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総務・法務 公開日: 2022.08.04

社印(角印)を電子印鑑にする手順と、その効力を解説

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 働き方改革や生産性向上の一環として書類の電子化が注目され、それに伴って「電子印鑑」も注目されている。個人の印鑑を電子化するだけではなく、社判の一つである「社印(角印)」も電子化すれば、テレワークが推進しやすくなるなど、働き方や生産性の改善が見込めるだろう。本記事では社印を電子印鑑にする方法について解説する。

【画像】Shutterstock

目次

電子印鑑とは?

 電子印鑑とは印影を模した画像データで、物理的な押印が不可能な電子化された書類に貼り付けて使用する。パソコンやスマートフォン、タブレットを用いて書類のPDFファイルやExcelファイルなどを開き、電子印鑑の画像を貼り付けて保存することで処理が完結する。

 電子印鑑にはJPGやPNGなど画像データのみのタイプと、本人認証などのセキュリティー機能を付加したタイプが存在する。

電子印鑑のメリット

 電子印鑑を導入すると得られるメリットは主に以下の三つである。それぞれ具体的に解説していく。

業務の効率化

 紙の書類は、印刷、押印、印紙貼り、宛名書き、郵送などの手間がかかるが、電子印鑑を用いた電子書類ならメールで送信できるなど、業務を効率化しやすい。郵送だと相手まで届くのに日数もかかるが、メールなら一瞬で着く。

 また、テレワークとも相性が良く、働き方改革や業務効率化につながる。紙の書類だと押印が必要になるため、申請のために出社しなければならず、バックオフィスの生産性が低下する要因となる。しかし、電子化された書類であれば申請の度に書類を印刷し、押印した後に再度スキャンするという手間も省けるため在宅からでも処理が可能である。

管理コストの削減

 コストがかからないのも電子印鑑を用いて書類を電子化するメリットだ。紙の書類を扱うにはさまざまなコストがかかる。印刷のための紙代、インク代、プリンターのメンテナンス費用、印紙税、切手代、封筒代、さらに保管のための管理コストも掛かるだろう。

 また、そのような直接のコスト以外にも、例えばテレワークで働いているバックオフィスのスタッフが押印のために出社するための交通費など、間接的なコストも含めると軽視できない問題となる。

 電子化された書類にももちろん管理コストはかかるが、クラウドサービスを利用すればある程度は抑制が可能である。

セキュリティーとガバナンスの強化

 電子印鑑サービスの中にはセキュリティーを強化し、改ざんやなりすましを防止できるものもある。セキュリティー技術を付加した電子印鑑では押印者本人のIDとパスワードによる認証をかけ、強固な暗号技術によって電子的に押印するといった対応方法がある。

 また、書類をクラウドサービスなどに保存すれば誰が書類の内容を変更したのか履歴が残るため、ガバナンス強化にも役立つと考えられる。

社印(角印)とは?

【画像】Shutterstock
 社印とは一言でいうと「会社の印鑑」である。印影の形が正方形(四角形)をしているので「角印」とも呼ばれる。社印というと会社を代表する正式な印鑑のような印象を受けるが、用途としては「認印」であり、法的な効果はそこまで高くない。

 似た言葉として「社判」という言葉があるが、社判は会社で利用するさまざまな印鑑を総称した用語であり、社印とは異なる。社判の中の一つが社印である。

社判の種類

 社判には代表者印、銀行印、社印、住所印、科目印が存在する。その用途をまとめると以下のようになる。

社印(角印)は誰でも押せる?

 社印はあくまでも認印である。請求書や領収書、見積書など普段の業務の書類に押印されるので社員であれば全員が押印することができる。  しかし、社印を押印する以上、発行する書類は正式に会社の意志を表すものになる。したがって、いくら社印が認印であるとはいっても、押印するのはある程度の権限がある社員に限るべきだろう。

他の社判との併用は可能?

 社判はそれぞれ役割が異なるため、併用は避けるべきだろう。例えば住所印を社印の代わりにするのも法的には可能だろうが、請求書の社印を押印する場所に住所印が押印されていたら著しく見栄えが悪い。会社の信用にも関わるため、専用の角印を作るべきである。

 また、代表印は実印に相当する重要な印鑑だ。さらに、銀行印も偽造されると著しく不利益を被る。したがって、これらは印影を複製されないよう、できるだけ人目に触れる機会を少なくする方が望ましいだろう。したがって、代表印や銀行印を社印の代わりに使うのは好ましくないといえる。

電子印鑑の法的効力とは?

【画像】Shutterstock
 電子印鑑を導入する際に最も気になるのは「法的効力があるのか」という点だろう。結論からいうと電子印鑑には法的効力を確保できるタイプと法的効力を持たないと言えるタイプが存在する。

 電子印鑑には以下の二種類が存在する。
1.    印影を模した画像データ
2.    印影を模した画像データに本人の識別情報を付加したもの

 このうち1には法的効力をほとんど持たないと言えるが、2は法的効力を確保できる。

印鑑の必要性と押印の意味について

 電子印鑑に限らず、物理的な印鑑においても同じだが、実は書類に押印の義務は無い。社外とやり取りするような書類は、自社が発行した書類である証拠があれば押印でなくてもかまわない。書類に押印するのは本人識別と偽造防止を目的とした通俗的な慣習である。

電子印鑑と印鑑の法的効力の違い

 押印に法的効力があるかどうかは、電子印鑑か物理的な印鑑かによらず、その印鑑にどれだけ証明力があるかに依存する。物理的な実印について、民訴法第228条第4に「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」とあり、特に疑わしい事情がない場合にのみ、証拠力が認められると解釈されている。

 一方、電子印鑑については、電子署名法第3条に「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と記載がある。簡潔に述べると、電子印鑑の証明力は「例えば、十分な暗号強度を有し他人が容易に同一の鍵 を作成できないものである場合」において、電子印鑑が本物であると証明するための電子証明書が発行されていれば法的効力が確保されていると解釈される。

 項印影を模した画像データに本人の識別情報を付加したタイプの電子印鑑は、IDとパスワードや暗号技術によって本人識別機能を有しているだけでなく、信頼のある第三者機関として電子認証局が本人の電子印鑑であるかをチェックしている。以上から本人が押印した証拠となるため、法的効力を確保できると言える。

社印を電子印鑑にするまでの手順

【画像】Shutterstock
 社印を電子印鑑にするためにはどのような手順を踏めばよいのだろうか。以下に手順を記載する。

手順①電子印鑑のタイプ(セキュリティーレベル)を決定する

 電子印鑑には以下の二つのタイプがあるのは先述した通りである。

1.    印影を模した画像データ
2.    印影を模した画像データに本人の識別情報を付加したもの

 さらに2のタイプの電子印鑑でも作成するアプリやサービスによってセキュリティーのレベルが異なる。例えば本人の識別情報だけではなく、タイムスタンプも合わせて付加するタイプもある。どのような書類に電子印鑑を使うか、社内だけの書類か社外とのやり取りにも使うか、書類の重要度などを勘案して適したセキュリティーレベルの電子印鑑を選ぶべきである。

手順②取引先に連絡する

 電子印鑑を導入する際には少なくとも数カ月前までに取引先に確認し、合意を得るべきである。電子印鑑の法的効果が物理的な印鑑と変わらないとはいっても、取引先が受け付けてくれるかはまた別の話だからだ。もし取引先が電子化された書類に慣れていない場合、検討する時間が必要であるため、早めに確認を取ったほうがよいだろう。

手順③アプリを導入し、社員にアナウンスする

 実際に電子印鑑を導入したら、社員にアナウンスし、使い方や押印の申請フローなどをレクチャーするべきである。今までと業務プロセスが変わると混乱が予想されるため、問い合わせ窓口を設置するなど十分なサポートをしたほうがよいだろう。

電子印鑑を作成する際の注意点

電子印鑑が使用できない書類の存在に留意する

 電子印鑑は全ての書類に使えるわけではない。例えば事業用の定期借地契約は公正証書で契約するように義務づけられている 。電子印鑑を利用して良い書類かどうかは事前に調べておく必要がある。

取引先が対応してくれるかどうかわからない

 取引先が必ずしも電子印鑑を受け入れてくれるとは限らない点を考慮しておくべきである。電子印鑑は年々普及が進んでいるが、それでも物理的な押印を重視する企業はまだまだ存在する。そのような企業と取引する際にどのように対応するかは事前に考えておく必要があるだろう。

取引先がどうしても電子印鑑を受け付けてくれないときには?

 取引先がどうしても電子印鑑を受け付けてくれないときはContract Oneがおすすめだ。Contract Oneは書類を電子化したい企業向けのサービスで、取引先が紙の書類しか受け付けてくれない場合に、書類の発行と郵送処理を代行してくれるサービスである。自社では、オンライン上で、押印・郵送処理の指示ができ、取引先から見れば紙の書類の処理となる。電子印鑑の弱点を補ってくれるサービスであるので、ぜひご覧いただきたい。

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