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総務・法務 公開日: 2022.06.14

電子契約とは? メリットや法的効力、ツールの選び方を解説

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 社員の労働生産性を上げるのに効果的な手法として書類の電子化が注目されている。しかし、契約書のような法律に関わる書類は法的効力を持たせたまま電子化しなければならない。このような場合には 、生産性向上に役立ち、法的にも有効な電子契約システム が有効だ。本記事では電子契約システムについて解説する。

電子契約とは?

 電子契約とは契約をオンライン上で締結できるクラウドサービスである。細かい仕様や機能はサービス事業者によって異なるが、概ね以下のような仕組みで契約を結ぶ。
1.    利用者はクラウドサーバーに電子化された契約書をアップロードし、契約を結ぶ相手に電子契約サービスのリンクを送信する。
2.    契約相手はリンクからサーバーにアクセスし、契約書を読んだ後、サービスの機能を用いて同意の意思を表明する  。
3.    クラウドサービスは電子契約書に対し「双方が同意した証拠(電子署名) 」とタイムスタンプを改ざんできない形式で付加する。
4.    双方が電子署名とタイムスタンプのついた電子契約書をダウンロードし、保存する。

 オンライン上での契約の場合、紙での契約に比べてその効力に不安を覚える人も多いかもしれない。しかし、上記の「『双方が同意した証拠(電子署名 )  」とタイムスタンプ」  は暗号技術を用いて付加されるため、電子契約システムの提供事業者ですら改ざんがほぼ不可能である。

 また、同意の表明は、例えばページ内表示されたボタンを押すなどの直感的なユーザーインターフェースで提供されるため、ITの専門的な知識がなくても簡単に利用できる。    

紙の契約書との違い

 紙の契約と電子契約の違いは主に以下の三つである。

1.    押印の有無
2.    印刷や郵送の有無
3.    印紙の有無

 まず紙の契約書は物理的にハンコを押すが普通だが、電子契約ではハンコは不要である。  電子契約時にも印鑑を模した画像(電子印鑑)を貼り付ける場合もあるが、それ自体に法的な効力はなく、あくまでもクラウドサービスが付加する電子署名とタイムスタンプが効力の根拠だ。
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 また、電子契約は全てオンライン上での電子的手続きで完了するため、契約書を印刷したり、郵送したりする必要がない。さらに印紙税もかからない。印紙税は印刷した書類にのみかかる税だからである。

電子契約システムの導入率

 JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)の調査 によると、2021年の時点で電子契約を利用している企業は67.2%に上っている。さらに「準備・検討中」の企業を加えると合計84.9%の企業が電子契約に前向きであるとの結果が出ている。

電子契約システムの導入率は年々上昇しており、今後も導入が拡大していくと予想される。  

電子契約を導入する メリット

【画像】Shutterstock
 従来の紙での契約にはない便利な特徴を持つ電子契約だが、導入することで次の三つのメリットを享受することもできる。
1.契約の効率化
 紙での契約の場合、紙で用意した契約書を郵送しなければならない。宛名を書いた封筒に入れ、投函する手間がかかるうえ、相手方に届くまでに日数がかかる。また署名捺印の上、返送してもらうためさらに時間がかかる。  

 しかし、電子契約ならばインターネット上で 契約するので、契約書のアップロードはすぐに終わり、すぐに相手に進捗状況を知らせるメ ールが届き、契約の締結が可能である。

2.コストの削減
 紙での契約の場合、紙代や印刷代、送るための郵送費がかかる  。しかし、電子契約ならこれらは不要だ。また、契約金額が大きい契約書を電子契約で締結する場合には印紙税がかからない点が大きなメリットとなる。例えば不動産売買契約書などの第1号契約書では、契約金額が1万円以上10万円以下だと200円、10万円を超え50万円以下だと400円などと定められているが、印紙税は書面に対してかかる税金のため、電子契約への収入印紙は不要だ。

 もちろん電子契約サービスにも利用料がかかるが、クラウドサービスであり、従来の紙での契約と比べて費用的には安価で済むことが多い。また、紙の書類を  保管する管理コストなども考慮すると電子契約の方が総合的には低コストとなる場合が多いだろう。

3.セキュリティの向上
 電子契約システムは強固な暗号技術を用いて契約書の偽造や改ざんを防止する。紙の書類の場合、押印がセキュリティの機能を担っているが、3Dプリンタで偽造されたハンコの印影を人間が見破るのは困難である。  また、そもそも書類自体の偽造や複製が行われるなど、改ざんの手口はさまざまある。

しかし、電子契約で用いられる暗号技術を用いた電子署名を偽造するのは容易ではない。     電子署名とは公開鍵暗号という数学的な計算を用いた暗号方式を用いて、作成後の契約書が改ざんされていない事実を証明する技術である。契約書の作成者本人しか知り得ないパスワードを暗号鍵として暗号化するため、電子契約サービスを提供している事業者ですら改ざんは困難だ。  

加えて、電子契約書はそもそも書類自体が偽造できない仕組みが構築されている。電子契約においては、電子認証局と呼ばれる第三者機関が個人・法人の存在や信頼性、正当性を担保する電子証明書を発行し、電子契約書の作成者を特定するとともに改ざんされていないことを保証する。さらに、電子契約書には公開鍵暗号基盤を用いられていることで作成者の本人性を証明できるのだ。

 また、紙の契約書は紛失したり盗難にあったりする危険があるが、電子契約の契約書はクラウドサービスに保存されているためそのリスクも少ない。電子契約のセキュリティを不安視する人もいるが、むしろ紙と印鑑を用いた契約書よりも高水準のセキュリティ体制を敷いているサービスが多く、紛失や盗難などのリスクは低減されていると言えるだろう。  

電子契約の課題

導入と維持にコストがかかる

 電子契約には課題もある。まず、導入と維持にコストがかかる点が挙げられる。とはいえ、先述したように紙の契約書よりもコストは抑えられるだろう。また、電子契約システムの多くはクラウドサービスで提供されるためオンプレミスのシステムの導入と比較すると安価に導入できる。

 電子契約サービスの事業者は多く事業者ごとに料金体系が異なるため十分な比較検討の上で導入する必要があるだろう。

取引先の同意が必要

 契約は相手があるものだ。いくら自社が電子契約を導入したいと思っても、取引先が嫌がる場合には導入は困難だ。

 電子契約の普及は進んでいるが、それでも押印された紙の契約書でないと安心できないと考える人は一定数存在する。そのような取引先への対応策を練る必要があるだろう。

電子契約に法的な効力はある?

 電子契約に法的な効果があるか疑問を持つ人も多いかもしれない。しかし、安心してほしい。電子契約にも紙の契約と同等の法的効力が存在する。

 近代法において契約は形式に依存しないとされている。つまり本来なら正式な書面でなくてもメールでも口約束でも契約は成立する(諾成契約)。これは近代法では基本原則であったが、電子契約などの普及を踏まえ、2020年4月に施行された民法改正によって法律に明記された。

    第五百二十二条 2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
   
 また、電子契約に用いられる「双方が合意した証拠」  、つまり電子署名は、紙の契約書に押印した場合と同等の効力を持つと電子署名法によって規定されている。

 電子署名及び認証業務に関する法律第三条  電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

電子契約システムの選び方

 電子契約システムを導入したいが、どんなツールが自社に最適なのかわからない担当者もいるだろう。以下では、電子契約システムを選ぶ際のポイントを三つ挙げているのでぜひチェックしてほしい。

セキュリティの強さ

 電子契約にもセキュリティが簡易的なものと強固なものが存在する。自社の契約の重要性や金額の大きさを鑑みて、十分なレベルの身元確認方法で認証できる電子契約サービスを選ぶべきである。

必要な機能が搭載されているか

 電子契約システムは、契約以外にもさまざまな付属的な機能が搭載されている。例えば、社員の役職レベルに応じて契約締結の権限を設定できる機能や、文書に変更を加えた履歴が残る機能、紙の契約書をスキャンして電子契約と一緒に保存する機能などが搭載されているサービスもある。自社にとって必要な機能がそろったサービスを選ぼう。

使いやすさ

 サービスによってユーザーインターフェースも異なる。契約締結は日常的に行うものなの     で  、なるべく使いやすいサービスを選ぶべきである。実際に使った感触を調べるため、無料トライアルやデモによって使い勝手が確認できるサービスを選んだほうがよいだろう。

電子契約を導入する際の注意点

【画像】Shutterstock
 電子契約システム選びとともに、次に述べる三つの注意点も確認すべきだ。導入後のトラブルを避けるためにも、しっかり理解しておこう。    

取引先には事前に確認しよう

 今まで紙の契約書を使っていたのにいきなり電子契約に変えると、取引先が対応できない可能性がある。仮に電子契約が正式な契約であると合意していなくても、電子署名法において規定されているので、合意がないから無効だとは主張しにくい。このようなトラブルを未然に防ぐためにも、少なくとも電子契約への変更の数カ月前までには取引先に打診し、合意を取り付けておくべきである。

電子帳簿保存法への対応を確認しよう

 電子契約の「締結」については民法や電子署名法が法的根拠となるが、電子化された契約書の保存にも「電子帳簿保存法」という法律の規定が存在するる  。電子化された契約書を保存するには一定の要件を満たす必要があり、電子契約サービス提供事業者がこの要件を満たしているかは事前に確認しておくべきである。  

電子契約書の効力について確認しよう

 電子契約書を長期間保持するならば、電子署名の効力も確認も必要だ。電子契約書において、双方の合意を示す電子署名の効力は一定期間を過ぎると消失してしまう。電子署名に利用されている公開鍵の所有者を電子証明書で保証しているため 、電子署名は電子証明書の有効期限に準じる。「電子署名及び認証業務に関する法律施行規則」第六条四項には「電子証明書の有効期間は、五年を超えないものであること」と定められており、電子署名の有効期間は5年以下だといえる。ただし、有効期限にはタイムスタンプを付与して電子証明書の契約期間を延長できる長期署名という仕組みが存在する。

取引先が電子契約に応じてくれない場合は?

電子契約の普及率は年々上がっているが、どうしても取引先が紙の書類を希望するケースもあるだろう。そのような場合にはContract Oneがおすすめだ。

 Contract Oneは電子契約を主に利用している企業と紙の書類を利用している企業の間におけるスムーズな契約業務をサポートする。過去に締結した紙の契約書も全て正確に電子化し、電子契約書と一緒に一元管理してくれる機能を持った、契約業務をオンラインで完結できるサービスである。電子契約の弱点を補う機能を有したサービス、Contract Oneの導入検討をぜひおすすめしたい。  

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