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その他ビジネス 公開日: 2021.09.16

働き方改革のユニークな取り組み事例やアイデア10選

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 昨今は、働き方改革関連法案の改正や新型コロナウイルス感染症拡大によって、働き方が多様化している。しかし、自社で働き方改革を進めていくために何をすれば良いか見当が付かない企業も多いだろう。そこで本記事では、働き方改革のユニークな取り組みの事例を紹介する。

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目次

働き方改革のユニークなアイデア・事例10選

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働き方改革とは
働き方改革とは、「一億総活躍社会」実現のために政府が行う改革を指す。働く人々が一人ひとりの事情に応じて、多様で柔軟な働き方を自ら選択できることが目的だ。具体的な動きとして、2019年4月から『働き方改革関連法』が順次施行されている。

働き方改革を進める三つの指針とは

 働き方改革を推進していくため、「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」の三つが指針として掲げられている。
 
 一つ目の長時間労働の是正とは、文字通り長時間労働を減少させることだ。戦後の日本は、身を粉にして働く「モーレツ社員」という言葉が生まれたほど、長時間労働が当たり前だった。しかし、2013年には、国連から労働時間に関する是正勧告を受けた。また、名目GDPでは世界で三位であるものの、1人当たりの名目GDPでは他の先進国に比べて低いこともあり、労働生産性の低さが懸念されている。
 二つ目の多様で柔軟な働き方の実現とは、正社員だけではなく、副業・複業やフリーランスなど業務形態に対するニーズが多様化している中で、一人ひとりが求める働き方をそれぞれ実現することだ。人口減少や第四次産業革命、人生100年時代といった大きな環境変化の中で、働き方はもちろん、企業と個人との関係性も変わりつつある。自らの望むような働き方で、能力を発揮し、自律的なキャリア形成を行えるようにするためには、多様で柔軟な働き方が選択肢として確立されることが重要だと考えられている。

 三つ目の雇用形態に関わらない公正な待遇の確保とは、どのような雇用の関係でも業務内容に対して平等な評価を行い、正当な待遇を与えることだ。正社員だから優遇される訳ではなく、同じ業務に対して同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」という考えに基づいた法律が現在施行されている。

スマートワークとの違い

 働き方改革に近いものとして「スマートワーク」という概念がある。スマートワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した働き方を意味する。オフィス勤務でなくても、チャットツールやウェブ会議ツールを駆使した「テレワーク」や休暇を取りながら仕事をする「ワーケーション」など、現代の技術を活用することで実現する働き方がスマートワークに当てはまる。

 先ほど解説した働き方改革の指針と照らし合わせると、働き方改革を推進する手段の一つとしてスマートワークがある認識で問題ないだろう。

働き方改革のメリット

 ここでは企業が働き方改革を進めるメリットを解説する。

生産性の向上

 働き方改革の指針の一つである長時間労働の是正を進めると、社員は自分の時間を持てるようになり、生活にゆとりが生まれる。生活のバランスが整うので、業務への集中力が上がるだろう。集中力が高い状態であれば、決められた業務時間内で仕事を終わらせやすく、生産性の向上に繋がる。

 生産性が向上すれば、コストを減らしつつ、業績アップも期待できる。

人材の確保

 働き方改革に積極的に取り組むことで、企業に対する社会的な評価が上がれば、企業へ就職を求める人材が多く集まる可能性が高くなる。採用にかかる時間の短縮や求める人材に出会える機会も増え、採用コストの削減にも繋がる。

 働き方改革が進んだ企業であるならば、候補者も、自身が望む働き方やライフスタイルと照らし合わせ、入社の判断をすることができ、納得した形で入社してもらえる確率が上がるだろう。

人材の定着

 社員が求める環境や望んだ働き方ができれば、業務に対する姿勢はもちろん、高い生産性が期待できる。ライフスタイルが充実した状態で成果が出ていれば、もっと長く働きたいという気持ちが強くなり、人材の定着率が上がる。

 人材の定着率が上がれば、同時に離職率も低下するので、採用コストや教育コストなど、人事に関連する費用を減らすことができ、別分野への投資が可能となる。

働き方改革のユニークなアイデア・事例10選

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 実際に企業がどのような取り組みを行っているのか、参考となる事例を紹介していく。

オフィス環境に関わる事例:イトーキ

 従来の指定されたデスクで業務を行うのではなく、指定されたデスクがない「フリーアドレスオフィス」や、本社とは別のオフィスを構える「サテライトオフィス」など、オフィスの形が変わりつつある。空間設計の事業を展開するイトーキは、作業やミーティングといった業務の目的に応じて個別の空間を設計する「ABW型オフィス」を先進的に取り入れている。

 ABWの創始者であるオランダ企業「Veldhoen + Company」と業務提携し、ABW型オフィスのコンサルティング事業を展開している。さらに東京・日本橋に「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)」というABW型オフィスをオープンし、日本のABW型オフィスのモデルケースとして、一般見学の申し込みも受け入れている。

労働時間に関わる事例:UZABASE

 1日9時から17時までの8時間勤務といった、決まった労働時間ではなく、「フレックスタイム」や「週休3日」など、労働時間も柔軟に選べるようになってきた。その中でも、国内外でデータベースやメディア事業を展開するUZABASEは、「スーパーフレックス」を導入している。

 出社義務もなければ、コアタイムもなし。集中できる場所や時間も社員が個別で決めて業務を行う。生産性を高め最大限のアウトプットを出すために、自分にとってベストな働き方を自らデザインすることを重要視している。

テレワークに関わる事例:アクシア

 新型コロナウイルス感染症の影響により、オフィス以外の場所で勤務する「テレワーク」も身近な働き方として浸透しつつある。試験的に導入している企業もある中、システム開発事業を行うアクシアは、オフィスを完全廃止し、社員全員が在宅勤務をしている。

 在宅勤務自体は、2011年の東日本大震災をきっかけに、希望者のみで導入していが、2020年4月から社員全員を在宅勤務に切り替えた。全員が在宅勤務になることで、業務効率の飛躍的な向上や経費の大幅削減など、数多くのメリットを享受できたとのこと。テレワークの数少ない成功事例と言っていいだろう。

育児に関わる事例:テイクアンドギヴ・ニーズ

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 育児を両立しながら自分らしい働き方を選べるかどうかも、近年特に重要視されている。さまざまな企業が育児と仕事を両立できる取り組みを行なっている中で、結婚式場運営、業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズは、自社内で企業主導型保育事業を立ち上げることで保育園を開園した。

 一般的な保育園は、預かり時間は朝7時から夜7時までで日曜祝日は休園であることが多い。一方、テイクアンドギヴ・ニーズが運営する保育園は、夜9時30分まで開園し、日曜祝日も託児できるようにした。ウエディングプランナーは平日の夜に打ち合わせが多く、日曜祝日は結婚式本番という業務体系に合わせた開園時間となっている。同業他社の社員も利用でき、業界の中でも特に注目を浴びる取り組みと言えるだろう。

雇用形態に関わる事例:タニタ

 正社員だけでなく、契約社員や業務委託など、雇用関係も多種多様になりつつある。健康製品の製造・販売を手がけるタニタは、なんと社員全員をフリーランスとして業務委託契約を結んだ。

 業務内容や報酬の定義、契約期間を明確にし、福利厚生や保険も相当額を報酬制度に組み込んだ。独自の互助会「タニタ共栄会」を設立し、フリーランスでもタニタの施設を利用できるようにした。税理士法人ともサポート契約を結び、確定申告をはじめとした、税務面でのサポートも受けられる。社員をフリーランス化することで、雇用にとらわれない「会社と個人の新しい関係性」を提案した、これまでにない取り組みだ。

副業・兼業に関わる事例:DeNA

 働き方改革の推進により、副業・兼業も一般的になりつつある。社員の副業・兼業を勧めている企業も年々増加している中、ウェブマーケティングやゲームなど数多くのインターネット事業を展開するDeNAは、人事プロジェクト「フルスイング」という、社員がより働きやすくなるための新たな人事制度の整備を進めている。

 その中でも、副業・兼業に関わる取り組みが「クロスジョブ制度」という社内副業制度だ。業務時間の最大30%まで、他部署とのやり取りなど、本業以外の時間を費やしても良いルールを設置。DeNAは非常に多くの事業を展開していることから、社内の中だけでも専門外の仕事を学べる環境がある。自社の強みを生かした事例と言えるだろう。

評価制度に関わる事例:カヤック

 働き方を一人ひとりが選べるようになると、社員の評価制度は必然的に変化する。正当な評価を行えるかどうかは、社員の生産性や定着率に大きく関わる。ウェブ受託事業を主に手がける面白法人カヤックは、その名の通り会社経営のあらゆる面で「おもしろさ」を追求している。

 評価制度も例外ではなく、なんと評価をサイコロの目で決める「サイコロ給」を導入している。給料全額をサイコロで決めるのではなく、「月給×(サイコロの出目)%」が、追加の賞与として支給される。評価は主観的で客観的に判断するのが難しい。ならば「最後は天に託そう」という思いで、創業時から取り入れている制度だ。働き方が柔軟になりつつある今だからこそ、少しでも余白を入れることが大切かもしれない。

採用に関わる事例:サイボウズ

 働き方が多様化すると、採用の仕方も多種多様となる。システム開発事業を行うサイボウズは、社員の働きやすい環境作りに成功している企業の一つだ。

 2007年からライフステージの変化に合わせて働き方を選択できる人事制度の整備に取り組み始め、2018年4月から新たな人事制度「働き方宣言制度」の運用を開始。一人ひとりが「自身の働き方」を自由に記述し、最後は企業に対して宣言して実行する仕組みだ。企業が求める人材を探すのは難しいからこそ、逆に社員からどのように働けるのが理想的か決めてもらうという、発想の転換が効いた採用方法だ。

残業に関わる事例:ピコナ

 働き方改革の指針の一つである長時間労働の是正を進める上で最も重要となるのが、残業時間の短縮だ。3DCGプロダクションのピコナでは、「残業チケット」を社員に支給することで、月にできる残業を制限する取り組みを行っている。

 社員は残業する際、社長にチケットを提示する必要がある。しかし提示すれば残業できる訳でなく、本当に必要がどうかコミュニケーションを取った上で、最終的な判断を下す。この制度の導入で、時間外労働が80%も削減され、社員の時間の使い方にメリハリが生まれた。アニメーション業界の平均残業時間は月平均100時間と言われているが、業界内に留まらない大きな注目を浴びている。  

DXに関わる事例:ロッテ

 働き方改革を進める上で、テクノロジーの力は欠かせない。とくに近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を進められるかが大きな鍵と言われている。お菓子メーカのロッテは、全社員2600人のデスクトップPCをChromebookに変更させ、社内のDX化を図った。

 Chromebookとは、Googleが開発したノート型PCを指す。インターネットに接続されていれば、いつでも簡単にGoogleサービスを利用できる。コストが安く、デバイスのセキュリティー レベルも高く、既存の VDI(Virtual Desktop Infrastructure) 環境との相性も良かったのが決め手だそうだ 。業務効率化を一気に進められると期待され、Chromebookだけでの業務完結を目指している。

働き方改革を進めるために

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 実際に自社で働き方改革を進めていくために何が必要か、政府が施行している「働き方関連法」で明示されている、以下の項目を解説する。
  • 年次有給休暇の時季指定
  • 時間外労働の上限規制
  • 同一労働同一賃金

年次有給休暇の時季指定

 労働基準法が改正され、企業は法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対して、毎年5日分の年次有給休暇を確実に取得させる義務がある。

 半年間継続して雇用されており、かつ全労働日の8割以上出勤している社員が対象だ。また、休暇の時季指定については 、今までは社員側から申請を行う場合が多かったが、今後は企業側から休暇の取得時季を聴取し、社員の意見を尊重して時季を指定する努力が求められている。

時間外労働の上限規制

 従来の時間外労働の上限規制は、大臣告示による月間45時間、年間360時間と設けられていたが、上限を超えても行政指導のみだった。しかし労働基準法の改正  により、原則月間45時間、年間360時間と明確に定められ、法的拘束力を伴った。ゆえに、長時間労働が蔓延しても罰則を受けずに看過されていた企業が、強制力をもって是正・処罰されることになる。また、特別な事情で上限を超える場合、労使の合意があったとしても以下の上限が設けられている。
  • 月間45時間を超える残業は6ヶ月 まで
  • 年間の残業時間は720時間以内
  • 複数月の平均残業時間が80時間以内
  • 月間の残業時間は100時間未満
 上記に違反した場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる場合がある。

同一労働同一賃金

 同一労働同一賃金とは、正社員と非正規雇用労働者(派遣、有期、パート)の間に、不合理な待遇差を解消することが求められている制度だ。雇用形態の違いによる待遇差を作るのではなく、職務内容などを根拠に適正な待遇を設けることが義務付けられている。

 また非正規雇用労働者は、正社員との待遇差の内容や理由といった自身の待遇について、事業主に説明を求めることができる。企業側は非正規雇用労働者から求めがあった場合、説明する義務がある。

 さらに、企業と労働者の紛争を裁判外で解決する手続きを指す「ADR」においても「均衡待遇」や「待遇差の内容、理由に関する説明」は、行政ADRの対象となる。
 以上のように、政府からも働き方改革について、具体的な規定が設けられている。しかし、企業によって状況は異なる。以下の資料では、働き方改革に関する情報をまとめているので、自社で働き方改革を推進させるための参考にしていただきたい。

働き方改革をきっかけに健全な経営管理を

 働き方改革とは、「一億総活躍社会」実現のため、政府が行う改革である。新型コロナウイルスの影響により、働き方の選択肢は一気に多様化していくだろう。働き方改革を実現できれば、社員のライフスタイルを尊重しつつ生産性の向上が期待できる。自社で働き方改革を進めるために、この記事が一助となれば幸いである。

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