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マーケティング 公開日: 2021.06.29

データドリブンマーケティングが進まない……BtoB企業が苦戦する理由とは

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 データに基づいたマーケティング活動、すなわちデータドリブンマーケティングの必要性が叫ばれる一方で、データを活用できている企業はまだまだ少ない。本記事では、BtoB企業において、データドリブンマーケティングが進まない理由に加え、進める方法ついて解説していく。

画像:shutterstock

目次

BtoBビジネスにおいて、データを最大限に活用したマーケティング活動が盛んに

 近年、MAを導入してマーケティング活動を自動化する企業が増えている。矢野経済研究所の調査によると、MAに関する2020年の市場規模(事業者売上高ベース)は前年比111.3%の見込みとなると発表されている。また、2025年には2020年と比べて165%までに成長するとのことだ。
 MAを導入した多くの企業では、BtoBのマーケティングでデータを活用する動きが活発となっている。実際、マーケティング活動において顧客データベースを活用している企業は目標達成している割合が高いことが調査から判明している。帝国データバンクが行った「BtoBマーケティングのデータ活用に関するアンケート」によれば、マーケティング活動における評価指標を達成したチームと未達成であるチームの2チームに分けたとき、マーケティング用の顧客データベースを構築していると答えた割合はそれぞれ60.1%と28.7%となり、2倍以上の差が見られた。
 現在ではインターネットの発達で顧客の個人情報(生年月日や職業など)や顧客の消費行動(商品やサービスの購入数や購入日)といった顧客データや、商品の出荷データ、リソース配分情報といった業務データなど、さまざまなデータを取得できるようになった。ゆえにデータを活用し、将来の需要予測や効果的なマーケティング戦略の提案が行われるようになった。
データドリブンマーケティングとは
 オンライン、オフラインで収集した顧客のデータを基に、マーケティング施策を実行することだ。
見込み顧客の属性や行動といったデータを根拠にマーケティング施策を行うため、そのデータがチーム内に共有され、スキルの無い担当者でもアプローチが成功しやすくなったのだ。実行した施策に対してもデータを用いて効果検証と改善を繰り返す、いわゆるPDCAサイクルを回していくことで、マーケティング施策の成功率を高めていく。
 データドリブンマーケティングは人手不足や、マーケティング予算の縮小に見舞われている企業にとって、業務が効率化されるのもメリットである。データドリブンなマーケティング施策を実行することで成功率を高めるのと同時に、業務が効率化すればマーケターは見込み顧客や施策の分析に専念できる。

 データドリブンマーケティングの実行に際して、BtoCと異なり、BtoBの取引で必要となるのは、以下の情報である。
  • 企業情報:会社名、住所、業種、従業員規模、売上高、商材など
  • 人物情報:メールアドレス、電話、部署、職種、役職、決済可能な予算、社内での立ち位置、興味関心など
  • 行動情報:オンライン(ウェブページ閲覧、メール開封・クリック、閲覧した広告など)での行動、オフライン(イベント、展示会、架電、商談、購買など)での行動
 このような情報(データ)を掛け合わせ、多角的に分析することで、顧客に対して適切なアプローチが可能になる。
 
 データドリブンを利用したアプローチの例は以下の通りだ。
  • イベントに来場したため、お礼メールを配信したところ、メールを開封し製品資料をダウンロードした。これらの行動から自社製品への関心が高そうなので、アポイントを打診してみよう。
  • ある業種の企業から問い合わせがあった。この業種からは過去何度か問い合わせをもらっているので、ターゲットにできそうだ。アクセス解析によると、今製品資料ページを開いているので、電話をしてみよう。

必要なデータを管理・分析するためにMAを導入する企業も

画像:shutterstock
 データドリブンマーケティングが注目されるにつれ、MAツール(マーケティングオートメーション)を導入する企業が増えている。

 2020年に発表された株式会社矢野経済研究所の調査によると、2020年のMA市場の市場規模(事業者売上高ベース)は447億3500万円で、前年比111.3%となる見込みだ。同社では毎年MA市場の規模推移予測を発表しており、2025年には737億円になると予想している。
 MA導入が増加し続けている背景には、先に挙げたように定量的なデータを軸にマーケティングを行う必要性が認識されるようになっているからだ。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの企業でテレワークが取り入れられ、オフィスに出社する人が少なくなったり、電話の外部取次サービスが使われたりしている。そのため、訪問営業や電話に応対してもらえる確率が低くなった。電話だけでなくメールやウェビナーなど、コミュニケーションの手法についてオンラインシフトをしていかなければ、テレワーク下で生き残れない。

 加えて、財・サービスを購入するときにはインターネットで情報を集めるなど、現代では顧客による購買プロセスの比較・検討がオンライン上で行われるのが主流である。見込み顧客からアクションを起こしてもらうか、一人ひとりに合わせた適切なアプローチで自社製品の必要性を訴えるか、このどちらかにより商談が始まることが多い。MAを適切に使えば、見込み顧客一人ひとりに合わせたアプローチができるようになるため、導入する企業が増えているのだ。

 MAは見込み顧客のデータを管理・収集し、分析を助けるマーケティングツールである。個別のニーズに答えなければならない現代でデータドリブンマーケティングを行うのであれば、MAはぜひ導入しておきたい。

 しかしながら、MAを導入するだけでは思い描くようなデータドリブンマーケティングで成果を出すことは難しい。そもそもMAに入れるデータが正確でない、あるいは古い情報である場合、正確な分析ができないからだ。まずは保有リードの情報を整理する必要がある。

企業が陥りがちな“データの質”に関する落とし穴

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 データドリブンマーケティングにおいて、大量のデータを集めることにフォーカスしている担当者もいるだろう。確かに一定量の情報を獲得することも必要であるが、実は、多くのBtoB企業でデータドリブンマーケティングが進まないのはデータの質が悪いことに起因する。

 データドリブンマーケティングを目的にMAを導入したのはいいが、見込み顧客のデータが以下のようになっていないだろうか。

人物情報が古く、欠けがある

 人物情報とは、名前、メールアドレス、電話、部署、職種、役職などを指す。入力された人物情報が古いものだったり、メールアドレスだけ抜けていたりしないだろうか。知らないうちにその人物が異動あるいは退職しているということもよくある話だ。

フォームに入力された情報に表記揺れや誤記がある

 顧客が情報入力時に略称を用いていると、会社名や部署が正確に判定できない。同じ会社・部署であるにも関わらず、違う会社・部署だと判定されてしまう可能性がある。

リード情報や行動情報の管理方法が、施策ごとにばらばらになっている

 資料ダウンロードで取得したリードはExcel、ウェブ訪問履歴はMA、イベント参加は紙の名刺など、施策ごとに管理方法がばらばらになっていないだろうか。MAを導入するのであれば、全てMAに集約した方がよい。また、部署ごとにデータ管理がされているのであれば、これも社内で統一すべきだ。

 上記の状態でデータドリブンマーケティングを実行しても成果は出ない。せっかくMAを使って戦略を立てたとしても、誤ったデータを基に分析しているため、効果が出にくい戦略となってしまう。

 MAにデータを移行する前に、データの揺れや間違いを正すデータクレンジングを依頼したり、リードの情報を最新に保つ取り組みを検討したりするなど、データドリブンマーケティングを始めるのであれば、まずは保有している“データの質”を見直してほしい。

 また、データドリブンマーケティングを行う前に、見込み顧客のデータの重要性を社内全体で認識することが重要である。そのためには定期的に施策分析をして、データを用いて原因を分かりやすく伝える努力が必要だ。

Sansanの実践例からひもとく、データ活用

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 では「データの質を見直す」とは、具体的にどうすればよいのかを解説していこう。

 Sansanでは、創業期から拡大期にわたりデータドリブンマーケティングを実践しており、事業成長を支えたのは「データ活用戦略」だった。名刺管理サービスの認知拡大に努めた創業期、エンタープライズ企業攻略とアップセルで事業拡大を加速させた拡大期では、取り組むマーケティング戦略を変化させている。

 成長フェーズに合わせ、どのように顧客のデータを管理し、質を担保してきたか。Sansanの事例を踏まえ、データドリブンマーケティングの実践方法を下記、資料にて解説する。

初めの一歩として、まずはデータの質の見直しを

 昨今のBtoB企業の営業活動では、データを活用してマーケティング活動の効果を最大化させるデータドリブンマーケティングが注目されている。しかし、本記事で解説した通りデータの質が担保されていなければ意味が無い。マーケティングに取り組んだり、MA導入を検討する前に、まずは保有リードのデータを見直してみてほしい。

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