総務・法務
公開日: 2023.01.11
中小企業のためインボイス制度への対応とは 2023年から何が変わるのか?
2023年からインボイス制度が導入されるというニュースは、多くの方が耳にしているだろう。請求書を対応させなければならない、なにやら税務署に申請しなければならないらしい……と、おぼろげな情報は頭に残っていても、正しく「何をしなければならないか」を把握している人は案外少ないかもしれない。「税理士に任せているから大丈夫」では済まないインボイス制度について、ここでまとめてみた。

そもそもインボイス制度とはどんな制度なのか?
インボイス制度とは、正しくは「適格請求書保存方式」と呼ばれる。これを理解するには、まず「消費税制度」について理解しなければならない。現在、一部の軽減税率が適用されるものを除くと10%の消費税がかけられている。
例えば、消費者が1000円で衣類を購入すると、100円の消費税が付加されて、1100円を小売店に支払うことになる。小売店は、いったんその消費税分の100円を預かったという扱いになり、改めてこれを収めなければならない。ただ、小売店は、販売した衣類を仕入れた際にもメーカーあるいは卸業者にも消費税を払っている。実際には、「この差額」を消費税として収めているのだ。
この計算は煩雑で難しいため、厳密に計算する原則方式の他に、仕入れにかかった消費税を「みなし仕入れ率」に基づいて簡易に計算する「簡易課税制度」が認められている。また、年商1000万円以下の小規模事業者、個人事業主は、消費税の納税を免除されていた。
インボイス制度の目的は「正しい消費税の納入」を実現するためだと言える。現在、一般的な10%の消費税率の他に、8%の軽減税率も混在している。この環境下では、消費税の計算がより煩雑になり、正しく収められなくなる可能性がある。そこで、「厳密に消費税を記載した請求書」の発行を義務付ける、これがインボイス制度なのだ。
企業は、正しく消費税が記載された適格請求書に基づいて、正確に消費税を計算し納める必要がある。インボイス制度が適用される2023年以降は簡易課税制度が適用されない。また、これまで納税を免除されていた年商1000万円以下の小規模事業者、個人事業主も納税が義務付けられることになる。
例えば、消費者が1000円で衣類を購入すると、100円の消費税が付加されて、1100円を小売店に支払うことになる。小売店は、いったんその消費税分の100円を預かったという扱いになり、改めてこれを収めなければならない。ただ、小売店は、販売した衣類を仕入れた際にもメーカーあるいは卸業者にも消費税を払っている。実際には、「この差額」を消費税として収めているのだ。
この計算は煩雑で難しいため、厳密に計算する原則方式の他に、仕入れにかかった消費税を「みなし仕入れ率」に基づいて簡易に計算する「簡易課税制度」が認められている。また、年商1000万円以下の小規模事業者、個人事業主は、消費税の納税を免除されていた。
インボイス制度の目的は「正しい消費税の納入」を実現するためだと言える。現在、一般的な10%の消費税率の他に、8%の軽減税率も混在している。この環境下では、消費税の計算がより煩雑になり、正しく収められなくなる可能性がある。そこで、「厳密に消費税を記載した請求書」の発行を義務付ける、これがインボイス制度なのだ。
企業は、正しく消費税が記載された適格請求書に基づいて、正確に消費税を計算し納める必要がある。インボイス制度が適用される2023年以降は簡易課税制度が適用されない。また、これまで納税を免除されていた年商1000万円以下の小規模事業者、個人事業主も納税が義務付けられることになる。


インボイス制度開始までに、企業が取るべき対応とは
① 税務署に「適格請求書発行事業者」として登録を行う
まず企業が取るべき対応は、税務署に申請を行い「適格請求書発行事業者」として認められることだ。この認定を受けていない事業者は「仕入税額控除ができなく」なる。前項で説明した「販売時に受け取った消費税から、仕入れ時に支払った消費税を引いて、納入する」こと、これが仕入税額控除だが、認定事業者でない場合、販売時に受け取った消費税をそのまま納めなければならない。仕入れ時に消費税を負担していたとしても、控除がなくなるのだ。
認定事業者になると同時に、自社が作成している請求書をインボイス制度に対応したものに変更する必要がある。現在請求書は「区分記載請求書」と呼ばれる書式が存在する。これに記載されなければならない項目は次のとおりだ。
現行の「区分記載請求書」の記載事項は次のとおり。
(1) 請求書発行事業者の氏名または名称
(2) 取引年月日
(3) 取引の内容(軽減対象税率の対象品目である旨)
(4) 税率ごとに区分して合計した対価の額
(5) 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
インボイス制度に基づいた「適格請求書」では、上記に加えて次の項目の記載が必要になる。
(1) 登録番号(課税事業者のみ登録可)
(2) 適用税率
(3) 税率ごとに区分した消費税額等
書式の変更、記載事項の追加に伴って、経理システムの変更、取引先への連絡、調整なども必要となるだろう。
認定事業者になると同時に、自社が作成している請求書をインボイス制度に対応したものに変更する必要がある。現在請求書は「区分記載請求書」と呼ばれる書式が存在する。これに記載されなければならない項目は次のとおりだ。
現行の「区分記載請求書」の記載事項は次のとおり。
(1) 請求書発行事業者の氏名または名称
(2) 取引年月日
(3) 取引の内容(軽減対象税率の対象品目である旨)
(4) 税率ごとに区分して合計した対価の額
(5) 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
インボイス制度に基づいた「適格請求書」では、上記に加えて次の項目の記載が必要になる。
(1) 登録番号(課税事業者のみ登録可)
(2) 適用税率
(3) 税率ごとに区分した消費税額等
書式の変更、記載事項の追加に伴って、経理システムの変更、取引先への連絡、調整なども必要となるだろう。

②取引先との調整、仕入れ先への教育が必要になる場合も
インボイス制度への対応は社内だけでは終わらない。受け取った請求書が適格請求書でない場合、つまり取引先が適格請求書発行事業者ではない場合、そこで発生する消費税は控除対象にはならない。適格請求書発行事業者でなければ消費税を請求できないのだから当然だと言える。ほとんどの企業は適格請求書発行事業者として登録されているので、取引先間で確認をすればおおむね問題はないと言える。
ただし、年商1000万円以下の小規模事業者、個人事業主との取引がある場合は話が違ってくる。これまではそれらの小規模事業者でも、請求書に消費税を記載し請求することが認められてきた。ただし、小規模事業者に納税義務はなく、そこで支払われた消費税は「益税」と呼ばれて、小規模事業者のもとにとどまっていた。これがインボイス制度では認められなくなる。消費税を請求するには、適格請求書発行事業者でなくてはならず、消費税を請求したからには必ず納税しなければならない。
小規模事業者、個人事業主はインボイス制度を知らない、正しく理解していないケースも多いと思われる。フリーランス事業者との取引がある企業などは、勉強会を開いてあげるなどの対応が必要なケースもあるだろう。年商が1000万円前後を行き来している事業者、1000万円を超えているが少人数で事業を行っている事業者などは、経理に詳しい人材がいないというケースもある。少なくとも対応をしているかどうかのアナウンスはしておくべきだろう。
ただし、年商1000万円以下の小規模事業者、個人事業主との取引がある場合は話が違ってくる。これまではそれらの小規模事業者でも、請求書に消費税を記載し請求することが認められてきた。ただし、小規模事業者に納税義務はなく、そこで支払われた消費税は「益税」と呼ばれて、小規模事業者のもとにとどまっていた。これがインボイス制度では認められなくなる。消費税を請求するには、適格請求書発行事業者でなくてはならず、消費税を請求したからには必ず納税しなければならない。
小規模事業者、個人事業主はインボイス制度を知らない、正しく理解していないケースも多いと思われる。フリーランス事業者との取引がある企業などは、勉強会を開いてあげるなどの対応が必要なケースもあるだろう。年商が1000万円前後を行き来している事業者、1000万円を超えているが少人数で事業を行っている事業者などは、経理に詳しい人材がいないというケースもある。少なくとも対応をしているかどうかのアナウンスはしておくべきだろう。
インボイス制度への対応はいつまでに? タイムスケジュールの話
インボイス制度がスタートするのは2023年10月1日だ。それまでに税務署へ申告して「適格請求書発行事業者」として認定を受け、請求書の改定、社内システム、社内制度の整備、経理部員をはじめ従業員教育を終えていなければならない。
税務署への登録申請は、締め切りが迫ると受付が混み合い、事務手続きに遅れが生じる可能性がある。受付そのものは2021年3月から始まっているので、早めに済ませておきたい。国税庁では、2023年10月1日から適用を受けるためには、遅くとも、2023年3月31日までに申請するように広報している。
税務署への登録申請は、締め切りが迫ると受付が混み合い、事務手続きに遅れが生じる可能性がある。受付そのものは2021年3月から始まっているので、早めに済ませておきたい。国税庁では、2023年10月1日から適用を受けるためには、遅くとも、2023年3月31日までに申請するように広報している。

制度上の申請もさることながら、社内の経理関連システムがインボイス制度に対応しているかどうかを確認し、そうでない場合には改修、あるいは刷新する必要がある。この場合、それにかかる時間はあらかじめ確認しておく必要がある。これもシステムベンダー側はインボイス制度が始まるにあたって受注が増える可能性があるため、余裕を持って調整したい。
効率のよい請求書処理にはインボイス管理サービスの活用も
もう一点、事前に準備を進めておきたいポイントがある。インボイス制度では、これまで求められていた簡易課税制度が廃止される。適格請求書に基づいて、「正確に消費税を計算し、納税する」ことが求められる。それだけ、経理関係部署の負担が増大することになるのだ。働き方改革が浸透し、採用環境も厳しく、容易に人を増員できないいま、より効率化された請求書処理が必要になる。その一つの選択肢が、Sansanの請求書管理、インボイス管理サービス「BillOne」だ。クラウドサービスであり、稼働までの時間がほとんどかからないこと、請求書の受領、送付がすべてオンラインで対応できること、インボイス制度、電子帳簿保存法に対応、必要な機能がすべてそろっている。これを機会に検討してほしい。
インボイス制度への対応を機会に、社内の経理環境の見直しを
インボイス制度、電子帳簿保存法に対応するには、既存の経理システム、社内制度を一度見直す必要がある。そこで、ぜひ、これまでの無駄、長年慣例的に継続してきた業務フローを見直し、社内システムの改善まで手をいれることが望ましいと言える。Sansanの「BillOne」については、下記に詳細資料がある。ぜひ、一読してほしい。