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IT・情報システム 公開日: 2022.09.26

BYODとは?メリット・デメリット、導入時の注意点を解説

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 時代の流れでテレワークが普及するにつれ、BYODの是非についての議論が活発になっている。BYODは社員の働きやすさや経営上のコスト面において強力な施策となり得る。しかし、セキュリティ上のリスクなど懸念点の多さがあることも事実だ。本記事ではBYODについてメリットとデメリット、導入時の注意点を解説する。

【画像】Shutterstock

目次

BYODとは?

 BYODとは「Bring Your Own Device」の略語である。日本語に直訳すると「あなた自身のデバイスを持ち込む」といった意味になるだろうか。業務に使用するパソコンやスマートフォン、タブレットPCなどの情報端末は会社から支給され、会社が一元的に管理するのが一般的なやり方だ。しかし、BYODは企業が社員に対して、あえて個人所有端末の業務持ち込みを許可する施策をいう。

BYOD普及し始めている背景とは?

 BYODが普及した背景の一つには、情報端末の多機能化や多様化、高スペック化が挙げられる。昔の個人用端末はスペックや機能が乏しいものであり、業務には使えない物が多かった。しかし、現在の情報端末の進化によって、もはや個人所有のローエンドクラスやミドルエンドクラスの端末でも十分に業務に使える機能とスペックを備えている物が多くなった。そのような高機能な端末を個々人が所有しているのに、改めて業務用の端末を支給するのはコスト面でも業務効率の面でも無駄が多いため、BYODが普及し始めているといえる。

BYODの導入率

 ではBYODはどれくらい普及しているのだろうか。総務省が2018年に実施した調査によると、各国企業のICTの導入状況 は米国が23.3%、英国が27.8%、ドイツが27.9%なのに対し、日本はまだ10.5%に留まっており、まだまだ普及し始めといったところだろう。

 詳しくは後述するが、BYODはメリットとデメリットがあり、企業の間でも賛否が分かれている。BYODという言葉は一般的になりつつあるが、現在までに普及が進んでいるとは言いがたい状況である。

BYODを導入するメリット

【画像】Shutterstock

コストの削減

 BYODを導入する最大のメリットはコストの削減である。先述したように、現在の個人用端末は業務用に使えるほど高機能でハイスペックのものが多くなっている。そのため、改めて業務用の端末を会社から支給するよりも個人用の端末の使用を認めたほうが、端末の料金を節約できると考えられる。また、端末導入の初期費用だけではなく、ランニングコストも節約できる。

業務効率の向上

 普段から使い慣れている端末のほうが操作方法も熟知しており、使い方を迷うことなくスムーズに操作できるだろう。情報端末はOSやメーカーによって仕様や操作方法が異なり、使い慣れていない端末の使用を強制されると社員にとってはストレスとなり得る。そこでBYODを導入すれば、日常生活で使っているのと同じ操作や仕様であるため、毎度私用と業務の切り替えを行う必要もなく、業務の効率性が高まると考えられる。

シャドーITの防止

 シャドーITとは会社が認知していない個人用端末を無断で業務に使用するコンプライアンス違反行為である。シャドーITを行う社員がいるとセキュリティやガバナンス上のリスクが生じる。
 
 社員がシャドーITを行う動機は「会社支給の端末に不満がある」「会社支給の端末のセキュリティが強固すぎて煩雑である」などの理由である場合が多い。これはBYODによって解決できる。なぜなら、BYODは個人所有の端末を会社に申請して会社の管理下に置くからだ。社員にしてみれば使い慣れている自分の端末が業務で利用できれば満足なので、わざわざ会社の管理下に無い端末を使う必要がなくなるのである。

BYODを導入するデメリット

セキュリティリスクがある

 BYODを実施すると情報漏えいのリスクは増えると考えられる。なぜなら個人の友人知人などの連絡と業務上の連絡を一つの端末で実施するため、誤送信の恐れがあるからである。また、BYODを実施すると、休日なども含めて日常的に使用する端末内部に業務に関係する情報が入ってくるので、端末紛失による漏えいリスクもある。

労務管理の複雑化

 個人用の端末を業務に利用するとオンとオフのメリハリがつけにくいのがデメリットとして挙げられる。休日でもプライベートな時間でもいつでも業務上の情報に触れられるので、会社が意図しない持ち帰り残業などを誘発しかねない。昨今は企業のCSRや働き方改革が注目されており、違法な時間外労働が発覚すると企業ブランド低下のリスクがある。

BYODでの情報漏えいを防ぐセキュリティ対策

【画像】Shutterstock

MDMの導入

 BYODとは言っても端末は会社側でしっかり管理すべきである。管理するためのMDMというシステムがある。MDMとはモバイル端末管理(Mobile Device Management)の略語で、リモート操作で端末を管理するシステムだ。これを導入しておけば管理者側の操作で端末紛失時に端末内部のデータを削除したり、端末をロックしたりできるため情報漏えいリスクの低減に効果的である。

クラウドサービスを活用する

 BYODを使った業務にクラウドサービスを利用するのも、情報漏えいリスクを低減させる。業務上のデータは全てクラウド上に置いておき、端末内部にはできるだけデータを置かない対策である。このようにすれば、クラウドサービスのログインパスワードさえ漏れなければデータは守られる。さらに、端末紛失が発覚した時点でその利用者のクラウドサービス上のアカウントをロックしてしまえば、第三者によるアクセスを防止できる。

BYODの導入時の注意点とは?

ガイドラインを設定すること

 利用できる端末の種類や、どの端末をどの業務に利用するか、情報漏えい時や紛失時の対応など、社員が守るべきガイドラインを設定するべきである。なぜなら業務に使用する端末にふさわしい運用の基準は個々人により認識が異なるからだ。

 このガイドラインは策定するだけではなく、周知徹底するのが重要である。繰り返し社員に啓発を実施し、社内文化として浸透させるべきである。

ガイドラインを厳格にしすぎないこと

 ガイドラインを策定するべきとは言っても、あまりにも厳格にしすぎるのも本末転倒である。厳格にしすぎると社員が端末の利用にストレスを感じ、シャドーITを誘発してしまう。シャドーITを防止するには、社員がストレスなく便利に端末を使えることが重要だ。

BYODの導入事例

【画像】Shutterstock

自由度の高い働き方を叶えたユナイテッドアローズの事例

 ユナイテッドアローズは2009年からBYODを実施し続けている企業である。この企業では、モバイル端末で業務を行うには会社へ逐一申請が必要であった。したがって、社員は煩雑な申請手続きを避けるため、外出先からメールチェックのためだけに会社に戻ってくるといった非効率な業務の仕方をしていた。そこで2009年に私物の携帯端末を利用した社内メールシステムの利用を開始したところ、自由度の高い働き方への変革に成功した。当時はBYODという言葉はまだ無かったが、典型的なBYODの成功事例と言えるだろう。

一時間の無駄を削減したインテルの事例

 インテルは2010年からBYODを導入した。パソコンだけではなくスマートフォンやタブレットなどあらゆる端末でBYODができるように社内制度を整えた。導入前は会社から支給された端末からVPNを使って社内のネットワークにアクセスする必要があり、非常に煩雑で、顧客対応に遅れが出るなどの影響も出ていた。BYOD導入後は業務の生産性も上がり、社員1人当たり1日に57分の無駄な時間を削減したと試算している。

柔軟な働き方へとつながったデンソーの事例

 デンソーは2014年からBYODを導入しており、個人用のiPhoneとiPadを業務用に使用するのを認めている。これは全社員が対象ではなく、希望者のみである。スタートアップ企業や小規模なIT企業だけではなく、デンソーのような歴史のある大きな製造業でもBYODを導入できると示した事例である。導入の目的は働き方改革であった。会社支給の端末ではテレワークがやりにくいため、BYODの導入に踏み切った。テレワークとBYODの導入によって社員の働き方が柔軟になり、業務の効率性も上がったという。

BYODでも安全に使える営業DXサービスSansan

 BYODはセキュリティ上のリスクも伴う施策である。しかし、しっかりと管理すれば業務効率化やコスト削減などのメリットを享受できる。BYODでも安全に使える営業DXサービスとしてSanSanが挙げられる。SanSanは高いセキュリティと利便性を兼ね備えており、BYODでも安全に個人情報の管理が可能だ。詳しくは以下をご覧いただきたい。

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