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その他ビジネス 公開日: 2021.07.16

生産性分析の指標「労働生産性」とは? 計算方法や活用事例を解説

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 「労働生産性」が低いと言われている日本。しかし、そもそも労働生産性とは何かを理解していなければ改善策も見えてこない。本記事では生産性分析の指標である労働生産性について、計算方法や活用事例を徹底解説する。

【画像】shutterstock

目次

生産性分析の指標「労働生産性」とは?

 生産性を分析する際の指標「労働生産性」について、分かりやすく解説していく。

そもそも生産性とは?

 生産性とは、投入した資源(インプット)によって産出された成果(アウトプット)の比率を意味する指標だ。生産性は基本的に次のような計算式で求められる。
  • 生産性 = 産出 ÷ 資源
 計算によって出された数値が大きければ大きいほど、生産性が高いと言える。つまり投入している資源を有効的に活用できているのだ。企業の視点で考えてみるとカネ・ヒト・モノ・情報などに投資した結果、どれくらいの成果が得られたのかを把握できる。これは会社を経営していく上で非常に重要な指標だ。

労働生産性とその計算方法とは?

【画像】編集部作成
 労働生産性とは、労働者が成果を生み出すための効率を示した数値である。先に紹介した生産性の計算式において労働力、または労働時間を投入した場合に算出できる。具体的な計算式は次の通りだ。
  • 労働生産性 = 労働によって得られた成果(産出) ÷ 労働量(資源)
※労働量とは、「労働者数」または「労働者数 × 総労働時間」
 従業員1人当たりの労働生産性を算出したいのなら労働量は「労働者数」、一方で従業員1人1時間当たりの労働生産性を計算したい場合には「労働者数 × 総労働時間」を分母に置く。

 この計算式によって算出された数値が高ければ、従業員が効率よく働けていると分かる。労働生産性を高めたいのであれば、職場環境を整えて業務効率化を実施したり従業員のスキルアップを図ったりなどの対策を立てよう。

生産性分析のメリット

 労働生産性などの指標を活用し企業経営を深く分析していく生産性分析は、財務分析の一つである。投資した労働量や設備が効率よく活用できているか、どれくらいの売上や付加価値の創出につながっているのかなどを確認できる手段だ。

 また生産性分析によって算出された数値を、前年度の労働生産性や同業他社と比較すれば、自社の経営状況について把握できる点もメリットと言えるだろう。

 加えて生産性分析を深めると、自社が抱えている課題が明確になり、何かしらの対策を立てなければならない状況が見えてくる。このように労働生産性を知って分析することは、現状をより良くするための足がかりとなる。

労働生産性の種類

【画像】shutterstock
 労働生産性は何を成果(産出)とするかによって、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の二つに大別できる。

1. 物的労働生産性

 物的労働生産性とは、投下した労働力によって生み出された成果を生産量や販売金額といった物的なモノに置き換えて計算した指標だ。どれだけ生産できたのか、どれだけの売上があったのかが重要である。具体的な計算方法は次のとおりだ。
  • 物的労働生産性 = 生産量 or 販売金額 ÷ 労働量
 例えば4人の従業員が、6時間で製品を300個生産したと仮定する。この場合、従業員1人当たりの物的労働生産性は「300個(生産量)÷ 4人(労働量)= 75個」だ。また従業員1人1時間当たりの物的労働生産性は「300個 ÷(4人×6時間)= 12.5個」となる。

 このように物的労働生産性を計算すると、従業員が製品やサービスをどれくらい効率よく生産できているのかを数値で把握できる。

2. 付加価値労働生産性

 付加価値労働生産性とは、企業が新たに生み出した金額的な価値はどれくらいなのかを示す指標である。投下した労働力によって得られた成果を付加価値額に置き換えて計算する。

 付加価値労働生産性の計算式は下記のとおりだ。製造業と非製造業によって、付加価値額が若干異なるため注意してほしい。
  • 付加価値労働生産性(製造業) = 付加価値額 ÷ 労働量
※製造業における付加価値額  = 売上 - 諸経費(材料費、燃料費、運搬費など)
  • 付加価値労働生産性(非製造業) =付加価値額 ÷ 労働量
※非製造業における付加価値額  = 売上総利益(粗利)
 まずは製造業における付加価値労働生産性の具体例を挙げてみよう。4人の従業員が、8時間で50万円の売上を上げたと仮定する。しかしこの売上を得るために、材料費や運搬費などの諸経費が20万円かかった。

 これらを計算式に当てはめると、付加価値額は「50万円(売上) - 20万円(諸経費)」で30万円だ。そして従業員1人当たりの付加価値労働生産性は「30万円 ÷ 4人 = 7万5000円」となる。また1人1時間当たりの付加価値労働生産性は「9375円」だ。

 次に非製造業で考えてみよう。非製造業における付加価値額は「売上-売上原価」で算出される売上総利益と同じである。例えば、4人の営業担当者が8時間で100万円の売上を上げたとする。このとき、4人分の交通費などの諸経費(売上原価)が20万円発生した。

 つまり「100万円(売上)- 20万円(売上原価)」で、売上総利益(付加価値額)は80万円となる。そして従業員1人当たりの付加価値労働生産性は「80万円 ÷ 4人 = 20万円」と算出できるだろう。また1人1時間当たりの付加価値労働生産性は「2万5000円」となる。

労働生産性を深く分析するときに活用したい指標

 労働生産性を詳しく分析したい時には、下記のような指標を活用しよう。

労働分配率

【画像】shutterstock
 労働分配率とは、企業が産出した付加価値額において、どれくらいの割合で人件費がかかっているかを表す指標だ。ここでの人件費とは賃金だけではなく、退職金や福利厚生なども含まれる。つまり付加価値額のうち、人件費として従業員に支払われたお金の割合が労働分配率だ。計算式は次の通りである。
  • 労働分配率 =(人件費 ÷ 付加価値)× 100
 前述のとおり、労働生産性は高ければ高い方が望ましい。しかし労働分配率については、低すぎても高すぎても芳しくない。

 例えば労働分配率が高い場合、売上や付加価値額を人件費が圧迫し、赤字や倒産といったリスクが高くなる。反対に利益を求めすぎるばかりに人件費を大幅に削減すれば、確かに労働分配率は下がるが、社員の労働環境やモチベーションに大きく影響してしまう。

 下記は経済産業省が発表している、各業種における平成30年度の労働分配率だ。これを見てみると日本企業の平均労働分配率は、約40~60%と言えるだろう。
  • 製造業…47.8%
  • 電気、ガス業…21.0%
  • 情報通信業…55.8%
  • 卸売業…48.6%
  • 小売業…49.3%
  • クレジットカード業、割賦金融業…28.0%
  • 物品賃貸業…24.8%
  • 学術研究、専門・技術サービス業…60.9%
  • 飲食サービス業…64.9%
  • 生活関連サービス業、娯楽業…47.1%
  • 個人教授所…57.2%
  • サービス業…71.1%
 ただし業種によって大きく異なるため、自社の業種の平均労働分配率を把握しておかなければならないだろう。

設備投資効率

 設備投資効率とは、生産するための設備がどれほどの付加価値を生み出しているのかの割合だ。数値が高ければ高いほど、資産生産性が高いと言える。計算式は下記の通りだ。
  • 設備投資効率 =(付加価値額 ÷ 平均有形固定資産)× 100
 この計算式によって算出される数値が高ければ、企業が投資した設備に対して満足のいく利益を生み出せている。一方で設備投資効率の数値が低い場合には、投資した設備に対して十分に利益を得られていないことが分かる。

有形固定資産回転率

 有形固定資産回転率とは、土地や建物、設備などの形がある資産から効率的に売上を生み出している回数が求められる指標だ。下記は、有形固定資産回転率の計算式である。
  • 有形固定資産回転率 = (売上高 ÷ 有形固定資産) × 100

労働装備率

 労働装備率とは、従業員1人当たりにおける設備投資額の割合を示す指標である。有形固定資産が従業員1人当たりに対して、どれくらい割り当てられているのかを示したものだ。計算式は次の通りだ。
  • 労働装備率 = (有形固定資産 ÷ 従業員数) × 100
 例えば大規模な工場などでは、土地や設備が多いために労働装備率が高い傾向にある。反対に、パソコンなどのIT機器だけで業務をこなせる企業では低くなるだろう。このように業種によって数値が大きく異なるため覚えておこう。

労働生産性分析の活用事例

【画像】shutterstock
 では実際に、具体的な数値を使って労働生産性を分析してみよう。ここでは付加価値額、付加価値労働生産性、労働分配率について求めてみる。下記のような企業があったとしよう。
  • 従業員人数:150人
  • 売上高:1億円
  • 売上原価:5000万円
  • 人件費:3000万円
 この条件を基に、これまで解説してきた計算式に当てはめて労働生産性を分析する。

【付加価値額】
1億円 - 5000万円 = 5000万円

【付加価値労働生産性】
5000万円 ÷ 150人 = 33万3333円

【労働分配率】
(3000万円 ÷ 5000万円) × 100 = 60%

 この会社の付加価値額は5000万円、付加価値労働生産性は従業員1人当たり約33万円、労働分配率は60%だ。こうして分析したら、同業他社や前年度の数値と比較し、改善していくべき問題点をあぶり出せるだろう。労働生産性の分析は、より良い経営をしていくために重要だ。

生産性向上に役立つサービスを紹介

 自社の労働生産性がどれくらいなのかを把握した次は、生産性の向上が図れる施策を実施すべきだ。労働生産性がアップすれば会社の売上向上だけではなく、労働環境の改善や従業員のモチベーション維持にもつながる。

 例えば誰がやっても同じ成果が得られる業務は、クラウドソーシングサイトなどを活用して外注してみよう。クラウドソーシングサイトでは、データ入力や資料作成が得意な人にオンライン上で仕事を依頼できる。また社内でのコミュニケーションを円滑にするため、ビジネスチャットツールを導入するのも一つの手段である。

 下記の記事では、組織を活性化するための取り組みについて詳しく解説している。深刻な人員不足が問題化している中で、少しでも労働生産性を向上させ、会社を成長させたいと考えている人はぜひ読んでほしい。

労働生産性の向上はこれからを生き抜くための重要課題

 労働生産性というと工場などの製造業を思い浮かべる人も多いが、非製造業にとっても大切な指標である。時代の流れに合わせながら企業経営を行うためには、自社の労働生産性を分析し向上させていかなければならないからだ。

 本記事で紹介したいくつかの指標を活用して、今一度、自社が高い付加価値を生み出せているかを見直してみてはいかがだろうか。

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