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経営企画 公開日: 2023.01.06

経営課題:「人材不足」を解消するDX

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 新型コロナウイルス感染症の流行により、飲食業や観光業は直接影響を受けているが、影響を受けていない業種に関しては、むしろ人手不足が加速しつつある。本記事では人手不足を解消するため、DXを用いた人手不足の解消について解説する。

【画像】shutterstock

目次

人手不足を感じている企業はゆるやかに増加傾向

 帝国データバンクの調査によると、2020年5月に発令された1度目の緊急事態宣言を底として人手不足と感じている企業はゆるやかに増加。2020年10月の調査では特に教育サービス、電気通信、家電・情報機器小売、インフラといった業界で人手不足の割合が前年と比較して著しく上がっている。また、時短営業などの影響を受けた飲食や観光業においても人手不足を感じている企業が2割以上は存在する。さまざまなサービスがオンラインに移行するにあたり、関連する業種では人手不足が顕著であることが伺える。
 この流れは今後も拡大すると思われる。今でこそコロナ不況の真っただ中で、失業者も増えているが、新型コロナウイルスが収束すれば反動で景気の回復局面が訪れるだろう。2020年12月のESPフォーキャスト調査によれば、21年1~3月期から22年1~3月期にかけてはGDPが前期比年率プラス1〜2%程度の穏やかな伸び率であるものの、2023年には新型コロナウイルス流行以前の状態にまで回復すると予測している。
 来るべき回復局面に向けて、人手不足という経営課題を戦略的に扱うことが求められるが、どのように対処すればよいのだろうか。

人手不足が人材確保で解消しない3つの理由

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 経営者にとって人手不足という課題は、戦略的に扱うことが求められる。もちろん具体的な扱い方を知らなければ、解消することが不可能である。まずは、人手不足を人材確保で補うことが不可能であるということから説明に入る。
 人手不足の対処法として大多数の企業が考えるのは新規に従業員を雇用することであろう。確かにそれも有効な手段であるが、従業員を増やすことで人手不足は解消しない。以下のような3つの理由で限界がある。
  1. 少子高齢化により、国内の労働市場が停滞していることに加え、今後も長期にわたって不足が加速すると予想されているため。
  2. 新規の従業員を1人雇うだけでも、採用後から育成完了までに多大な費用と時間がかかるため。
  3. 育成できたタイミングなど、従業員が突然退職する可能性があるため。
 1. に関しては、労働力人口が減少し続けていること、今後も増える見込みがないことが挙げられる。政府は外国人労働者の受け入れを拡大しているが、外国人労働者が本格的に社会システムに組み込まれるまでには時間がかかるだろう。よって、新型コロナウイルス収束後の景気回復局面に備えるためには、短期的に効果のある施策を模索する必要がある。

 2. については、新規の雇用者の採用活動に多くの費用と時間がかかることが挙げられる。特に、人手不足の業界が中途採用によって即戦力を得ようとすると、かなりのコストがかかる。新卒採用ならば比較的ローコストで雇えるが、採用時期が限定される中で育成するにはさらにコストがかかる。既存の社員が新入社員のサポートに工数を取られ、生産性が低下する恐れがある。特に多くの企業では新人を育成する時間が取れずに困っている管理職が多いのではないだろうか。新人の育成には教える側のリソースも取られるのである。

 3. については、採用した従業員全てが、長く働いてくれるとは限らない。せっかく採用を行い育成できたと思っていた従業員が、ある日急に退職するという可能性がある。これは決して珍しくない退職事例でもあるが、育成までに費やした時間や費用を考えると、経営者であれば全く割に合わないと考えるはずである。

 このように人手不足を人材確保で補おうとすると、膨大なコストと時間がかかる。新たな社員が育つまでには既存社員の生産性も低下しやすい傾向にあるため、合わせて業務の効率化と生産性の向上のために力を入れるべきである。

人手不足を人的投資以外の手段で解消する

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 人手不足を人的投資以外の手段で解消するためには、人手を増やすのではなく、業務を効率化・自動化する必要がある。人手不足を解消し、生産性を上げる手段の一つとしてはデジタルトランスフォーメーション(DX)が挙げられる。

 DXは経済産業省によって以下のような定義を公表している。
 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
 IT化との違いは「変革」の概念の有無にある。IT化というのは既存の業務プロセスを変えずにITで効率化するようなことも含めるが、DXの場合はそれよりもさらに強い「変革(トランスフォーメーション)」というのが前面に出ているのが特徴である。つまり、DXとはビジネスのさまざまな要素を「変革」することであって、ITはあくまでも手段にすぎないのだ。

 実際にDXを推進した企業の声を聞いてみると、生産性が向上したという経営者や担当者が多い。日経 xTech Activeが行った調査によると、DXを推進する企業1044社のうち、45%以上の企業で社員の生産性・業務効率の向上が見られ、30%以上の企業が「運用する要員の削減」といった、人手不足の解消を実感しているとの結果が出ている。このような企業の声を聞くと、DXによる生産性向上が、人手不足を緩和させる手段として定着していると考えられる。

 では、DXの推進はどのように行えばよいのだろうか。

DXの推進で見直したい3つのプロセス

1.経営者主導で推進する
 DXの推進には、経営者の目的や戦略・予算計画が必須となる。そのため、経営者自らが主導となり、推進することが重要である。これらのプロセスを全て担当者に投げてしまう会社はDX推進に失敗する、という事例が数多く存在する。そのため、経営者自らのDX推進が必要となるのだ。

2.経営戦略を掲げる
 新たなサービスのリリースによりユーザーニーズを満たすことで、競合における優位性を得ることができる。そのためには経営戦略を明確にした上で、DX推進のためのツールやクラウドサービスの導入を検討する必要がある。

3.DX推進の体制づくりを行う
 DXによる生産性向上が一度きりで実現できることは、まずないに等しい。そのため、繰り返し実行可能な体制づくりを行う必要がある。失敗から再度実行するために、経営者から戦略を丁寧に説明することも必要だ。DXは、長期的に実行しても結果が伴わないということもある。このような場合にも、適切な評価を行える体制づくりまで重視することが求められる。

DXの推進に必要な5つのステップ

(1)デジタル化
 ウェブ上のアプリやクラウドサービスなどを導入していくステップである。ただ導入しただけでは生産性の向上はできない。重要なのはデータを取得し、きちんと蓄積していくことである。

(2)効率化
 蓄積したデータを活用し、部門ごとに業務効率化を行う。無駄な業務を無くし、自動化できる部分は自動化する。この段階からある程度の生産性の向上が期待できる。従来のIT化はこのステップまでを行うものであり、現在の日本企業はこの段階が多いのではないだろうか。

(3)共通化
 部門ごとに利用していたデータを他の部門でも活用できるようにする。例えば小売りであればECサイトでのデータを実店舗でも使えるようにし、ユーザーがECサイトで注文した当日に実店舗で商品を受け取れるシステムなどである。

(4)組織化
 部門間で蓄積したデータを基に、効率よく運用できるように組織改革を行う。ここまで蓄積したデータによって業務が可視化されているので、データに基づいた組織戦略が可能となる。

(5)最適化
 蓄積されたデータを基に将来のビジネス環境の変化を予測し、事業全体に変革を起こす。データを根拠にしてより精度の高い事業戦略を決定することを目指す。

 DXを推進する過程で、データの蓄積による業務の可視化に取り組まなければならないことが分かるだろう。まずどのような業務プロセスになっているのかを把握しなければ変革はできない。データで可視化される領域を徐々に広げることで最終的には事業全体の変革をなすのである。

 DXに着手する際にはまずは(1)のウェブアプリやクラウドサービスの導入から始める必要がある。ただ、このようなITツールの導入に際して多くの経営者が抱く不安は、まずコスト面のこと、そして、社員が使いこなせるかということであろう。

 確かに組織や事業の合理化ができても、膨大なコストがかかってしまえば、企業にとってはマイナスである。また、従業員がツールを使いこなせなかった場合は、導入したツールが無用の長物と化す。その結果、せっかくコストをかけたのにもかかわらず、成果は出ない。

人手不足の解消にハードルが低い、DX推進のはじめの一歩

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 DXの推進に導入するクラウドサービスは、導入が気軽であり、かつ実際に使う従業員が生産性の向上を実感できるものであればよい。

 例えば「名刺管理」も、従業員自身が手間だと感じていた作業を自動化することで、効率化できる業務の一つである。名刺管理ツールを導入することで、名刺情報のデータ化の手間が省けるだけでなく、名刺データの活用が可能となる。
 営業DXサービス「Sansan」は、こうしたDX推進の第一歩に適したツールだ。Sansanを活用すれば、名刺情報の確認やリスト作成などが手軽になることはもちろん、データの統合や正規化、コンプライアンスチェックなど、これまで人力で行っていたさまざまな業務を自動化し、効率化することができる。

ツールの導入を機にDXを推進し、人手不足に備える

 本記事では、人手不足を解消する手段としてDXを用いることについて解説した。2020年4月の緊急事態宣言を底として人手不足を感じている企業は徐々に増加しており、新型コロナウイルスの流行が収束した後は、さらなる人手不足が考えられる。

 しかしながら、雇用によってそれを補うにも課題があり、DXの推進による生産性の向上が近道な場合もある。従業員がデータ主体の業務プロセスに慣れていない場合には、まず名刺管理ツールの導入から始めるとよい。名刺管理ツールであれば従業員がデータを入力する手間を省き、その分のリソースを他の業務に配分できるようになる。明日から考えられるDXについての詳細は以下の資料をご覧いただきたい。

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