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その他ビジネス 2019.11.08

なぜ、いまイノベーションが必要なのか?

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 いま日本の企業に求められるのは、既存の枠組みから脱却し、新たな価値を生み出す「イノベーション」の創出だ。しかし現在の延長線上に、自然発生的にイノベーションは生まれない。本記事では、イノベーションを起こすために求められる「これからの組織」になるためのノウハウを伝える。

目次

イノベーションの定義とは

イギリスのイノベーション研究者であるパビットは、「イノベーションとは、機会を新しいアイデアへと転換し、さらにそれらが広く用いられるようにするプロセスである」と定義している。

 多くの学者の議論により、「1.アイデアが新しいだけではなく」、「2.それが広く社会に受け入れられる」、という2つの条件が揃って初めてイノベーションと呼び得る、ということが定説になっている。
参考文献:「日本のイノベーションのジレンマ」、玉田俊平太著、(株)翔泳社発行

 また、公益社団法人発明協会が発表した「戦後日本のイノベーション100選」においては、以下をイノベーションの定義としている。

 経済的な活動であって、その新たな創造によって、歴史的社会的に大きな変革をもたらし、その展開が国際的、あるいはその可能性を有する事業。その対象は発明に限らず、ビジネスモデルやプロジェクトを含み、またその発明が外来のものであっても、日本で大きく発展したものも含む。
引用元:公益社団法人発明協会「戦後日本のイノベーション100選」

 つまりイノベーションとは、モノ作りだけではなく、ビジネスやプロジェクト、そしてサービスなどを含んだ新たな創造なのだ。ここで注意したいのが「新たな創造」というのは、全く新しい製品やサービスの創出のみを指す訳ではないということ。

 例えば、「戦後日本のイノベーション100選」では、トップ10に「ハイブリッド車」を選出している。トヨタ自動車が開発した、燃費効率向上と排出ガス減少を可能にしたハイブリッドエンジンは、すでに活用されていた動力源をあわせることにより、2013年6月時点での累計販売台数が300万台を超える大ヒットとなった。
参考:公益社団法人発明協会『戦後日本のイノベーション100選「ハイブリッド車」』

イノベーションが求められる3つの要因

 イノベーションは従来、企業が成長するために必要不可欠とされてきた。

 しかし、少子高齢化が進む日本では経済の成長が鈍化し、さらには縮小していくと予測されている。そんな中でイノベーションに対する認識は「成長するための要素」から「企業が生き残っていくために必要な原動力」へと変化してきているのだ。

 その重要性をいち早く認識した企業が、積極的に取り組みを始めている。なぜイノベーションがここまで求められるのだろうか。

進化のスピードが速くなっている

 技術の革新が進む中で、これまで当たり前だったものが、すぐに古くなってしまう時代が訪れた。結果として競争が激しくなり、新しいことに取り組んだとしても、長い間優位性を保つことができなくなった。

 さらに、情報の伝達スピードが上がったことにより、世界中に新しいサービスや製品が瞬時に配信される。そのため、誰かがそれを見てマネをするだけではなく、ヒントにしてさらに新しいモノやサービスを作り出すことも可能な世の中になっている。

 つまり、常に新しいことを考えていかないと、競争相手がいないブルーオーシャンだった市場でも、すぐに競争が激しいレッドオーシャンとなり、後手に回ってしまうのだ。

 少子高齢化で日本の経済規模が縮小し、グローバル展開を模索する企業が増える中で、東芝やSHARPなどかつては日本を代表していた大手企業が、先端技術を手掛ける海外企業に押され、事業縮小を余儀なくされている例もある。

 世界的な競争力を上げるためにも、革新を進めていくことが重要なポイントであり、イノベーションに取り組むことは、ベターからマストに変化しているといえる。

 株式会社NTTデータ代表取締役社長の岩本 敏男氏は、イノベーションを興すためのポイントを次のように語っている。

 イノベーションを興すには、現場・現物・現実を知っているのが原則。過去にNTTデータが生み出してきた数々のイノベーションを紐解くとそうであるように、現場のお客様が悩んでいることと、私たちが持っている新しい技術が火花を散ったときにイノベーションが生まれる。
引用元:経済産業省「企業にイノベーションを興すのは誰の仕事か?」

 全く新しい発想の新製品はそう簡単に思い付く訳ではない。「当たり前だったこと」を疑い、現場の声を知ることが、イノベーションへの近道になる。既存のアイデアを組み合わせ、付加価値をつけることで、製品はより魅力的に、サービスはより使いやすくなるのだ。これは単に新しいものを生み出すというだけではなく、顧客に新たな価値を提供し満足度を上げることにもつながる。

 ネットイヤーグループ株式会社の代表取締役社長 兼 CEO 石黒 不二代氏はこう語る。

 日本が今後人口減少に直面する中でも成長していくためには、国民一人当たりが生み出す付加価値を高める必要がある。それを実現するのがデジタルマーケティングとホワイトカラーの生産性向上である。
引用元:経済産業省「企業にイノベーションを興すのは誰の仕事か?」

これまでのやり方が通用しなくなっている

 過去のやり方が上手くいった成功体験にとらわれてしまい、同じやり方を続けると、どこかで成長が止まってしまうことは珍しくない。既存事業がいつまでも右肩上がりで成長を続けるというのは甘い観測だ。成長を続けるベンチャーや、成熟しつつある大手企業など、企業の規模やフェーズに拘らず、イノベーションは不可欠といえる。

労働力人口の減少

 イノベーションを推し進めるためには、時には既存事業よりも新規事業に力を注ぐことも必要だ。新規事業を軌道に乗せることで、既存事業との「成長のスパイラル」ができると同時に、既存事業が衰退した際に、いくつもの柱がある状態に成長させることができる。短期的には新規事業やイノベーションへの取り組みによって、支出が増えて売り上げや利益に影響が出ることもあるかもしれない。しかしこれは、企業が生き残るために欠かせない「未来投資」といえる。

 一方で、労働力人口の減少による労働リソースの減少が問題として挙げられる。2065年の労働力人口は2016年から4割減少するという、みずほ総合研究所の調査結果もある。業務量が減らない限り、1人にかかる負担が増えることは容易に想像がつく。そんな状態では、イノベーションどころか既存事業にも手が回らない状態になりかねない。

 そこで注目されているのが働き方改革だ。労働環境を見つめ直し、一人ひとりの生産性を高める働き方改革は、その取り組み自体がイノベーションを起こす可能性を秘めている。
引用元:みずほ総合研究所「少子高齢化で労働力人口は4 割減」
参考
総務省「労働力調査年報」(2016年)によると、2016年の労働力人口は6648万人であった。男女別、年齢5歳階級別の労働力率(それぞれの年齢階級の人口に占める労働力人口の割合)が2016年と同じとして、2017年の「将来推計人口」から将来の労働力人口を算出すると、2065年には3946万人となり、2016年と比較して4割ほど減少する見通しである。

イノベーションを起こすため、企業が取り組むべきこと

 少子高齢化や海外企業の台頭など、さまざまな理由で日本の企業が窮地を迎えるこれからの時代と、それを生き抜くためのイノベーションの必要性をお伝えした。これから企業が生き抜くために、イノベーションを起こすにはどうすれば良いのか。こちらの資料もぜひ参考にしてみてほしい。

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