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その他ビジネス 公開日: 2021.11.09

働き方改革の問題点は? 企業の解決策を徹底解説

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 近年多くの企業で取り組まれている働き方改革。一口に働き方改革と言っても多岐にわたる施策があり、思うように進められていない企業も少なくない。本記事ではなぜ働き方改革が進まないのか、企業と社員が直面している問題点や解決策を徹底解説する。

【画像】Shutterstock

目次

働き方改革のポイントとは?

 はじめに働き方改革を進めるにあたって押さえるべきポイントを三つに整理しておこう。

ポイント①労働環境の改善

 長時間労働や過労死が問題となる中、労働環境の改善は優先されるべき取り組みである。具体的には長時間労働を防ぐために時間外労働の上限を設けたり、有給休暇の取得を企業側が積極的に促すためのルールを設けたりすることが挙げられる。

ポイント②柔軟な働き方の定着

 育児や介護、定年といったさまざまなライフイベントにより、働きたいのに働けない人も多い。こうした労働希望者が自由に働けるようにするのも、働き方改革の目指すところである。

 例えばテレワークができる環境を整えれば、育児や介護などによって労働時間は短いものの労働意欲がある人も活躍できるだろう。このように社会全体が柔軟な働き方にシフトチェンジすることで、働きたいが事情があって働けなかった人も労働が可能となるのだ。

ポイント③雇用形態による差別をなくす

 働き方改革では「同一労働同一賃金」の実現も目指している。同一労働同一賃金とは、雇用形態にかかわらず同じ仕事には同一の賃金を支払う考え方だ。企業内において正社員と非正規社員の不合理な待遇の差を解消させる取り組みである。どのような雇用形態であっても納得のいく待遇を受け、多様な働き方を自由に選択できるようにしなければならない。

働き方改革の目的とは?

 そもそも働き方改革の目的とは、働く人のワーク・ライフ・バランスを実現し、一億総活躍社会に向けて労働力人口(労働の意思と能力をもった15歳以上の人)を増やして、日本経済を活性化させることだ。

 そして働き方改革を推進することで、企業は生産性の向上を実現できる。生産性が向上すれば売上アップにつながり、余剰資金を使って新しい人材を雇用したり新事業を拡大したり、社会貢献活動に取り組んだりできるだろう。もちろん社員の給与を上げることもできる。
 上の棒グラフは企業規模別にした時間当たりの労働生産性を示したもので、大企業と中小企業の水準を比較している。このグラフから分かるのは、中小企業と比べて、大企業は労働生産性が高いことである。一方で、慢性的な人材不足や資源不足を抱えているケースが多い中小企業を見てみると、業界によっては大企業の約半分の労働生産性であることが分かる。

 こうした中小企業が働き方改革を推進していくためには、自社の問題点をあぶり出し解決に取り組む、または、政府が用意している助成金制度を活用するなど、効率良く進める必要がある。

 下記の資料では働き方改革の真の目的を詳しく紹介しているため、併せて読むことをおすすめする。

働き方改革における企業のメリットとは?

【画像】Shutterstock
 働き方改革を推進することで、企業は数々のメリットを得ることができる。例えば長時間労働の是正においては労働時間に制限が生じるため、社員は限られた時間の中で成果を上げなければならない。そうすることで、時間当たりの労働生産性を向上させられる。

 また残業時間が減少することで、無駄に支払っていた人件費も削減できるだろう。在宅勤務やフレックスタイム制を導入するなどして柔軟な働き方を取り入れることで、採用活動においても、候補者へアピールできる材料となり優秀な人材が集まる。加えて育児や介護などでやむを得ずに退職をしなければならない社員の離職防止にもつながるだろう。

 そして同一労働同一賃金を実施することで、正当な評価を受けた社員のモチベーションが上がり生産性の向上を図ることができる。このように働き方改革を推進することで、企業は大きな恩恵を受けられる。

働き方改革における社員のメリットとは?

 働き方改革が進むにつれて企業だけではなく社員も以下に挙げるさまざまなメリットが得られるだろう。例えば、残業時間が削減されればプライベートの時間を確保して充実した日々を送れるようになるはずだ。休日に十分な休息が得られれば心身をリフレッシュさせることができ、より健康的な状態で仕事に臨むことも可能になるだろう。

 また、フレックスタイム制やテレワークを導入することで時間や場所に囚われない自由な働き方を実現できる。通勤時間を混雑時からずらしたり出社を控えたりすれば、多くのビジネスパーソンを悩ませているだろう満員電車を回避でき、精神的な負担も軽減できるのではないか。

 さらに、働き方改革によって同一労働同一賃金が適用されれば、非正規雇用者の労働意欲を向上させることもできる。非正規雇用者にとっては柔軟な働き方を実現しつつ、労働力に見合う分の報酬を得ることができるのだ。

働き方改革で企業が直面している問題点

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 以上のようにさまざまなメリットがあるとはいえ、働き方改革の推進には課題も多い。働き方改革において企業が直面している問題点を三つ挙げてみよう。

問題点①ツール導入費や人件費などのコストがかさむ

 ツール導入費や人件費などのコストがかさむ点は、企業にとって大きな痛手である。働き方改革によって労働時間の縮減をする場合、短い労働時間でいかに生産性を向上させるかが重要だ。そこで生産性を高めるための設備やツールの導入を検討する企業も多いだろう。

問題点②時間外労働の上限規制に向けた対応

 時間外労働の上限規制が設定されたため、それに向けた対応にも追われているだろう。ただでさえ中小企業は深刻な人員不足問題を抱えているのに、通常業務とは別にこうした対応をしなければならないからだ。

問題点③管理職の残業が増える

 働き方改革により一般社員の残業は抑えられるが、残業規制のない管理職の負担が増える可能性もある。具体的には社員が残業にならないように仕事を切り上げさせ、そのあとに管理職が残業をするといった臨時的対策をとる企業が増えてくるだろう。

 しかしこうした対策では一般社員のワーク・ライフ・バランスは保たれるが、管理職は仕事と私生活の調和がとれない。この状態が続けば負担が大きい管理職は次々と退職してしまい、さらなる人手不足や生産性の低下が予想される。

働き方改革で社員が直面している問題点

 続いては働き方改革で社員が直面している問題点を洗っていこう。

問題点①残業規制によるモチベーションの低下

 残業規制によって労働時間が減る点はメリットだが、残業をしないということは残業代がなくなるのだ。これにより残業代をあてにしていた社員は、仕事に対してやる気を失ってしまう可能性も考えられるだろう。

問題点②実質的に業務量が減るわけではないため効率性を求められる

 働き方改革を進めても物理的な業務量が減るわけではない。これまで以上に効率性を求められ、労働時間縮減のしわ寄せが及んだり負担が増えたりする可能性ある。また時間内に終わらなかった仕事を自宅に持ち帰ったり、サービス残業をしたりする社員が増えるのではないかといった不安の声も聞かれる。

問題点③テレワーク導入により部下の管理が難しくなる

 働き方改革の一環としてリモートワークを導入する企業も多い。この場合、管理職においては部下の顔が見えづらいため、プロジェクトの進捗管理やフォローが難しくなる可能性もあるだろう。

働き方改革の問題解決で要点となるポイント

 上記のような働き方改革における問題点を解決するための要点を三つ紹介していこう。

課題の整理と現状の分析

 まずは自社における課題の整理と現状の分析が重要だ。働き方改革と一口に言っても、労働環境を改善させる取り組みは多岐にわたる。そこで具体的にどのような施策に取り組むべきなのかを検討するため、現場に丁寧なヒアリングを実施し、問題点をあぶり出すことからはじめよう。

 そして自社の課題が明確化したら「なぜその問題が起きたのか」「どうすれば解決するのか」を分析し、その解決策に則した働き方改革の施策を取り入れる。

時間対効果の向上

 会社経営で重要と言われる費用対効果だが、働き方改革においては「時間対効果」も肝要である。時間対効果とは、かけた時間に対してどれくらいの成果を得られたのかを示す言葉だ。

 時間対効果が向上すれば企業における時間当たりの労働生産性の向上につながる。具体的には無駄な報告書作成や書類のファイリング、意見が出ないミーティングなどを廃止すれば作業が効率化されて時間対効果の向上を見込めるだろう。

既存のワークフローの撤廃と再構築

 働き方改革における問題点を解決するためには、既存のワークフローを廃止し再構築する必要がある。例えば上層部の許可を得るためのはんこ文化や紙ベースでの書類保管といった、アナログな業務体系や企業文化は廃止すべきだろう。

 こうした従来のワークフローを廃止し、それに変わるアウトソーシングやITツールを導入すればワークフローの再構築も可能だ。

働き方改革をするための助成金の受け方

 効率的な働き方改革のために、助成金を活用するのも一つの手だ。ここでは働き方改革を推進するための助成金の受け方を説明する。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

 「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」とは、生産性を高めるために労働時間の縮減や年次有給休暇の促進などに取り組む中小企業を助成する制度だ(2021年10月15日で受付終了)。
 また働き方改革推進支援助成金は、労働時間短縮・年休促進支援コースの他に以下四つのコースが用意されている。
・勤務間インターバル導入コース
・労働時間適正管理推進コース
・団体推進コース
・テレワークコース(2021年11月現在、休止中)
 詳しくは厚生労働省のサイトより、働き方改革推進支援助成金各コースのページを確認してほしい。

そのほかの助成金

 政府が用意している制度以外にも、各地方自治体で助成金を設けている場合がある。例えば東京都産業労働省では、TOKYO働き方改革宣言企業として承認された中小企業に対して条件に当てはまれば助成金を支給している。

 ただし各地方自治体によって条件の内容や支給額、受け取り方法などが異なるため地方自治体の公式ホームページなどでチェックしてほしい。

働き方改革で経営層が留意すべき二つの注意点

 ここでは働き方改革で経営層が留意しておかなければならない二つの注意点について説明する。

留意すべき注意点①トップダウンによる統率を図らなければならない

 働き方改革は現場に丸投げして実施するのではなく、トップダウンによる全社的な統率を図らなければならない。ただ、制度や罰則規定を設けるのみでは、現場からの理解も得られないため、働き方改革に取り組むときには、経営層が現場に向けて、丁寧に説明し、現場の理解を得る必要がある。

留意すべき注意点②長期的な改善であることを認識しておく

 働き方改革を行う場合、長期的な改善が必要であることを認識しておかなければならない点にも注意しよう。これは設備やツールを導入してもすぐに成果が上がるとは限らないからだ。

 さらに社員に理解してもらう時間も必要だ。特に組織に長く勤めている人ほど、企業文化の改革は受け入れられないケースも多い。こうした社員に対して丁寧に改革の必要性を説明していくことも肝要だ。

 以下では、働き方改革を実践している企業の事例を紹介している。労働時間やテレワークなど、さまざまな観点におけるユニークな取り組みが集まっているのでぜひ見てみてほしい。

働き方改革の問題点をあぶり出すことが鍵となる

 社員のワーク・ライフ・バランスを整えるだけではなく、企業としての健康経営も実現できる働き方改革が求められている。助成金制度を活用して取り組んでも、自社の問題点の解決にならない施策を取り入れていては思うような成果は得られない。自社に適した取り組みを見つけるためには課題の整理や現状の分析を実施し、自社の問題点をあぶり出すことが大切だ。

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