IT・情報システム
公開日: 2021.07.09
SaaSとは? PaaS・IaaSとの違いや代表例を徹底解説
近年、私たちの生活に欠かせない存在となっている「SaaS」。単語を耳にしたことはあるものの、SaaSとは何か、具体的に何が実現できるのかについて分からない人が多いのではないだろうか。
この記事では、SaaSとは何か、具体的な代表例や導入するメリット・デメリットを交えて解説する。SaaSの全体像が理解でき、自社で導入する際のヒントにして欲しい。

【画像】shutterstock
SaaS(Software as a Service)とは?
SaaSとは、「Software as a Service」の略で、一般的に「サース」や「サーズ」と呼び、インターネットを通じてソフトウエアを利用できるサービスを指す。従来のソフトウエアは、企業内のサーバーやコンピューターにインストールする必要があったが、SaaSの場合はサービス提供者側のサーバーでソフトウエアを稼働させるので、ユーザーはネットワーク経由でソフトウエアの機能を活用できる。
SaaSという言葉は、2006年ごろから使われるようになったが、ソフトウエアをインターネット経由で利用するサービスそのものは、1990年代からすでにあった。当時はASP(Application Service Provider)、直訳すると「アプリーケーションサービスの提供者」と呼ばれていた。
2018年ごろ、多くのスタートアップ企業がSaaSを提供し始めたことで、SaaSという言葉が定着した。BtoC向けのSaaSの増加やリモートワークの推進により、認知度が一気に広まったと言える。
SaaSという言葉は、2006年ごろから使われるようになったが、ソフトウエアをインターネット経由で利用するサービスそのものは、1990年代からすでにあった。当時はASP(Application Service Provider)、直訳すると「アプリーケーションサービスの提供者」と呼ばれていた。
2018年ごろ、多くのスタートアップ企業がSaaSを提供し始めたことで、SaaSという言葉が定着した。BtoC向けのSaaSの増加やリモートワークの推進により、認知度が一気に広まったと言える。
SaaSの種類
SaaSは、Horizontal SaaS(ホリゾンタルサース)とVertical SaaS(バーティカルサース)の2種類に分けられる。
ホリゾンタルサースは直訳すると「水平なサース」で、マーケティングや人事、財務といった、あらゆる企業に共通する、特定の職種に必要な機能を備えている。ホリゾンタルサースの代表例としては、以下のようなサービスが挙げられる。
ホリゾンタルサースは直訳すると「水平なサース」で、マーケティングや人事、財務といった、あらゆる企業に共通する、特定の職種に必要な機能を備えている。ホリゾンタルサースの代表例としては、以下のようなサービスが挙げられる。
- 人事:Smart HR
- 財務:freee
- 営業:Salesforce
一方、Vertical SaaS(バーティカルサース)は直訳すると「垂直なサース」で、特定の業界に必要なあらゆる機能を備えている。例えば、製造業では商品の企画や設計の業務があるが、医療業ではカルテによる患者の容態管理を行う。業界によって必要な業務は異なるので、その業界の形態に合わせて設計されている。バーティカルサースの代表例としては、以下が挙げられる。
- 保育:コドモン
- 教育:スタディプラス
- 介護:カイボケ
SaaSの特徴
SaaSの概要を踏まえて、次は具体的な特徴を解説していく。
特徴1. マルチデバイスによる利用
一つ目の特徴は、あらゆる端末でアクセス可能であることだ。オフィスのPCはもちろん、外出先でノートPCからアクセスができたり、移動中にスマホで閲覧できたりするなど、さまざまな状況で活用できる。
従来のソフトウエアは、ソフトウエアをインスールしたサーバーに繋がっている端末しか利用できなかった。SaaSなら、インターネット環境さえあれば、所有している端末に関係なくソフトウエアへアクセスできる。
従来のソフトウエアは、ソフトウエアをインスールしたサーバーに繋がっている端末しか利用できなかった。SaaSなら、インターネット環境さえあれば、所有している端末に関係なくソフトウエアへアクセスできる。
特徴2. オンラインストレージへのデータ保存

【画像】shutterstock
二つ目の特徴は、ソフトウエア上で利用するデータを、オンライン上に保存できることだ。サービス提供者側のサーバーに保存するので、使用する端末に関係なく、インターネットを経由してデータを保管できる。
一般的に、オンラインストレージへのデータ保存は「クラウド」をイメージするだろう。クラウドの利用形態の一つとしてSaaSがあり、その中の機能としてデータ保存があると認識すれば問題ない。
一般的に、オンラインストレージへのデータ保存は「クラウド」をイメージするだろう。クラウドの利用形態の一つとしてSaaSがあり、その中の機能としてデータ保存があると認識すれば問題ない。
特徴3. 複数人での同時管理や編集操作
三つ目の特徴は、異なる端末から複数人での同時管理や編集操作が可能であることだ。Wordなど各端末にインストールされたソフトウエアの場合、内容が変更される度にデータを渡す必要があり、共有や更新に手間がかかった。
SaaSを活用すれば、インターネット上でソフトウエアが使えるので、一つの管理画面を各端末から閲覧できる。変更内容もリアルタイムで更新され、複数人による同時編集も容易だ。
SaaSを活用すれば、インターネット上でソフトウエアが使えるので、一つの管理画面を各端末から閲覧できる。変更内容もリアルタイムで更新され、複数人による同時編集も容易だ。
SaaSのサービス形態の種類と代表例
SaaSのサービス形態の種類
種類1. OS・ミドルウェア
種類2. サーバー・ストレージ
種類3. アプリケーション
種類2. サーバー・ストレージ
種類3. アプリケーション
SaaSの代表的なサービス例
世界には数多くのSaaSが存在するのが、その中でも代表的なサービスを紹介する。
代表例1. Gmail
Gmailは、Googleが提供するメールサービス。基本的な仕組みは従来のEメールと変わらないが、無料のGoogleアカウントを作成するだけで、すぐにメールの送受信できるのが特徴だ。
代表例2. Dropbox
Dropboxは、インターネット上でデータ管理できるオンラインストレージサービス。画像や動画といったあらゆるデータを保管したり、独自のドキュメントツールを利用したりすることができる。同様のサービスとして、Googleが提供するGoogleDriveやAppleが提供しているiCloudがある。
代表例1. Gmail
Gmailは、Googleが提供するメールサービス。基本的な仕組みは従来のEメールと変わらないが、無料のGoogleアカウントを作成するだけで、すぐにメールの送受信できるのが特徴だ。
代表例2. Dropbox
Dropboxは、インターネット上でデータ管理できるオンラインストレージサービス。画像や動画といったあらゆるデータを保管したり、独自のドキュメントツールを利用したりすることができる。同様のサービスとして、Googleが提供するGoogleDriveやAppleが提供しているiCloudがある。
SaaSとPaaS・IaaSの違い
SaaSと類似するものとして「PaaS」と「IaaS」がある。SaaSとの違いは、提供するサービスの範囲だ。SaaS理解をより深めるためにも、それぞれ解説していく。
PaaSとは
PaaSとは「Platform as a Service」の略で、「サービスとしてのプラットフォーム」という意味である。一般的に「パース」と呼ばれ、アプリケーション開発環境をインターネット経由で提供するサービスを指す。代表的なものとして以下の二つが挙げられる。
- Amazon Web Services(AWS)
- Google App Engine
ウェブアプリやソフトウエアを作るための開発環境を、自社で用意する必要がないことが1番の特徴だ。PaaSを活用してSaaSを提供している企業も、数多く存在している。
IaaSとは
IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略で、「サービスとしてのインフラ」を意味し、「イアース」と呼ばれる。サーバー、ストレージなどのハードウェアやOSを、インターネットを経由して利用できる。代表的なサービスは以下のようなサービスである。
- Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)
- Google Compute Engine(GCP)
- Microsoft Azure
IaaSと似た存在として「VPS(Virtual Private Server)」がある。違いは、VPSは決められたリソースに対して一定の金額を支払い、IaaSは使ったリソースの分だけ支払う従量課金型であることだ。IaaSのほうが柔軟性が高いサービスと言える。
SaaSを導入するメリット・デメリット

【画像】shutterstock
ここからは、SaaSを導入するメリットとデメリットについて解説する。
SaaSのメリット
メリット1. 簡単に導入できる
サービス提供者側のサーバーにアクセスするだけなので、社内のサーバーにインストールして環境設定などをする必要がなく、専用のアカウントを作成するだけですぐに導入できる。企業で導入する場合でも、企業アカウントを作成し、それぞれの社員のアカウントを作るだけだ。提供者によっては、トライアルでサービスを試用できる期間を設けている場合もあるので、使用感を確かめてから導入することもできる。
メリット2. ソフトウエアの管理が不要
ソフトウエアの管理やメンテナンスを全てサービス提供者が行うので、運用保守にコストがかからない。ソフトウエアに関する専門的な知識も不要だ。使い方が分からない場合は、カスタマーサポートに連絡していつでも相談できる。
メリット3. 常に最新の状態で使える
サービス提供者が常に不具合の調整や新しい機能を定期的に追加することで、利用者側はいつでも最新のソフトウエアを利用できる。従来のソフトウエアで新しい機能の追加や不具合の調整をするには、専任のエンジニアが必要で、最新状態を維持するためのコストが大きかった。新しいソフトウエアを導入したくても、導入コストやデータの移し替え、操作の慣れといった移行のハードルも高い。SaaSなら、利用者側は低コストでいつでも最新のソフトウエアを使い続けられる。
サービス提供者側のサーバーにアクセスするだけなので、社内のサーバーにインストールして環境設定などをする必要がなく、専用のアカウントを作成するだけですぐに導入できる。企業で導入する場合でも、企業アカウントを作成し、それぞれの社員のアカウントを作るだけだ。提供者によっては、トライアルでサービスを試用できる期間を設けている場合もあるので、使用感を確かめてから導入することもできる。
メリット2. ソフトウエアの管理が不要
ソフトウエアの管理やメンテナンスを全てサービス提供者が行うので、運用保守にコストがかからない。ソフトウエアに関する専門的な知識も不要だ。使い方が分からない場合は、カスタマーサポートに連絡していつでも相談できる。
メリット3. 常に最新の状態で使える
サービス提供者が常に不具合の調整や新しい機能を定期的に追加することで、利用者側はいつでも最新のソフトウエアを利用できる。従来のソフトウエアで新しい機能の追加や不具合の調整をするには、専任のエンジニアが必要で、最新状態を維持するためのコストが大きかった。新しいソフトウエアを導入したくても、導入コストやデータの移し替え、操作の慣れといった移行のハードルも高い。SaaSなら、利用者側は低コストでいつでも最新のソフトウエアを使い続けられる。
SaaSのデメリット
デメリット1. セキュリティー対策が万全なサービスを選ぶ必要がある
SaaSは、インターネットを経由して利用するという特性上、ネット環境によっては不正アクセスされる可能性がある。実際、不正アクセスによるデータ漏洩といったトラブルも起こっている。SaaSの利用を機に、通信環境の不備から不正アクセスされるケースも想定し、自社で十分なセキュリティー対策を敷くことが必要だ。
SaaSは、インターネットを経由して利用するという特性上、ネット環境によっては不正アクセスされる可能性がある。実際、不正アクセスによるデータ漏洩といったトラブルも起こっている。SaaSの利用を機に、通信環境の不備から不正アクセスされるケースも想定し、自社で十分なセキュリティー対策を敷くことが必要だ。
デメリット2. サービス停止時に復旧が困難
メンテナンスといったサービス停止時は、一切の操作ができない。提供者側のトラブルによる急なサービス停止が起こると、ユーザーの業務に支障をきたす場合もある。安心かつ快適に利用し続けるには、サービス提供者側の運用保守に依存してしまう。
デメリット3. カスタマイズ性が比較的低い
サービス提供者側が全て一括で設計するので、自社のニーズに合わせた機能の追加ができない。メリットで述べたように、新しい機能が随時追加されていくが、自社によって必要であるとは限らず、欲しい機能が追加される保証はない。自社で欲しい機能が全て揃っているサービスを探すのは、難しいかもしれない。
メンテナンスといったサービス停止時は、一切の操作ができない。提供者側のトラブルによる急なサービス停止が起こると、ユーザーの業務に支障をきたす場合もある。安心かつ快適に利用し続けるには、サービス提供者側の運用保守に依存してしまう。
デメリット3. カスタマイズ性が比較的低い
サービス提供者側が全て一括で設計するので、自社のニーズに合わせた機能の追加ができない。メリットで述べたように、新しい機能が随時追加されていくが、自社によって必要であるとは限らず、欲しい機能が追加される保証はない。自社で欲しい機能が全て揃っているサービスを探すのは、難しいかもしれない。
ニューノーマル時代に、ソフトウエアで業務効率化を推進
テレワークの推進を背景に、注目を集めているSaaS。簡単に最新のソフトウエアをあらゆる場所で、いつでも利用できることが魅力である。自社でSaaSサービスの導入を検討している方にとって、この記事が参考になれば幸いである。
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