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マーケティング 公開日: 2022.02.02

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは? CX向上のポイントや事例を紹介

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 いまCX(カスタマーエクスペリエンス)が注目されている。CXの重要性に異論を唱える人はあまりいないだろう。しかし、なぜCXが重要なのか、CXを向上させるにはどうしたらいいか、それに明確な言葉で答えられる人は意外と少ないのではないだろうか。本記事ではCXが重要視される背景やCXを向上させるポイントについて解説する。

【画像】Shutterstock

目次

CXとは

 CXは日本語では「顧客体験」や「顧客体験価値」と表現される。これは提供する商品やサービスそのものの価値だけではなく、購入や使用に関するさまざまな体験も含めて包括的な価値として提供するというマーケティングの考え方である。

 価値という言葉を聞くと、多くの人は商品やサービスそのものの利便性や機能、効果などを想像するだろう。これを機能的価値という。それに対して、CXは顧客が商品やサービスを認知したときの印象、購入に至るまでの体験、購入後の商品やサービスの利用によってどのような効果を感じ、どのように満足感を得たか、その後のカスタマーサポートをどのように体験し、どう感じたか、企業の広告や活動を見てどう思ったかなども含まれる。

 これは機能的価値のように誰が使用しても同じ効果や変化をもたらす客観的な価値ではなく、顧客一人ひとりが主観的にどう感じるかに焦点を当てた考え方で、機能的価値に対して情緒的価値と呼ばれる。CXは商品やサービスの機能的価値と、それに付随するさまざまな情緒的価値を包括したものといえる。

CX戦略とは?

 CX戦略とは「CX向上のための計画や進むべき方向」である。CXは思いつきで対策を実施してもあまり効果が上がらない場合が多い。顧客を深く理解するのも、顧客に合ったサービスを作るのも簡単ではない。効果を上げるには戦略が必要である。

CXが重要視される背景

【画像】Shutterstock
 現代においてCXが重要視されている理由は主に四つある。
  • 消費者の価値観やライフスタイルの多様化
  • 商品やサービスのコモディティ化
  • サブスクリプションモデルの増加
  • SNSの普及

消費者の価値観やライフスタイルの多様化

 従来のマーケティングでは規格化され大量生産された既製品を多くの顧客が同じように消費し、同じように価値を得る前提で商品開発や販促活動が行われていた。しかし、そのような従来型のマスマーケティングは現代の市場環境では通用しなくなってきている。消費者の価値観やライフスタイルの多様化により、従来型のマスマーケティングではなく、一人ひとりの顧客の体験やそれに対する感じ方に焦点をあてたOne to Oneマーケティングが重要になってきた。そこでOne to Oneマーケティングの一環としてCXが注目されているのである。

商品やサービスのコモディティ化

 昔は便利な物やサービスが少なかったため、商品を開発して売り出すだけで価値ある物とみなされてたくさん売れた。だが、経済や産業が成長し技術革新が繰り返され、市場が成熟してくるにつれて、かつて付加価値のあった商品やサービスがコモディティ化してきた。

 コモディティ化とはその製品の機能が進化を繰り返したために成熟しきってしまい、機能的価値が差別化しにくくなる現象を言う。例えば、スマートフォン一つとってもiPhoneとAndroidスマホの機能性にほとんど差は無いだろう。世の中にはiPhoneを使う人もいればAndroidスマホを使う人もいる。しかし、iPhoneでなくてはいけない理由、Androidでなくてはいけない理由などほとんど存在せず、ユーザーは個人の主観的好みに基づいて選んでいる。

 近年では多くの業界で上記と同様の現象が起こっている。そこで、成熟して差異が生じにくくなった機能的価値に加え「顧客の主観的な体験」という情緒的価値を上乗せして付加価値を高める必要が出てきたのである。これもCXが注目されている一つの理由と言えよう。

サブスクリプションモデルの増加

 昨今は、特に若年層を中心に消費者意識が変化している。昔は商品を購入する動機は所有欲が大きな比重を占めていた。しかし、現代の日本では経済の長期的低迷や社会保障制度への不安を背景とし、多額のお金を払って所有するよりも使いたい時に使いたい分だけ使う需要が高まってきた。サブスクリプションが流行している背景としてこのような変化がある。

 サブスクリプション契約は初期費用も掛からず、解約したい時はすぐに解約できる場合が多い。したがって、顧客にとってみれば手軽に別の製品やサービスに乗り換えられる。サービスを継続して使ってもらうには顧客との良好な関係を長期にわたって維持する必要があるが、商品やサービス自体はコモディティ化している場合が多いため、商品の機能的価値だけでは顧客をつなぎ止められない。顧客はほんの少しでも違和感があればすぐに競合他社のサービスに移ってしまうため、CXの差が顧客数に直結する。

SNSの普及

 SNSの普及はマーケティングの世界に変化をもたらした。現在の多くの消費者はそれぞれSNSアカウントを保持しており、体験した感想をすぐに発信しようとする消費者が多い。旧来型のマスマーケティングのように企業側が自社製品の情報を全てコントロールするのは難しくなっており、企業と消費者で発信力に格差が少なくなっている。

 そのため、顧客の持つ発信力を利用した口コミマーケティングによって成果を上げる企業が多数出現している。また、ネガティブな顧客体験をした顧客がそれをSNSで発信し企業がネット炎上する事例も出ており、良好な顧客との関係の保持が企業の成長やリスク管理に必要不可欠となっている。

CXを向上させるポイント

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 ではどのようにCXを向上させていけば良いのだろうか。先述したようにCXは情緒的価値の上乗せであるので、商品やサービスに関わる体験の情緒的価値を増やすのがCXの基本的な方向性である。

 その前提に基づいた上で、本セクションではCX向上のための二つのポイントを解説する。

ポイント①:データドリブンで実施する

 情緒的価値は企業側の思い込みや自己満足で作り込めば良いというものではなく、あくまでも顧客が主観的に心地よいと感じるかが重要である。しかし、このような主観的な心地よさは個々人によって微妙に異なるから難しい。企業の担当者が顧客の感じ方を思弁のみで考察しても実際の顧客の感じ方とはかけ離れてしまう場合が多い。したがって根拠無く方向性を決めてしまうのではなく、客観的根拠が必要となる。

 具体的にはサイトに訪れた顧客の行動やコールセンターのお客様対応の記録、アンケート調査、SNSの口コミなどからデータを蓄積し、データドリブンによって実施していくのが望ましい。蓄積したデータを根拠に顧客が不快になっているポイントを洗い出し、それを潰していくのである。そのためにはITツールを導入してDXを推進し、データを効率的に蓄積し、有効活用できるような体制を作る必要がある。

ポイント②:全社的に一貫した取り組みを行う

 例えば、多くの企業では顧客対応を複数の部署や担当者で分担して行っている。このとき各部署がお互いの情報を知らずに顧客対応をしていると、顧客から見た企業の対応が不整合を起こしているように見え、CXが低下する原因となる。

 全ての部署の対応や全ての顧客接点に、一貫性を持たせる必要がある。そのためにはITツールを導入し、顧客データを全社的に統一するのが望ましい。

CX向上に苦戦する理由

 本セクションでは企業がCX向上のための取り組みに苦戦する理由について解説する。見落としがちなポイントもあるので注意してほしい。

CXが何なのか分からずに実施している

 日本にはかつて「作れば売れる時代」があった。物やサービスが少ない時代は画一的な大量消費社会であり、とにかく大量に商品を作って出荷するだけで飛ぶように売れたのである。その時代に成功体験をしている企業が多く、なかなか物を売るマインドから抜け出せていない場合がある。

 ガートナージャパンが2020年に行った調査によると、日本企業においてCXに取り組んでいる企業は二割に満たないという調査結果が出ている。また約三割の企業は「CXを知らない」と答えている。多くの企業が取り組んでいないからこそ、今取り組めば他社と大きく差をつける結果につながるだろう。まずは正しい理解が重要である。

顧客ニーズに合わない施策を実施している

 顧客ニーズに対して有効な施策を実施できていないケースもあるだろう。例えば、顧客中心をうたい、セールやポイント還元といった物理的に顧客にリターンのあるキャンペーン施策を実施していても、それらが顧客の本当に必要としているものでなければCX向上とは言えない。CXを向上させるためには、収集した顧客の声から表層的ではない真のニーズを探る必要があるだろう。

 そのためには、先に触れたようにデータドリブンでCXを実施することが重要だ。顧客の訪問やSNSでの口コミなど、顧客視点で商品・サービスに対する不満を捉え、さらに考察を深めていくべきである。顕在的な声から、顧客の潜在的なニーズを探ることで、より有効な施策を打ち出せるはずだ。

部門間の溝がある

 部門間に溝が生まれてしまうとCX戦略がうまくいかない可能性がある。CXを向上させるには商品の認知から購入、そして購入後のカスタマーサービスに至るまで、シームレスな顧客対応が不可欠である。

 例えば、商品やサービスの日頃の利用状況がカスタマーサービスのスタッフまで共有されていない場合には、顧客はカスタマーサービスに対して自身の状況をいちいち説明しなければならない。これはよいCXとは言えない。CXが向上するのは顧客が会社に対し親しみを覚えたときであり、この企業は自分の情報をあまり把握してないのだと認識すると距離を感じてしまうのである。

 これを解消するには、全社で顧客に関する情報を共有し、誰もがアクセスできる環境が必要だ。DXの推進によって全社的な顧客データと管理システムの統一を図る必要があるだろう。

質が高いCXの事例

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ソニー損保

 ソニー損保は、「お客様の声、不満の声」と称して、自社に対するネガティブな問い合わせを公式ホームページ上で公開する大胆な試みを行っている。その上で、顧客の声をどのように受け止め、どう考え、どう改善したかも公開している。昨今の消費者には企業による都合が悪い情報の隠蔽に強い不快感を覚える人が多い。ソニー損保は逆に全てをオープンにして顧客に対して真摯に姿勢を見せていると言える。その結果ダイレクト自動車保険19年連続売上1位という結果につながっている。

 また、顧客のサイト上における行動やコールチャット内容などのデータを蓄積・分析し、契約段階における接客改善を行っている。具体的には、サイト上で一定時間行動していない顧客に対し、何に困っているのかを特定してクローズドクエスチョンの形でサポートするなど、顧客が自身で疑問を解決したり、解決できない場合でも最適なお問い合わせチャネルに遷移させたりする設計を導入している。

東京ガス

 東京ガスではポータルサイトのリニューアルによって会員数を6~7倍に増やした。これは、従来型のマスマーケティング的なサイト情報発信のやり方を改め、顧客情報からエネルギーの使用量や料金の見える化を行い、そこから顧客ごとにパーソナライズした情報を配信した成果である。また、ポータルサイトとリアルの店舗を連携させたキャンペーンを企画するなど、ITとリアルを融合させた戦略により成果を上げている。

ナイキ

 ナイキは実店舗とスマートフォンアプリを連携させたサービスでCX向上に取り組んでいる。店舗外ではアプリを用いた購入、店舗においては店員による接客という使い分けを実施している企業はたくさんあるが、ナイキの場合は店舗におけるCX向上にアプリを活用している点で他企業とは一線を画す。例えば、店舗内でのスマートフォンでの支払い、試着室への商品手配、スタイリストとのスケジュール調整などである。実物を確認できる実店舗の利点とアプリの利便性を融合させた見事な施策と言えよう。

 また、ナイキのアプリはジオフェンシングという技術が搭載され、アプリユーザーが店舗に入店したことを察知できる仕組みが構築されている。ジオフェンシングを用いて、ニューヨークにあるナイキの旗艦店では、ECサイトやアプリなどから入手できる顧客データを統合し、ニューヨークで売れ筋の商品を顧客に発信している。それにより、顧客はどのようなアイテムがトレンドで売れているのかを把握することが可能になるのだ。さらに、顧客がフロアを回遊したり商品を見たりする様子をデータとして捉え、その顧客に合った情報を提供することができるという。ナイキではオンラインや店舗での行動といった顧客データを収集・統合し、アプリを活用することで店舗でのCX向上を実現している。
 以上、質の高いCXを実施している企業の事例を取り上げた。いずれも顧客データを収集・分析し、より快適に商品・サービスを利用してもらうためのCX戦略を立案・実行している例として評価できるだろう。

CX改善のファーストステップは社内データの統合から

 ここまで述べてきたように、全社的なデータの統合・活用はCXの向上においてなくてはならないものである。社内のデータを統合すればシームレスな顧客対応が可能になり、CXの向上が期待できる。Sansan のDXサービスはあらゆる顧客接点を蓄積し一つに集約することで、社内での共有をスムーズにし、顧客コミュニケーションを最適化。CXの向上に寄与する。詳しくは以下の資料にまとめてあるので、ぜひご覧いただきたい。

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