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マーケティング 公開日: 2022.10.07

需要に即した生産を実現する生産管理は製造業におけるDXの要

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 製造業にとって、効率的な生産体制を構築することは長く取り組んできたテーマだろう。テクノロジー活用が進む領域ではあるものの、未だに人的作業が残っていたり需要予測の精度に欠けていたりなど、各工程で課題を抱えて最適化が実現されていないケースも多くある。本記事では、生産管理で直面する課題や課題を解決して全体最適化を図る生産管理システムについて解説する。

【画像】Shutterstock

目次

生産管理とは?工程管理とは違う

 生産管理とは、製造業において製品の企画から販売計画、原材料の調達、製造工程、品質保障、出荷、売上まで管理する業務である。一定の品質の物を効率よく大量に作らなければいけないため、事前に細かい計画を立て、それに基づいて実施される。生産を管理するには、主に品質、原価、納期の三つの要素を管理する必要がある。

 生産管理とよく似た言葉に「工程管理」があるが、工程管理とは生産管理のうち製造工程の管理を指す。製造工程では、発注を受けた製品を期日までに納品するべく、製造設備の確認や作業員の配置、資材調達などを進める。

自社製品の競争力を高めるために

【画像】Shutterstock
 生産管理の目的は需要に合うように生産量を管理し、自社製品の競争力を高めることだ。製品の需要はさまざまな要素によって日々変動する。需要が減っているのに大量に生産してしまうと在庫が増えて経営を圧迫してしまい、需要が増えているのに生産量が小さいと欠品が生じて機会損失になる。このような事態を避け、最適化するために、品質、原価、納期を重点的に管理する必要がある。

生産管理の業務内容とは

需要予測

 商品の生産が決まったら、まず需要の予測から始める。需要を把握しているかどうかで売り上げが大きく変わるからだ。商品の需要は季節やトレンド、景気動向、競合他社と自社のポジションなどさまざまな要素によって変わってくるため、過去の実績や、アンケートによる市場調査、AIなどテクノロジーを用いた分析など様々な方法がとられる。なので、季節性のある商品なら過去の販売データから予測しやすい場合もあるが、新しい商品ならば予測の難易度が高くなる。例えば、コンビニにおけるかき氷やアイスクリーム、おでんなどの季節商品は季節の変わり目に需要がピークになることで知られている。また、高価なゲーム機などはクリスマスやお正月に需要が増えると予測できる。

生産計画の立案

 需要が予測できたら生産計画を立てる。生産計画とは、生産における「何を(商品)」「どれくらい(数量)」「いつまでに(時期)」を決める作業だ。原材料の調達計画や営業計画にも関わってくるため、生産部門のみで決められるものではなく、財務部門や調達部門、営業部門との調整が必要になる。    

生産

 生産計画が立った後はその計画に沿って実際に生産する段階にはいる。ここでは、原材料の調達や製造工程、品質の状況を把握して生産計画通りに進んでいるかを把握し、生産目標を達成できるよう調整をしていくことになる。製造方式は商品や会社の方針ごとに異なっており、例えば、ベルトコンベアに流れていく製品を作業員が所定位置で組み立てる「ライン生産方式」、一人の作業員が材料から完成まですべての工程を受け持つ「セル生産方式」などがある。

調整と改善

 生産計画を立て、実際に生産を行うなかで、計画に遅れや、狂いが生じてしまうことがある。そういった際の調整と改善も生産管理の一部だ。例えば遅れが生じた場合は製造工程の効率性を見直したり、計画を修正したりして生産計画に合うように生産工程を調整する必要がある。また、予想よりも需要がない時など、在庫が過剰に余る場合は、生産工程の稼働を抑制してできるだけ在庫が出ないようにしなければならない。

生産管理における課題

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 一般的に生産管理は難易度の高い業務といわれている。それは以下のような課題があり、制御が難しいからである。

需要予測が困難

 生産計画を立てるには需要を予測しないといけないが、完璧な予測は難しい。例えば過去のデータから統計的に分析を行う手法として、昨年の売上を平均して算出する移動平均法や過去の需要予測と実績から予測を導き出す指数平滑法などが挙げられるが、前提とするデータや組織に蓄積したノウハウによっても変わってくる。また、新しい事業領域に参入した場合、需要を予測するデータやノウハウ自体がない場合もある。その際には予測の方法から検討しなければならない。

納期遅れの発生

 納期遅れへの対応も、生産管理における重大な課題だ。サプライチェーン全体が最適化されていなければ生産効率が落ちる場合がある。加えて、自然災害やパンデミックなど社会情勢も製造が遅れる要因となる。いくら自社工場の生産管理を効率化しても、原材料の調達に時間がかかりすぎれば生産できないだろう。また、顧客が納期の短縮を要求してくる場合がある。その場合に柔軟に対応できなければ機会損失になる恐れがある。

負荷の平準化ができない

 例えば複数の製造ラインが存在するとき、すべてのラインが同程度の負荷がかかっている状態が望ましい。特定のラインにだけ負荷が集中し、他のラインではリソースが余っている状態は、全体としてみると生産効率が低い状態となる。また、現代の工場、ラインが決まった製品だけを生産しているケースは稀であり、さまざまな製品を少しずつ生産しているのが一般的だ。そのため、負荷を平準化させるよう調整するのは難しく、非効率な生産になってしまいがちである。

人的ミスが発生

 ラインの自動化は進んでいるが、人が実際に手を動かさなければならない作業は残っている。どれだけ注意していても人はミスをしてしまうものであり、それが生産計画の遅れの原因となる場合もある。例えば手配漏れや誤発注はよくあるミスだ。

過剰在庫が発生しやすい

 一般的には部品や原材料の種類が多くなればなるほど組み立ての工程が複雑になり、過剰在庫が発生しやすくなる。これは完成品の在庫だけの話ではない。各工程の間にある生産途中の在庫(仕掛品)が多くなると生産計画を圧迫する。改善を行い一つの工程で生産効率が上がっても、次の工程の生産効率が悪ければ工程の間に仕掛品が山のように積み重なってしまう。これを防止するには生産工程全体の最適化を行う必要がある。

生産管理システムで課題を解決

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 一つひとつの工程はもちろん、全体の最適化も行わなければならない生産管理。生産管理システムは、上記のような課題を解決するために誕生した。

生産管理システムとは

 生産管理システムとは生産管理のすべての工程を一元的に管理し、効率化するツールである。生産工程ではさまざまなモノとカネと情報の流れが生じ、置かれている状況もさまざまで、さらにそれぞれ複雑にからみ合っているが、生産管理システムはそれらを統合して管理し、日々変化する需要に対応する。
 
 生産管理システムは主に以下の機能を有している。

●    生産計画
●    予算管理
●    原価管理
●    資材管理
●    部品管理
●    工程管理
●    在庫管理
●    納期管理

 生産計画機能は生産管理システムのなかでもメインの機能であり、製品ごとに生産時期や量、コストを考慮した高精度の計画立案ができるようサポートする。また、生産計画に基づいて納期までに効率よく生産・納品するために用いる、原材料などの必要量計算や製造手配表の作成を果たす資材管理機能や、作業の進捗を可視化する工程管理機能なども備わっている。

 予算管理機能は組織全体や各工場に合った予算を立てられるものだ。把握しづらい製品原価の算出に役立つのが原価管理機能であり、見積もりのお問い合わせがあった場合も簡単に提示できるようになる。

生産管理システム導入のメリット

 生産管理システムの機能は多岐にわたるため、導入のメリットも多数存在する。例えば以下のようなメリットが挙げられる。

●    在庫数の確認や発注作業が自動化できる
●    情報を一元的に集約し、全体に共有できる
●    客観的な需要予測ができる
●    生産管理の工程の全体最適が可能となる

 「在庫数の確認や発注作業が自動化できる」点に関しては、人的ミスを防ぎつつ計画通りに生産を進めるのに不可欠な要素だ。Excelを使うなど在庫管理や購入依頼を手動で行う企業もあるだろうが、生産規模が拡大すればするほど人的ミスが発生しやすくなる。

 しかし、生産管理システムを使えばバーコードの読み取りによる在庫管理ができる。さらに、リアルタイムで可視化される在庫状況に基づいた受発注の自動化が実現され、人的ミスを回避するだけでなく過剰在庫や欠品防止も可能になる。

 また、「客観的な需要予測ができる」意味でも生産管理システムは魅力的だ。Excelを用いてマーケティング担当者が移動平均法や指数平滑法などの分析を行えば確かに需要予測は可能である。しかし、分析には時間がかかることもある上に、経験や勘も要素として加味される需要予測分析は属人化しやすい業務であり担当者によって予測精度にバラつきが生じることもある。生産管理システムなら手間のかかる分析も自動で実行するだけでなく、AIや機械学習を通して従来の需要予測で使われたビッグデータを分析して精度の高い結果を導き出すこともできる。

 これら在庫管理や需要予測など生産に関わる工程を、生産管理システムはまとめて管理する。工程ごとに独自のシステムを導入している場合は生産管理に関する情報を個別の工程ごとにしか得られないが、生産管理システムは「情報を一元的に集約し、全体に共有できる」ので全ての工程をまとめて把握することができる。また、工程別で独自のシステムを運用することで個別最適を図ることは可能だが、生産管理全体の最適化を実現するのは容易ではない。しかし、情報を一元管理する生産管理システムを用いれば全体最適を実現してより効率的な生産管理を行うこともできるだろう。

生産管理システム導入のデメリット

 一方で、生産管理システムの導入にはデメリットも存在する。例えば導入コストがかかる点はデメリットといえる。また、ランニングコストも利益率を圧迫する。

 また、現場の社員が使いこなせるシステムでないと効果的に作用しない点も注意する必要だ。そのためには社員への研修やヘルプデスクの設置などの手間もかかる。

現在、導入されている有名な生産管理システム

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 製造業の根幹となる生産管理システムに関して、既存サービスだけでなく独自開発したシステムを活用している企業もある。既存サービス活用の方が独自に開発するよりも安価であることが多いものの、それぞれの企業における生産プロセスは多種多様であるため、コストがかかってもより自社に合ったサービスを使って生産管理を最適化しようとするケースもある。今回は導入実績の多い既存サービスだけでなく、独自開発により注目を浴びている生産管理システムも紹介する。

TPS(トヨタ生産方式)

 TPS(Toyota Production System)はトヨタ自動車が採用している独自の生産管理システムであり、トヨタ生産方式とも呼ばれる。「ムリ・ムダ・ムラ」を徹底的に排除するというコンセプトの元に作られ、効率化に重点を置いたシステムである。その生産方式を支えている2つの柱が、自働化とジャスト・イン・タイムだ。

 自働化とは不良品をつくらないために生産過程で異常が発生した場合に製造を停止するシステムである。また、ジャスト・イン・タイムとは各工程で必要とされるものだけを滞りなく生産する考え方である。トヨタ生産方式は、1896年に自働化を組み込んで開発された豊田式汽力織機に起源を持つ。1927年、織機工場の組立ラインにチェーンコンベアを採用した流れ作業を導入したのを皮切りに、トヨタ生産方式はアップデートを続けながらトヨタやその協力会社のみならず、世界の製造業の発展に多大な影響を与えている。トヨタはこの生産方式を取り入れることで、顧客のニーズに合った車を1台ずつ、確かな品質で手際よくタイムリーに届けることが可能になった。

 TPSは付加価値に寄与しない作業をムダとして徹底的に排除していく点に特徴がある。付加価値に寄与しない作業とは、過剰な仕上げ作業、過剰な検査、理由なく存在する在庫、前工程の完了を待っている時間、探す・調べるなど価値を生まない動作などを指す。

FutureStage

 FutureStageは日立が提供している中小企業向けの基幹業務システムである。業務システムを謳っているが、生産管理と販売管理がメインの機能であり、製造業の生産管理システムとしても利用できる。

 在庫や現場、経営におけるあらゆる情報を可視化し、データの一元的な管理によって市場の動向を予測し、経営計画の見直しをサポートしてくれる。生産管理機能においては輸出・輸入まで対応しており、海外展開するビジネスに強いのが特徴である。

Factory-ONE 電脳工場MF

 Factory-ONE 電脳工場MFは株式会社エクスが提供している、中小・中堅企業向け生産管理システムである。販売開始から25年、1700本以上の導入実績を誇る定番で、生産管理のすべての工程を総合的に管理できる。主に工場での使用を想定したシステムだが、請求・売掛・入金など、販売管理機能も搭載しており、企業を総合的に支援してくれるシステムである。

生産管理システムを導入してDX推進しよう

 生産管理システムの導入は、製造業に業務効率化や課題解決などのメリットをもたらす。なぜなら、生産管理システムを導入すれば、生産工程における無駄や、解決の難しい部分を、自動的に解消へと導いてくれるからだ。生産工程は製造業にとっては企業全体の生産性に直結する部分であり、可能な限りのムダの排除が重要である。

 生産管理システムに限らず、企業のDXといえば、SFA(セールスフォースオートメーション)やMA(マーケティングオートメーション)といった営業やマーケティングに関するITツールが有名だ。その一方で製造業がDXを推進するには、生産管理システムの導入が避けて通れない道であるのは本文で理解いただけたのではないだろうか。

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