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その他ビジネス 公開日: 2022.09.07

ナレッジマネジメントとは?リモートワーク下における重要性やツールの選び方を解説

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 コロナ禍において働き方や企業を取り巻く環境は大きく変化した。リモートワークが普及した現代において企業内の知的財産の管理や共有はどのような問題に直面しているのか。

 本記事では、知的財産の管理手法であるナレッジマネジメントについて、その重要性やツールの選び方を解説する。

【画像】Shutterstock

目次

ナレッジマネジメントが注目されている理由

 ナレッジマネジメントとは、社員が持っている知識や経験、ノウハウなどを企業内で共有し管理するための経営手法のことをいう。あまり知られていないが日本発の経営理論で、経営業務を改善し、効率化するために用いられるようになった。また、ナレッジマネジメントを効果的に行うことで、業務の属人化を防ぐことができる。これにより、社員の能力やスキルが向上するとともに企業全体の生産性を高められる。

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、行動が制限され生活様式や働き方に大きな影響を与えた。市場や組織のあり方が激しく変化している今、企業間競争を勝ち抜くには他社より先に新たなナレッジ(知識・ノウハウ)を生み出さなければならない。加えて、転職が当たり前となったことによって、業務に必要なナレッジが企業内に残らなくなるリスクへの高まりも意識されている。そこで、企業独自の知識やノウハウを活用するナレッジマネジメントに注目が集まっている。

SECIモデルでナレッジマネジメントを体系化

【画像】Shutterstock
 ナレッジマネジメントの理論的なモデルとして提唱されているのがSECI(セキ)モデルである。

 SECIモデルでは次の4つのプロセスを循環させる。

(1)共同化
(2)表出化
(3)連結化
(4)内面化

 これら4つを回すことで、知識や経験から培われた熟練工のスキルの「暗黙知」を、マニュアル化やテンプレート化により言語化した、「形式知」に変えることができる。具体的に4つのプロセスの中身について解説する。

 共同化は、共同体験などを通じて暗黙知を他人へ引き継がれるプロセスを指し、仕事を共にすることで他の社員の仕事を見て覚えることなどが一例です。表出化は、暗黙知を形式知へ転換するプロセスを指し、マニュアルの作成や業務の報告などがこれにあたります。

 連結化は、形式知同士を組み合わせて新たな形式知を生み出すプロセスを指し、自分の業務に他人のノウハウを取り入れることで業務の効率化を図ることなどが挙げられます。内面化は、新たに生み出された形式知を実践していくことで暗黙知として体得するプロセスを指し、マニュアルなどを見て業務を忠実に行うところからさらなる発見が見つかり新たな工夫(暗黙知)が生まれていきます。
 内面化によって得られた暗黙知は、最初のプロセスへ戻り共同化から循環を繰り返していく。

 上記四つのプロセスを行うためには、(1)共同化を行うための環境、(2)表出化のための対話の機会、(3)連結化のためのシステム場、(4)内面化のための実践場といったそれぞれに適した「場」が必要となる。

ナレッジマネジメントの成功事例

 ここでは、ナレッジマネジメントの成功事例をみていく。

事例1:再春館製薬所

 再春館製薬所では、エンタープライズサーチの導入によって、迅速かつ効率的な業務の実現と顧客満足度の向上を果たした。

・共同化のための創発場:膨大な資料の中から商品情報を探す
・表出化のための対話場:顧客情報をデジタル化して残す
・連結化のためのシステム場:エンタープライズサーチ(企業内検索エンジン)を導入する
・内面化のための実践場:エンタープライズサーチ(企業内検索エンジン)を実用化

事例2:富士フイルムビジネスイノベーション(富士ゼロックス)

 富士フイルムビジネスイノベーションは、「全員設計ルーム」での交流の場を提供することで暗黙知獲得を促している。

・共同化のための創発場:「全員設計」による設計者と技術者の交流
・表出化のための対話場:「全員設計ルーム」での交流により暗黙知を獲得
・連結化のためのシステム場:オンラインで機能する設計情報共有システムの導入
・内面化のための実践場:全員が製品に対する意見を出しあい提案書を作成する

事例3:NTT東日本

 NTT東日本では、ナレッジマネジメントの一環として、オンラインとオフラインの両方の場でのナレッジ共有に取り組むとともに個人の知識・経験を言語化にも力を入れたことで企業自体の生鮮性の向上を実現した。

・共同化のための創発場:社員のデスクを固定しないフリーアドレス制の導入
・表出化のための対話場:ドリンクコーナーを常備したリフレッシュゾーンの設置
・連結化のためのシステム場:営業本部に所属する全社員が個人のホームページを持つ
・内面化のための実践場:日報やプロジェクトの記録を共有

リモートワーク下でのナレッジマネジメント

【画像】Shutterstock
 新型コロナウイルス感染症による行動制限の影響を受けて、国内外でリモートワークが拡大している。働く場所が分散化されたことで、社員同士の交流の機会が減少し業務を行ううえで連携のとりづらさが課題のひとつとなっている。

 特に日本の大企業にとっての課題となっているのが、代々受け継がれているベテランの暗黙知だ。これは本来大企業の強みとなる部分だが、こういった知的財産の整理と活用がリモートワーク下では難しくなりつつある。

 そもそも暗黙知の継承には時間がかかるがゆえに、リモートワークが普及した現代において連携がうまくとれないという事態は、これまで培ってきたナレッジ(知識・経験)の分断になりかねない。そこで、企業の存続や新規事業立ち上げによって企業間競争を勝ち抜いて生き残るために、ナレッジマネジメントは必要不可欠なものとして極めて重要性が高い。


 知的財産は大きく分けて、人的資産、構造資産、関係資産の三つの種類がある。

 人的資産は、社員個人に依存する強みである。社員の退職時には社外に持ち出されてしまう知的財産であり、熟練工の暗黙知が当てはまる。例としては、ノウハウ、経験、イノベーション能力、学習能力、モチベーション等があげられる。

 つぎに、構造資産については、社員の退職時に企業内に残留する知的財産で、組織体として維持することができる強みのことをいう。例として、組織の柔軟性や顧客データベース、組織文化、システム、手続き、クレーム対応の仕組み等がある。

 関係資産は、ステークホルダー(利害関係者)との関係における強みをいう。会社の対外的な関係に付随した知的財産であり、具体的には、企業イメージや顧客ロイヤリティ、顧客満足度、仕入れ先との良好な関係性、金融機関への交渉力があげられる。

 リモートワーク下では、これらの知的財産の共有がより一層困難となったことでビジネス機会を逃すという損失へとつながっている。

 こういった事態を打開している企業として、営業DXサービスを提供しているSansanを紹介したい。Sansanでは優秀な人を管理するのではなく、顧客データや社内情報という人的資産以外の部分を管理して、自由にアクセスできるような仕組みを取り入れた。Sansanの営業DXサービスでは、最新の顧客データを反映する必要があることから属人化しないようなテクノロジーの活用が行われたことで、暗黙知から形式知へ転換されており、実質的にナレッジマネジメントの手法が使われていることがわかる。よって、人や情報に自由にアクセスできる仕組みにより、新しい出会いや発想、価値創出につながっていき、リモートワーク下におけるビジネス機会の損失に対して、Sansanテクノロジーは解決策として有効である。

ナレッジマネジメントに役立つツールやシステム

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 ナレッジマネジメントに役立つツールやシステムをジャンルごとに解説していく。

(1)CRM・SFA

 CRMとSFAは、ともにデジタルシステムを用いて業務を改善することを目的としたツールである。

 CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)のことで、顧客関係管理や顧客関係性マネジメントを意味する。長期にわたって顧客と良好な関係を維持することでLTV(Life Time Value、顧客生涯価値)の向上をめざすもので、顧客管理やカスタマーサポート、販売管理、売上予測分析を行う。

 SFAとは、Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)のことで、営業の自動化や営業活動を支援するツールを意味する。既存の営業プロセスの効率化や自動化をめざすもので、例えば、商談開始から受注までの進捗状況をデジタルデータとして可視化することや、その活動プロセスの管理・分析を担う。

(2)グループウェア

 グループウェアとは、社員間の情報共有などを目的としたもので、ナレッジマネジメントツールとしても使用できる。掲示板機能やメッセージ機能、ファイル共有を通じて成功・失敗事例の共有が可能。

(3)エンタープライズサーチ

 エンタープライズサーチとは、企業内に保管されているさまざまなデジタルデータを一括で横断的に検索できる、企業内検索エンジンのことをいう。メリットとしては、膨大なデジタルデータの中から横断的にかつ素早く必要な情報を入手できる点である。

(4)ヘルプデスク

 ヘルプデスクとは、社内で発生した質問に対して、社員同士で回答できるツールのことで、情報を最新のものにブラッシュアップできる。そのため、新たな気づきや発見が期待できる。

ナレッジマネジメントツールを導入するポイント

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 ナレッジマネジメントツールを選ぶ際に注意したいポイントについて解説する。

(1)共有したいナレッジは何かはっきりさせる

 共有したいナレッジが不明確である場合、ナレッジマネジメントで企業の競争力を強化するという目的を達成できないばかりか、かえって組織の効率的な業務の遂行を妨げるものとなりかねない。また、むやみやたらにナレッジを収集してもデータ量が膨大だと自分にとってどの情報が必要なのか判断に時間がかかる。社員独自の経験とノウハウなどの暗黙知を伝承していくことで、全社員のスキルアップを実現するためには共有したいナレッジを明確にする必要がある。

(2)どの社員でも使いやすいものを選ぶ

 暗黙知を形式知へ転換させることができても、自由にナレッジマネジメントツールにアクセスできなければ全社員のナレッジ向上を達成することができない。操作性が複雑なものもだんだん使われなくなるケースもある。そのため、どの社員でも使いやすいものを選ぶべきである。

(3)いつでもサポートが受けられるか

 働き方が多様化する中で、外出中やリモートワーク時においてもナレッジマネジメントツールにアクセスできる環境が求められる。誰でもいつでもサポートが受けられることで最新のナレッジを共有し合うことが可能となるため、サポート体制が充実していることが重要である。

(4)セキュリティ対策は綿密に確認する

 ナレッジマネジメントツールの導入にはコストがかかるが、その後メンテナンスをしない状態のままではセキュリティが脆弱化し、企業にとっては情報流出といった脅威が生じることとなる。そのため、セキュリティ対策は定期的に確認しておく必要がある。

人と人をつなぐツールの活用

 ナレッジマネジメントにおいては、ツールを利用することで、言語化が比較的難しい暗黙知を形式知へと転換し、社員のスキルやモチベーションの向上をいかに達成できるかが鍵となる。

 適切なナレッジマネジメントツールを利用することで、属人化を防げ、企業の生産性を高めることが可能となる。

 リモートワークの普及とともに知的財産の伝承が重要視されており、その達成のために長年名刺管理をしてきたSansanテクノロジーは人と人をつなぐツールとして有益であることは間違いないだろう。

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