sansansansan
Pocket HatenaBlog facebook Twitter Close
経営企画 公開日: 2021.06.16

【10分で分かる】経済産業省が提唱するDXとは?

お気に入り

 2018年、2020年と経済産業省からDX(デジタルトランスフォーメーション)に関するレポートが発表されているが、その概念はいまだ十分に浸透しておらず、DXとは何なのか、具体的に何をすればよいのか悩む声も多い。本記事では、経済産業省が提唱するDX推進をひもとき、具体的なDXの推進方法を解説していく。

【画像】shutterstock

目次

経済産業省が新たに発表したDXレポートをひもとく

 2018年に経済産業省(以下、経産省)から公表されたデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に関するレポートでは、各企業における基礎システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化が、DXを推進する上で障害になることが警告された。

 そして2020年12月28日、経産省からDXレポート2(中間取りまとめ)が新しく公表された。それによると独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、約500社からDX推進指標の自己診断結果を回収・集計した結果、9割以上もの企業がDX化に取り組めていないことがわかったのだ。
 その要因は先般のDXレポートの内容が正しく浸透していないと政府は捉えている。具体的には、2018年に発表した経産省によるレポート上にあるDXの定義について、本質ではない解釈がなされているという考えを示していた。

 DXについて、経産省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」よれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。
 しかし政府は、上記の内容を確認した企業の中には、これ以上競合に対する優位性を獲得する必要がないとしてDXをしないと判断したところも存在するだろうとDXレポート2で説明し、本質ではない解釈がされていると見解を述べている。

 確かに既存のレガシーシステムを刷新する必要はあるが、それだけではDXの推進はできない。DX化していくためには、ITシステムの入れ替えや導入だけに留めず、この仕事はこのやり方でなければいけないといった固定観念がある企業文化も刷新していかなければならない。

 凝り固まった企業文化の具体例として、書類への押印や給与計算、社員の各種手続きなどのさまざまなバックオフィス業務が挙げられる。これらの業務の中には、わざわざ出社してやらなくてもよいものもあるだろう。こうした業務を新しいITシステムの導入によって、オンライン化させていく必要がある。

 また、顧客と顔を合わせながら接客し商品を販売する対面販売や、顧客企業に派遣されて、自社とは別の会社で働く客先常駐など、オンライン化が進んでいない労働形態も見られる。こうした働き方は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため見直さざるを得なくなった。

 前述のとおり先般のDXレポートではメッセージが正しく伝わらなかったことで、多くの企業が“DX=レガシーシステムの刷新”と認識してしまったが、正しい理解は“DX=社会環境の変化に対応した企業文化の刷新”だ。

 つまりこれまで疑問を持たなかったような業務や習慣などの企業文化を、ITシステムの活用によって社会に適応するよう変革させることが目的である。各業務プロセスをオンライン化できるような革新的ITシステムを導入することがゴールではない点には注意が必要だ。

新型コロナウイルス流行下で事業を継続するために、今すぐ取り組むべきDXの第一歩とは

【画像】shutterstock
 新型コロナウイルスが流行している今だからこそ、企業が直ちに取り組むべきDXのファーストステップは以下の二つだ。
  1. 従業員・顧客の安全を守りながら事業継続を目指すために、市販製品・サービスを導入し迅速に対応すること
  2. 1のようなツールを全社導入するために、経営トップ層がリーダーシップを図ること
 各企業は新型コロナウイルス感染拡大防止策を図った上で、従業員や顧客の安全を守りながら事業を継続させなければならない。その最も迅速な対策として、テレワークやEC構築、紙書類の電子化、ペーパーレス推進、営業活動のデジタル化などを目的とした市販製品やサービス(ITツール)を導入し、速やかに対応することが求められている。

 前述した経産省のDXレポート2(中間報告)では、今後DXを推進していく上で有効な製品・サービスを以下四つの製品カテゴリーに分けている。
A. 業務環境のオンライン化
B. 業務プロセスのデジタル化
C. 顧客接点のデジタル化
D. 従業員の安全・健康管理のデジタル化

 まずはAの業務環境のオンライン化だ。例えばテレワークシステムやオンライン会議システムを導入してリモートワークを実施したり、社内外とのコミュニケーションをオンライン化したりすることだ。こうしたITツールを活用すれば、社会の動きに合わせた働き方が可能となる。

 Bの業務プロセスのデジタル化では、各個別業務をオンライン化できるように、業務に必要となるデータを電子化したり対応できるツールを導入したりすることが必要だ。具体的なITツールには、データをインターネット上に格納してペーパーレス化を図るクラウドストレージシステムや、業務のデジタル化に役立つSaaSシステム、定型業務の自動化が行えるRPAシステムなどが挙げられる。

 そして顧客に自社製品やサービスに興味を持ってもらい、購入してもらうための入口として、デジタルを活用することが、Cの顧客接点のデジタル化だ。これまで対面販売のみを行ってきた企業がECサイトなどのオンライン販売を始めることで、実店舗では難しかった遠方の顧客との接点獲得や新たな顧客データの蓄積が可能となる。この場合の具体的な導入ツールは、電子商取引プラットフォームで行うECサイトの開設ツールや、電話業務のオンライン化に有効なチャットボットなどだろう。

 Dの従業員の安全や健康管理のデジタル化に関しては、遠隔でも管理できるようなツールを導入することでデジタル化が可能となる。例えば、従業員の不調や異常の早期発見ができるパルス調査ツールや、現場作業員の安全や健康管理ができる活動量計などだ。

 ただしこうしたITツールを全社的に導入するには、経営トップ層が先陣を切り企業文化を変革していく必要がある。まずは製品導入に成功したことを“成功体験”とし、変化を受容し適応していく組織文化への転換の起点にしてみてはどうだろうか。

煩わしい業務や他社の協力が必要な業務プロセスをデジタル化する

【画像】shutterstock
 先に紹介した業務環境のオンライン化、顧客接点のデジタル化については別の記事で紹介する。ここでは、業務プロセスのデジタル化について詳しく説明しよう。

 企業にはさまざまな業務があるが、まずはアナログ業務が多い、総務や経理などのバックオフィス部門における業務プロセスのデジタル化にフォーカスする。総務や経理の業務プロセスには「自社だけでデジタル化できる業務」と、「相手先企業の協力がないと進められない業務」の二つに分けられる。

 バックオフィス部門が抱えているアナログ業務の中でも、自社だけでデジタル化できる業務としてはどのようなものがあるだろうか。例えば、会社案内や年賀状の送り先リストの確認、オフィス修繕時の依頼先選定時のリスト確認などが挙げられる。他にも書類の押印や社員の勤怠管理などもデジタル化できる業務といえるだろう。

 こうした業務をデジタル化するためには、人物情報や企業情報などのデータ化が鍵となる。取引先の担当者情報やパートナー企業情報をデジタル化することで、リストの確認・更新作業は効率的に行うことができる。しかしながら、アナログな情報をデータ化する作業には手間がかかるため、バックオフィス業務が積み重なり人員不足を感じている場合、なかなか進まないのが実情だ。

 一方で相手先企業の協力がないとデジタル化できない業務とは、他社から紙で送られてくる請求書の処理業務や、営業部から寄せられる契約書の確認業務などだ。これらはたとえ自社だけがITツールを導入したとしても、相手先企業も同じくITツールを導入し、既存業務フローを変更してもらわなければデジタル化することは難しい。

 とはいえ新型コロナウイルスの流行下を生き抜き、従業員や顧客の安全を守りながら事業を継続していくためには業務プロセスのデジタル化は避けられない。そこでDXを推進する始めの一歩として、自社だけでできる業務プロセスのデジタル化からスタートしよう。

DXのファーストステップを後押しするITツールの導入

【画像】shutterstock
 前述の業務環境のオンライン化や業務プロセスのデジタル化を自社だけで完結させるために導入すべきITツールがある。それはクラウド請求書受領サービス「Bill One」と、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」だ。

 Bill Oneは外部から発送されてくるあらゆる請求書をオンライン上で受け取るITツールである。データ化された請求書ならテレワークでも対応可能だ。さらにデジタル化した請求書の内容をいつでも確認できるなど、月次業務をはじめとした、バックオフィス業務の効率化にも役立つのだ。

 またSansanは、全社の名刺をデータ化し一括管理することで、顧客リストなどを紙で管理している企業のペーパーレス化を図れるITツールである。これまで出社しなければ見られなかった紙ベースの書類をデジタル化することで、働き方改革への大きな一歩を踏み出せるだろう。

 ただし先述の通り、こうしたITツールの導入をはじめとした企業文化の改革は、部下に丸投げしてしまうと失敗する可能性が高い。経営トップ層のリーダーシップとともに固い意思決定が重要であるため、ぜひ積極的に検討してみてほしい。

 下の無料ダウンロード資料では、各企業が見直すべきアナログ業務について、Bill One・Sansanが具体的にどのようなシーンで役立つのかなどを詳細に説明しているためチェックしてみてほしい。

身近なアナログ業務からDX化に取り組もう

 経産省が各企業に推進しているDX化とは、ITツールの導入だけではない。ITツールを導入し活用するのはもちろんのこと、これまでの凝り固まった固定観念を打破して企業文化を抜本的に変革していくことこそがDXの本質である。経営トップ層は、今後変わりゆく社会の変化に対応するため、まずは身近なアナログ業務のデジタル化から進めていこう。

あわせて読みたい

関連記事

新着記事

DIGITALIST会員が
できること

  • 会員限定記事が全て読める
  • 厳選情報をメルマガで確認
  • 同業他社のニュースを閲覧
    ※本機能は、一部ご利用いただけない会員様がいます。

公開終了のお知らせ

2024年1月24日以降に
ウェブサイトの公開を終了いたします