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DXの第一歩、場所を問わずに利用できるクラウドサービスで仕事の効率をアップ

DXの第一歩、場所を問わずに利用できるクラウドサービスで仕事の効率をアップ

テレワークの普及やDXの推進によって、社内システムにクラウドサービスを活用する企業が増えています。しかし、導入されるがまま利用する人も多く、クラウドサービスとは何なのか、その基礎を詳しく説明できるビジネスパーソンは少ないのではないでしょうか。本記事ではいまさら聞けないクラウドサービスの基本的な考え方などを解説します。

※本記事は2022年9月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。

クラウドサービスって何?

クラウドサービスとはアプリケーションやOS、ミドルウェア、ハードウェアなど、インターネットを介した形態でユーザーに提供するサービスをいいます。

従来、ユーザーのローカル環境にアプリケーションやOSは存在するのが一般的でした。例えばMicrosoft Wordを例に取ると、Wordのアプリケーションはユーザーが利用するパソコンやスマートフォンなどの端末内にあります。さらにWordで作成したドキュメントファイルなどのデータもユーザーのパソコンの中にあります。

しかし、クラウドサービスの場合はアプリケーションの実行プログラムや作成したデータはユーザーのパソコンなどの中にではなく「インターネット上」に存在します。多くはクラウドサービスの事業者が保有するデータセンター内にあるサーバーなどに存在するが、ユーザーは実行プログラムやデータがどこにあるのか、どのような構成のシステムなのかを意識することなく、インターネットを介してそれらに利用できるのです。これがクラウドサービスです。

クラウドサービスの成り立ち

クラウドという概念がはっきりと初めて提唱されたのは1997年です。当時、南カリフォルニア大学の教授だったラムナト・チェラッパ教授によって提唱されました。しかし当時はあまり世間に注目されず忘れ去られました。

再びクラウドが脚光を浴びるのは2006年のことです。2006年に開かれたSearch Engine Strategies Conference(検索エンジン戦略会議)というカンファレンスにおいて、当時GoogleのCEOであったエリック・シュミットが言及したことで本格的に世の中に知られたといわれています。

その後、大容量通信が一般化し、非IT系の企業や個人でも高速・大容量のデータ通信が可能になるにつれてクラウドサービスの形態で提供されるソフトウェアの需要が増加し、現在に至っています。

代表的な3つのクラウドサービスのタイプ

SaaS

PaaS

IaaS

正式名

Software as a Service

Platform as a Service

Infrastructure as a Service

読み方

サース

パース

イアース、アイアース

提供する資源

アプリケーション

OS、ミドルウェア、開発環境

ハードウェア

想定利用者

エンドユーザー

開発者

開発者

特徴

エンドユーザー向けのアプリをクラウドサービスの形で提供

ユーザーがアプリを開発し稼働させるための環境を提供

ユーザーが自由に希望する構成のハードウェア資源を提供

料金体系

月額制、年額性

従量制

従量制

個人が利用するソフトウェアのSaaS

SaaSは「Software as a Service」の略で、ソフトウェアをクラウドの形で提供するサービスです。本来のソフトウェアという単語はOSやミドルウェアも含むものだが、SaaSにおけるソフトウェアとは「アプリケーション・ソフトウェア」を指し、OSやミドルウェアは含みません。したがって、想定されるユーザーは非エンジニアのエンドユーザーです。

開発者向け、プラットフォームのPaaS

PaaSは「Platform as a Service」の略で、プラットフォームをクラウドの形で提供するサービスをいいます。プラットフォームとはOSやミドルウェア、開発環境など、アプリケーションの開発に必要な環境を差します。つまり、PaaSの想定ユーザーはソフトウェア開発者やベンダー企業であって、エンドユーザーが利用することはほとんどありません。

開発者向け、インフラストラクチャーのIaaS

IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で、インフラをクラウドサービスの形で提供するサービスです。IaaSのインフラとはネットワーク、CPU、メモリ、ストレージなどのハードウェア資源を指します。IaaSではこれらを物理的なハードウェアとしてではなく、ユーザーの希望どおりにカスタマイズされた仮想マシンとしてインターネットを介して提供されます。

企業がクラウドサービスを導入するメリット

これまで、クラウドサービスがどんなものであるか解説しましたが、これから具体的なメリットについて解説していきます。安価で手間がかからないといった普段から嬉しいメリットや、災害時にも役立つといった非常時にも心強さを感じるメリットもあります。

導入コストが安い

クラウドサービスは提供事業者が保有する資源を、インターネットを介して利用できるサービスです。したがって自前でサーバーやソフトウェアパッケージを購入する必要はなく、費用は必要なときに必要なだけのもので済みます。その多くは一ユーザーあたり数百円〜数千円の安価な月額料金か、利用している時間だけ課金される従量制であるため比較的低コストで運用できます。

メンテナンスの手間がかからない

オンプレミスのシステムを自前で導入すると、サーバーのメンテナンスやセキュリティー対策を自分で行わなければなりません。一方で、クラウドサービスを利用すれば、それらの作業は運営事業者が行うため、手間や人件費を削減できます。また、自社で専門的な知識を持つ担当者を用意する必要もありません。    

災害に強い

地震などの自然災害が発生した場合、オンプレミス環境では会社とサーバーが同時に被害を受ける可能性があるため、サービス停止のリスクが高くなります。しかし、クラウドサービスであれば、システムに堅牢な災害対策や地理的な分散化などが施されているため業務への影響を最小限に抑えられます。

テレワークに対応しやすい

オンプレミス環境でテレワークを実施しようとすると、会社内のネットワークにVPNを介して接続しなければならず、回線速度の低下などの課題もあります。しかし、クラウドサービスであれば、通常のインターネットを介してログインするだけで使えるため、対応しやすいです。

企業が導入する際の注意点

導入することでさまざまな恩恵が得られるクラウドサービスですが、もちろん注意点もあります。ここでは代表的な注意点について紹介します。クラウドサービスの運営事業者自身も営利企業であるため、サービス終了の可能性があるということだけは念頭に置いておきましょう。

セキュリティー対策を見直す必要がある

オンプレミス環境であればサーバーは社内ネットワークの内部にあり、ファイアウォールで守られます。しかしクラウドサービスの場合は「インターネット上のどこか」にあるクラウドサービスにアクセスします。したがって、ハッカーやウイルスの脅威がある「会社外のインターネット」を通してアクセスしなければならず、ゼロトラストのセキュリティー対策が必要です。 もちろん、社内ネットワークも十分なセキュリティー対策をすべきですが、新たに接続するネット回線の安全性を確認するなど、利用する社員に周知しなければなりません。

オンプレミスのほうがカスタマイズ性は高い

オンプレミス環境はサーバーもソフトウェアもすべて自社の資産となります。したがって自社の都合が良いようにカスタマイズが可能です。しかし、クラウドサービスは運営事業者に提供されるものであり、他のユーザーとの共用となるため、カスタマイズの範囲は限定されてしまいます。          

サービス終了のリスク

クラウドサービスはあくまでも運営事業者が提供するサービスです。したがって、運営事業者の都合により、サービスが終了されたり縮小されたりするリスクがあります。その場合は代替サービスを見つけなければ自社の業務に支障が出てしまいます。あらかじめサービス終了に備えて代替サービスを検討しておくなどの対策も必要です。

企業で導入されているクラウドサービスの種類

クラウドサービスの定義やメリット、導入時の注意点について触れてきましたが、具体的にどのようなサービスがあるのか解説しましょう。既に使っているサービスがないか、市販されているクラウドサービスを使用することで普段の業務が効率化できないか等考えながらお読みください。

請求書管理システム

企業の請求書発行や受領を管理するクラウドサービスです。昨今はコロナ禍の影響もあり、請求書電子化の需要が高まっています。毎回、Microsoft Excelなどで電子的な請求書を作るのは手間であるため、テンプレートなどを利用して効率よく請求書を作成するためのツールです。毎月の請求の自動発行や取引先の分析レポート、会計システムとの連携機能なども搭載している場合もあります。また、Sansanが提供しているインボイス管理サービス「Bill One」はユーザー企業の取引先から紙の請求書を受領して電子化してくれるクラウドサービスです。

グループウェア

社内のコミュニケーションを円滑に進めるためのクラウドサービスとしてグループウェアがあります。電子掲示板、メール送信、ビジネスチャット、ワークフロー、スケジュール管理、プロジェクト管理などの機能がパッケージとして提供されており、一つのパッケージを導入するだけで社内コミュニケーションのDXを一気に促進できるものが多いです。

CRM/SFA

CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係管理」と呼ばれるクラウドサービスで、氏名、住所、購入商品など顧客の基本情報だけではなく、顧客の好みや接点の履歴などの情報を総合的に管理し、会社と顧客との関係を良好にするためのツールです。

SFA(Sales Force Automation)は「営業支援システム」と呼ばれ、顧客の情報をデータベース化し、営業ノウハウを共有するツールです。CRMと似ていますが、商談の進捗管理や顧客へのメール配信など営業に特化した機能が多くあります。

クラウドサービスを上手く活用して生産性を上げよう

クラウドサービスはインターネットを介してアプリケーションやプラットフォーム、ハードウェアを利用できる仕組みです。DXの一環として、自社に経営戦略に最適なサービスを選びぜひ活用ください。低コストで手軽なサービスも多いので部分的に利用し、企業の生産性向上に繋げましょう。

3分でわかる 働き方を変えるDXSansan株式会社が提供する働き方を変えるDXサービスを紹介する資料です。

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営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。