

目次

電子印鑑とは?

 電子印鑑とは印影を模した画像データのことである。この画像データを電子化された書類に貼り付ければ、書類はモニターに表示したり、プリントアウトしたりしたときに押印されているようになる。

電子印鑑は以下の二種類が存在する。

1.    単に印影を模しただけの画像データ
2.    印影を模した画像データに識別情報を付加したもの

 1は一般的な写真やイラストによく用いられるデータ形式であるPNGやJPGの形式で印影を画像化したものである。つまり「印影を模したイラスト」だ 。ただの画像データであるため、スキャンしたり、スクリーンショットを撮ったりすれば誰でも容易に複製が可能である。したがって、セキュリティとして安全性に欠ける。  

 2は印影の画像データに押印した人の識別情報やタイムスタンプを埋め込むタイプである。一見するとただの印影画像に見えるが、専用のソフトを使って埋め込まれた識別情報を復号化すると「いつ誰が押印したか」が判別できる仕組みだ。印影に識別情報を埋め込むのも専用ソフトを使ってIDとパスワードなどで個人を識別した上で作成するため、他人が偽造するのは困難である。また、スクリーンショットを撮るなどして複製を試みても埋め込まれた識別情報まで複製できないので、他人が印影を転用して書類を偽造するのも困難だ。

電子印鑑と電子署名、電子契約の違い

 電子印鑑とよく似たサービスに「電子署名」や「電子契約」がある。これらは機能的にもまったく異なるサービスだが、法律的に呼称が定められているわけではないため、人によって認識に齟齬が生じているケースが少なからずある。サービスによって定義が異なるため、以下を読んでいただきたい。  

 まず、電子署名とは暗号技術の一種で、通信の際のなりすましや改ざんを防止する技術である。電子印鑑は通信を暗号化する技術ではなく、書類に対して印影に模したデータや、それに組み込んだ識別情報を付加する技術である点で異なる。

 また、電子契約とはクラウド上に契約書をアップロードし、それぞれの当事者が合意した証拠を残すサービスである。クラウドサービスが第三者の立会人のような立場で当事者間の合意を保証する点に特徴があり、ローカル環境のソフトで電子的な押印をするだけの電子印鑑とは異なる。

種類で異なる電子印鑑のメリット

【画像】Shutterstock
 先に触れたように電子印鑑には画像データのみのタイプと識別情報が付加されたタイプの二種類があるが、特徴やメリットも違っている。それぞれ次のとおりとなる。          

心理的な抵抗感をやわらげる画像データのみの電子印鑑

 画像データのみの電子印鑑には以下のメリットがある。

1.    書類の見栄えがよくなる
2.    電子的な書類への心理的抵抗をやわらげる    

 画像データのみの電子印鑑にはセキュリティ上のメリットはない。なぜなら画像データは簡単に複製が可能であるので、オリジナルの書類データから印影の部分だけを切り取って偽造書類に転載できてしまうからだ     。

 電子印鑑を付加すると得られる効果の大部分は、書類の見栄えがよくなる点だろう。紙の書類と押印の習慣は日本人の生活に根付いており、いくら電子化の時代だとわかっていても印影がない書類を感覚的に受け入れづらい人は多いものだ。

 いくら画像データだけで実効的な機能がないとしても、電子印鑑を付加すれば「正式な書類である」という印象を相手に与えることができる。紙の書類をいきなり電子化されると、これまにないものであるため心理的抵抗感が出てきてしまうが 、電子印鑑を付加すればそれをやわらげることができる。

識別情報が付加された電子印鑑は社外文書に使える

 識別情報が付加された電子印鑑は、画像データだけの電子印鑑のメリットに加えてセキュリティ上のメリットが追加される。識別情報はIDとパスワードで個人認証を行った上で、ソフトを使って付加されるため偽造は難しい。また、ソフトによっては押印ごとに固有の識別IDを付加する機能もある。この場合、同じ識別情報を持った印影はこの世に二つと存在しないため、何らかの技術で複製したとしても復号化すれば偽造がすぐに明らかになる。印影を使った書類の偽造やなりすましを防止でき、電子署名法第2条の要件も満たしていることから、契約書や請求書、納品書といった社外文書に使用できる点がこのタイプの電子印鑑のメリットだ 。

電子印鑑のデメリット

 電子印鑑にはデメリットも存在する。上述した電子印鑑のメリットと以下のデメリットを考慮した上で最適なタイプの電子印鑑を選ぶべきである。

画像データのみの電子印鑑は簡単に複製されてしまう

 画像データのみの電子印鑑のデメリットはセキュリティの機能がない点である。印影に模した画像を貼り付けただけでは、パソコンのスクリーンショット機能と画像編集ソフトを用いて、誰でも容易に複製ができる。

 もし重要な契約書などの偽造や改ざんを防止したいのならば、セキュリティの機能が付いた電子印鑑を選んだほうがよいだろう。

識別情報が付加された電子印鑑は導入時に費用が必要

 導入コストがかかる点が識別情報が付加された電子印鑑のデメリットとなる。画像データのみの電子印鑑であれば、印影をスキャンしてデータにするだけなので無料の画像編集ソフトなどで簡単に自作できる。

 しかし、識別情報が付加された電子印鑑は高度な専用ソフトや専用サービスを用いるため、その導入に初期費用や月額費用がかかる場合が多い。必要とするセキュリティのレベルとコストを十分に検討した上で導入するべきである。

両タイプに共通する デメリット

 画像データのみの電子印鑑および識別情報が付加された電子印鑑に共通のデメリットとして取引先の許諾が必要である点が挙げられる。取引先との契約書などを電子化する際には一方的に変更はできず、あらかじめ許可を取らなければ受領してもらえない可能性がある。

 書類の電子化の普及は年々進んでいるが、まだまだ紙の書類にこだわる企業もあり、取引先がそのような企業の場合、電子印鑑が導入できない可能性がある。

67%の企業が電子契約を導入済み

【画像】Shutterstock
 JIPDEC・ITRの調査によると電子契約サービスの企業導入率は2021年1月時点で67.2%となっている。さらに導入を前向きに検討している企業を合わせると84.9%にも達する。

 導入の主な目的としては以下の三つが挙げられる。

●    業務効率化
●    コスト削減
●    セキュリティ強化

 これまで触れてきたとおり、電子契約サービスを導入すれば紙の書類の印刷、押印、郵送、返送、受領などの手間が省け、業務の効率化ができると考えられる。また、切手代や印紙代などの金銭的コスト、書類保管のための土地コストの削減にも繋がる。さらに、電子契約サービスは強固な暗号技術を利用しており、契約書などの改ざん防止に役立つと考えられる。 電子契約サービスのメリットは、現在、多くの企業に求められているものであり、その要求に応えるレベルに達している。

電子印鑑に法的な効力はある?

法的な効力は電子印鑑の信頼性の高さに依存する

 電子印鑑を導入する際に多くの人が気になるのは 、どれほどの法的な効力があるかということだろう。広く知られていないが、書類への押印自体に法的な義務はない。つまり、書類に押印がないから契約が無効であるという主張はできない。これは紙の書類でも電子化された書類でも同じだ。

 しかし、押印を「その書類をハンコの持ち主本人が作成した」とする推定の根拠にはできる。これは契約内容に合意したかどうかを争う際に重要な証拠となる。したがって、電子印鑑に法的な効力があるかどうかも「その電子印鑑のソフトやサービスの信頼性の高さ 」に依存すると考えられる。

 例えば、IDとパスワードや暗号技術を利用し、本人以外が複製した際に判別できる仕組みになっている電子印鑑であれば信頼性が高いため、法的効力も高い。一方でただ印影の画像を貼り付けるだけの電子印鑑であれば、誰でも複製して印影の転用が可能であるため信頼性は低く、法的効力も低いと考えられる。

実印が義務化されている書類がある

 法律上、物理的な実印の押印が義務化されている書類が存在する。例えば、不動産登記などがそれだ。これらの書類では電子印鑑は認められないため、どれだけ信頼性が高い電子印鑑ソフトを使っても法的効果はゼロだと考えられる。

認印、実印と効力の差は?

 リアルの認印や実印と、電子印鑑にはどの程度の効力の差があるのだろうか?
これまで述べてきたとおり、電子印鑑には以下の二種類があるが、効力もそれぞれ異なっている。

1.    印影を画像データにしたもの
2.    1に識別情報を付加したもの(識別情報が付加された電子印鑑)

 先述したように、1は複製が簡単にできてしまうので、本人識別の機能はない。しかし、誰かがその書類を読んで、押印をした事実だけは証明できる。よって、同一の印影で大量生産された既製品の三文判程度の効果はあるだろう。一方、2は本人を識別する機能が付加されているので、手彫りで作られた一点物の認印程度の効果はあると考えられる。

 では、実印と比較するとどうだろうか。実印は役所に印鑑登録をし、それを公的に証明する書類が発行できる。また、先述したように不動産登記などの重要な書類にも使用が認められている。電子印鑑の場合はそのような公的な証明制度がないため、法的効力は実印には劣ると考えられる。

電子印鑑を使用する際の注意点

【画像】Shutterstock
 経費削減にもなり、リモートワークが増えた現在、場所と時間を問わず利用できる電子印鑑には大きなメリットがある。しかし法的な効力も限定されるといったデメリットも存在する電子印鑑の導入にはいくつか注意しておくべきポイントもある。最後に導入に際して、改めて検討、確認しておきたいポイントがある。    

不要なトラブルを避けるため事前に取引先に確認を

 紙の書類から電子化された書類に移行する際 、取引先に黙って変更するのはやめたほうがよい。現状ではまだまだ紙の書類が主流で、電子化された書類に心理的抵抗を持っている企業も多い。契約はお互いに合意している事実が締結の根拠となるため、勝手に電子化された書類にしてしまうと取引先とトラブルになるケースも考えられる。書類を電子化する際には、その旨を事前に確認した上で変えたほうがよい。

電子印鑑のセキュリティ面の機能を把握しておくこと

 先述したように電子印鑑にはセキュリティの機能が付いているものと、三文判程度の効果しかないものが存在する。セキュリティの機能が付いているのかどうかは印影だけからは判断ができない場合が多い。自社で導入予定である電子印鑑サービスがどのタイプかを事前にしっかり確認しておこう。

取引先が電子印鑑を認めてくれないときは?

 取引先がどうしても電子印鑑を認めてくれないときもあるだろう。しかし、自社としては積極的に電子印鑑を導入したい。そんなときは、さまざまな契約業務に対応するクラウド契約業務サービス『Contract One』がおすすめだ。『Contract One』ではであればオンライン上の操作で紙の契約書の発行と押印、印紙の貼り付けを代行してくれる。さらに受領した契約書をスキャンしてデータ化し、同サービスで保存もしてくれる。

 つまり、電子契約を採用した企業にとっては電子契約と同様の操作で契約作業を行うことができ、紙の契約書を使う企業から見ればこれまでの紙の契約書と何ら変わりなく契約作業ができる。詳しくは以下に書かれている。ぜひご覧いただきたい。

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