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経営企画 公開日: 2021.09.14

生産性向上とは?  業務効率化との違いと改善方法を解説

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 ビジネスを行う上で、生産性を意識している企業は少なくないだろう。現在の日本は、人口減少と高齢化が進み、労働力の減少が懸念されている。少ない人材でより多くの成果を出すことができれば、企業の業績はもちろん、日本経済の活性化にもつながるだろう。本記事では、生産性向上とは何か、自社で取り組むためのポイントや具体的な事例について解説していく。

【画像】Shutterstock

目次

生産性向上とは

 まず「生産性」とは、資源(ヒト・モノ・カネ)を投入した結果、どれだけの成果が得られたかを表す指標を指す。生産性を向上させるということは、リソースを有効活用し、最小限の投資で最大の成果を生み出すことだ。生産性は、成果÷資源の式で算出することができる。

 例えば、投入した資源10に対して、成果が100だった場合、上記の式から100÷10という計算式が得られ、生産性は10となる。もし資源を5に減らすことができれば 生産性は20と2倍に上がるし、成果が150に上がれば生産性は15となる。  つまり、投入する資源を減らしつつ成果を維持するか、資源は同じでも成果を上げれば、生産性は向上するという関係性だ。

生産性向上と業務効率化の違い

 生産性向上と近い概念として「業務効率化」が挙げられる。ほぼ同じ意味だと捉えられがちだが、業務効率化は投入する資源を減らす一つの施策と言える。

 例えば、最新の機械を購入して人員数を減らすことや、チャットツールを導入し、コミュニケーションをオンラインでも円滑にすることなどが挙げられる。このように、必要な業務プロセスの簡略化や無駄を省くことで、投入する資源を減らしていくことが業務効率化となる。結果的に生産性向上に繋がるので、意味が混同してしまっている人も多いだろう。

 日本において、生産性向上が業務効率化とほぼ同義で用いられてきたのは、トヨタの「カイゼン」のように、生産性向上するための手段として真っ先に業務効率化が考えられた歴史があるからだと考えられる。

生産性向上が必要な理由とは

 近年、生産性向上が大きく注目された主な理由を紹介していく。

生産性向上が必要な理由①:労働力人口 の減少

 日本は世界の先進国の中でも、最も高齢化が進んでいる国と言われている。2020年の時点で、日本の15歳以上の労働力人口   は30年前の 6868万人。1990年の労働力人口は6384万人と大きな差はない。しかし、労働力人口の中心を担う 15歳から59歳の労働力人口は減少しつつある。

 労働力人口は国の生産性に大きく影響する。労働力人口の減少に歯止めがかかる見通しが現状ないことから、政府は外国人労働者を招き入れて労働力人口を増やし、生産性向上を図っている。

生産性向上が必要な理由②:国際競争率の低下

 2020年時点で、日本の名目GDPは538.6兆円と世界の3位を維持しているが、1990年半ばをピークに成長率は鈍化している。それに伴って、一人当たりGDPも鈍化しつつある。一方、OECD各国の一人当たりGDPは上昇傾向にある。1997年、日本はOECDの一人当たりGDPの平均を大きく上回っていたが、2019年には平均よりも下回ってしまった。相対的に日本の生産力が低下していると見て取れる。

 相対的に日本の生産性が低下しているということは、国際競走から遅れを取ってしまう可能性がある。世界の経済成長に着いていくためにも、国民一人ひとりの生産性の向上が重要視されている。

生産性向上が必要な理由③:医療費の増大

 2020年時点で、日本の60歳以上の高齢者人口は3617万人と全人口の28.7%を占める。2055年には、3626万人と全人口の約40%まで上がると予想されている。それに伴って、医療費が増大していく。実際、2021年の予算案における社会保障費は35.8兆円と、2000年の19.8 兆円と比べて1.8倍まで膨れ上がっている。
 先ほど解説したように、日本のGDPの増加率は鈍化している。生産性が向上しない一方で医療費が増えているということは、国民の負担が大きくなるということだ。近年、日本国内での健康志向が強まりつつあり、健康経営やウェルビーイング経営にも注目が集まっている。企業が社員の健康状態を意識した経営手法を取ることで、医療費削減はもちろん、生産性向上も期待できる。

生産性を分析するための指標

【画像】Shutterstock
 生産性を測る指標にはさまざまな計算式がある。ここでは頻繁に使われる指標とその計算式を紹介する。

生産性を分析するための指標①:労働生産性

 労働生産性は、最も一般的に使われる指標だ。多くの人が生産性=労働生産性と認識しているかもしれない。労働生産性とは、企業が生み出した付加価値(売上高-原価)に対して、どれだけの労働量を投入しているかを測る指標だ。
 労働生産性=付加価値額÷労働量(労働力人口など)
 社員一人当たりに対して、どれだけ付加価値を生み出したのか分かるので、最も分かりやすい指標と言える。しかし、IT企業など、材料費や機械の稼働コストといった原価がほとんどかからない      ビジネスモデルを採用している企業では参考になりにくいので、労働力人口ではなく労働時間の総量で測る場合もある。

生産性を分析するための指標②:労働分配率

 労働分配率とは、企業が生み出した付加価値に対して、どれだけの人件費をかけたかを測る指標だ。
 労働分配率=(人件費÷付加価値)×100
 労働生産性は、労働者の人数や時間に対する指標だが、労働分配率は人件費という費用で測る。労働生産性が高くてもかかった人件費が大きいと、労働分配率は低くなる。

生産性を分析するための指標③:総資本回転率

 総資本回転率は、企業の資本(純資産)が企業の利益を生み出すのにどこまで有効活用されているかを示す指標だ。投資家が企業の健全性を測る際に用いられることが多い。
 総資本回転率=売上高÷総資本×100
 一般的に総資本回転率が1以上ならば、最低限の資本を活用していると言われている。1を下回ると、保有している資本以上の売上を出していないことになるので、付加価値を生み出せていないと見られることが多い。

 今回挙げた具体例を見れば分かるように、どの資源と成果に注目するかによって、さまざまな視点で自社の生産性をチェックできる。ある指標では生産性は比較的高いが、違う指標だと低いということは十分あり得る。一つの指標だけで評価するのではなく、いくつもの指標を活用して、自社の現状を把握していきたい。

生産性を向上させるメリット

 生産性を向上させると、さまざまな恩恵が受けられる。どの企業でも期待できるメリットを紹介していく。

生産性を向上させるメリット①:人手不足への対応

 生産性が高いと、少ない人手でより高い成果を生み出すことができる。労働力人口の減少が確実視されている現在、生産性が高い企業は人手不足に悩む機会が減るだろう。採用に困らず本業に集中できれば、より高い生産性を目指すことができる。

生産性を向上させるメリット②:人材の質の向上

 社員一人ひとりの生産性が高まれば、少ない時間で業務を遂行させることができる。業務時間が少なければ、社員のワークライフバランスも満たされ、人材の定着率も上がるだろう。

生産性を向上させるメリット③:新たな投資機会

 企業である以上、高い業績を上げなければならない。そのために、生産性の向上が必要だ。少ないコストで、より業績を伸ばすことができれば、当然利益も増加する。利益が上がれば、新たな投資に資金を回すことができ、さらなる業績アップにつなげられる。

生産性を改善させる方法

 自社の生産性の現状を理解した上で、どのようにすれば生産性を改善できるだろうか。ここでは特に重要な五つの方法を解説していく。

生産性を改善させる方法①:業務内容の可視化

 生産性を改善する際、最も重要なのは現状の把握だ。まずは、担当している部署の業務内容の可視化をする。業務フローはもちろん、労働時間や社員の数、設備など、業務遂行にかかっているコストも棚卸しする。

 業務内容を可視化することで、最も注力すべきコア業務とそうではないノンコア業務に対して、どれくらいコストをかけているか把握できる。もし、コア業務とノンコア業務の振り分けが明確でない場合は、どの業務がコア業務に当たるのか、これを機会に定義しよう。

生産性を改善させる方法②:目標とする指標の設定

 物事を進める上で、目標の設定は不可欠だ。現状の業務の進行状況を把握したら、担当する部署の生産性を測る指標を設定する。  

 先ほど解説した指標はもちろん、さまざまな指標を参考に、担当する部署の生産性をもっと正確に測れる指標を選び、目標とする数値を設定すれば、目指すべき方向性が定まる。目標が決まるだけでも、現時点で何をすべきか整理することができる。

生産性を改善させる方法③:業務の外注

 現状の把握と目標の設定ができれば、まずはノンコア業務の対処を行う。具体的には、ノンコア業務の外注化(アウトソース)ができないか検討しよう。もしかすると、従業員の多くがノンコア業務に追われており、コア業務に取りかかる時間が少なく、生産性が低下しているかもしれない。

 社員のノンコア業務の負担が減れば、社員がコア業務に集中できるようになり、生産性の向上が大きく期待できる。業務の外注は、社員がノンコア業務に取りかかる時間を削減できるだけでなく、コミュニケーションコストなどの周辺コストも削減できる。

 業務の外注化で注意したいのが、初期には外部業者とのコミュニケーションコストが発生することだ。業務を外部に委託するゆえに、こちらの意図がうまく伝わらない場合がある。外部業者との連携が確立されるまでに、一定期間は生産性が低下する可能性があることを理解しよう。業務を外注する際は、外部業者に求める成果が出せるまで、どこまで時間と費用がかかるか綿密な検討が必要だ。

生産性を改善させる方法④:人材の配置

 ノンコア業務の外注ができれば、次は社員が担当する業務を整理する。ノンコア業務に追われていた社員がコア業務に集中できるよう、人材の再配置を行う。こちらが一方的に配置を変えるのではなく、一人ひとりの能力やスキル、求める働き方など、社員のニーズも汲み取る必要がある。必要に応じて人事部と協力し、適材適所な人材配置を行うといいだろう。

 近年、社員の働き方も多様化している。企業の生産性を向上するためには、社員の働き方を考慮することも求められている。したがって、社員と綿密なコミュニケーションを取り、信頼関係を強くすることができるかどうかも、生産性向上に寄与する。社員の働き方で悩んでいる方は、以下の記事もぜひ参考にしてみて欲しい。

生産性を改善させる方法⑤:社員のスキルアップ

 適材適所に基づいて人材の再配置が完了したら、社員一人ひとりの生産性を向上できるよう、スキルアップの機会を作っていきたい。生産性が低いことを理由に、新しい人材を採用する前に、今いる社員のスキルアップをする方が、結果的にコストを抑えつつ、生産性を向上できる可能性がある。

 集中すべき業務が明確になれば、社員自身も今の自分に何が必要か把握している場合が多い。社員に適宜スキルアップの機会を提供すれば、社員のモチベーションを上げられるきっかけにもなるだろう。

近年注目が集まっている「テクノロジー」の導入

【画像】Shutterstock
 働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響により、企業がデジタルツールなどテクノロジーを導入する動きが一気に進んでいる。ウェブ会議ツールやチャットツールが分かりやすい例だ。他にも、モバイル端末やクラウドを活用したデータ保存、プロジェクト管理など、さまざまな業務改善ツールがある。集中すべきコア業務を把握していれば、導入すべきITツールが何か、いくつか候補が挙がってくるかもしれない。

 テクノロジーを導入するということは、人の手で行う業務が少なくなるということだ。つまり、テクノロジーを活用できている程、少ない人手で業務を進められるようになり、人手不足を理由に新たな人材を採用する必要も少なくなる。社員の生産性を向上させるには、もはやテクノロジーの力は不可欠と言えるだろう。そこで今回は、ぜひ導入したい3つのITツールについて紹介する。

ビジネスチャットツール

 ビジネスチャットツールとは、名前の通り社員同士のやり取りをチャット形式で気軽に行えるITツールを指す。メールと比較して素早くコミュニケーションを取ることができ、プロジェクトや部署ごとにカテゴリーを設けて効率的に情報を共有することができる。チャットに加えて電話・ウェブ会議機能が付いているものが多く、中には社外のメンバーを追加できるツールもある。テレワークの導入が進み対面でのコミュニケーションが減っている昨今において、より普及するようになったITツールの一つと言える。

業務可視化ツール

 上述したように、生産性を向上させるためには業務内容を可視化することが大切だ。業務可視化ツールは社員によるPCの操作ログを収集・記録し数値化・グラフ化したり、業務フロー図を作成したりすることで業務プロセスを 明確にしてくれるため、生産性向上に大きく役立つはずだ。業務可視化ツールを活用すれば、コア業務・ノンコア業務の振り分けを可能にするだけでなく、各業務に割いている工数も明らかになり、データに基づいて社員のパフォーマンスを向上させることができるだろう。また、記録から見えてくる業務実態をもとに、隠れ残業を把握したり社員のコンディションを推察したりすることもできる。

顧客関係管理(CRM)ツール

 顧客関係管理ツールは、企業名や担当者名、顧客サポート機能など顧客に関連するさまざまな情報を管理し、営業・マーケティング活動の生産性を上げるのに重要な役割を果たす。見込み客の購買意欲を高めたり既存顧客へのクロスセルを促したりするなど、顧客データに基づいて営業活動の戦術構築をサポートしてくれる。
 

生産性向上の取り組みを成功させるポイント

 自社で生産性向上を取り組む際、理解しておきたいポイントについて解説していく。

生産性向上の取り組みを成功させるポイント①:チームで取り組む

 生産性向上は、個人の取り組みで実現できる訳ではない。部下へ一方的に生産性を上げろと言ってしまうと、逆に社員のモチベーションの低下を招き、生産性を下げてしまう可能性もある。生産性向上に取り組むなら、部署ないしチーム単位で行うことが前提だ。

 理想的なチームの考え方として参考になるのが、グーグルが提唱する「チームを成功へ導く5つの鍵  」だろう。

①心理的安全性
→「チームの中でミスをしても、それを理由に非難されることはない」と思えるか。
②相互信頼
→「チームメンバーは、一度引き受けた仕事は最後までやりきってくれる」と思えるか。
③構造と明確さ
→「チームには、有効な意思決定プロセスがある」と思えるか。
④仕事の意味
→チームのためにしている仕事は、自分自身にとっても意義がある」と思えるか。
⑤インパクト
→チームの成果が組織の目標達成にどう貢献するかを理解している」か。

 以上の項目で最も重要視されているのが、心理的安全性だ。「人間関係において、リスクある行動をしてもこのチームは安全」という共通認識を持てるかどうかで、メンバーの生産性は大きく変わるだろう。

生産性向上の取り組みを成功させるポイント②:成果向上と業務効率化にバランス良く取り組む

 最初に解説したように、生産性は成果と投入する資産の割合だ。多くの人は、生産性向上=業務効率化という認識を持ちがちだが、業務効率化は、生産性を向上させる手段の一つだ。業務効率化に留まらず、成果をより大きくする取り組みを同時に進めることが重要である。

 成果の向上と業務の改善を同時に進めるために、客観的な評価軸を設定しよう。目標とする指標を達成するために注力すべき数値は何か、一つひとつ要素分解する。その際、成果に関わる数値と業務効率化に関わる数値を導き出せるだろう。それぞれの数値目標に対して、その達成に貢献する取り組みをチーム単位で実施すれば、最終的な指標の達成に貢献しているかどうか、誰でも客観的に評価できるようになる。

生産性向上の取り組みを成功させるポイント③:補助金・助成金の活用

 自社内で生産性向上に取りかかるのではなく、必要に応じて国の補助金や助成金も検討しよう。自社で申請できるものを活用すれば、費用を負担することなく、生産性向上への投資が可能だ。

 特に注目したいのが、IT導入補助金だ。中小企業、小規模事業者などがソフトウエアやクラウドサービスの導入にかかった費用の半分、最大450万円の補助を受けられる。対象となるITツールの種類も多く、自社に有効なサービスがきっとあるはずだ。

 ITツールをうまく導入すれば、生産性向上はもちろん、職場環境の改善も実現する。例えばペーパーレス化が分かりやすいだろう。ペーパーレス化が進めば余計な書類管理も無くなり、オフィスもスッキリするだろう。ペーパーレス化については、以下の記事で詳しく解説している。生産性を向上させる手段の一つとして、ぜひ参考にして欲しい。

逆効果になるNGな取り組み

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 一見、生産性を向上させる方法でも、逆に低下させてしまうものがある。以下に紹介するNGな方法を検討しているなら、注意が必要だ。

逆効果になるNGな方法①:長時間労働

 最も注意したい方法が、長時間労働に依存してしまうことだ。業務をうまく進められず苦戦している状況では、成果のために長時間労働を余儀なくされた経験があるのではないか社員。
   
 しかし、労働時間が長くなれば社員の生産性が上げる訳ではない。過度な長時間労働は、社員の集中力を低下させるので、逆に生産性が低下する恐れがある。生産性の向上で大切なのは、成果を大きくしつつ投入するコストを下げること。労働時間を増やすということは、投入コストを上げると同義だ。本質的な生産性向上の施策とは言い難い。

 また、長時間労働の是正が働き方改革関連法で施行されている。法改正によって、国が定める残業時間を超えると罰則も下される。国の施策と逆流するので、社員による長時間労働が常態化してしまえば、企業としても社会的な評価を下げることになるだろう。

逆効果になるNGな方法②:マルチタスクの推奨

 社員の生産性を高めるために、複数の業務を行うマルチタスクを推奨している企業もあるだろう。しかし、マルチタスクは逆に生産性を低下させてしまう。さまざまな研究結果でも、マルチタスクは生産性を下げることが証明されている。

 もしかすると、マルチタスクができて生産性が高い社員がいるかもしれない。そのような社員は、一見マルチタスクができているように見えているが、実際は時間管理と業務進行管理が上手であることが多い。マルチタスクを推奨するのではなく、一つひとつの業務に集中しやすくするための施策に取り組むことが、本当の意味で生産性を高めるだろう。

逆効果になるNGな方法③:トップダウンでの施策実施

 たとえ、生産性向上に有効な手段を実施するとしても、上層部から一方的に下された場合はその限りではない。先ほども解説したように、生産性を向上させるためにはチーム単位で取り組むことが重要だ。上司だけでなく、社員が生産性を高める意識が低いと、せっかくの取り組みが頓挫してしまうかもしれない。

 したがって、社員と綿密なコミュニケーションを取り、なぜ生産性を高める必要があるのか、社員によってどのようなメリットがあるのか、理解を促す工夫が必要になる。チームが一丸となって生産性向上に取り組むことができれば、予想以上の結果を生み出すことができるだろう。

生産性向上の取り組みの成功事例

 自社で生産性向上に取り組みたいが、具体的に何をすれば良いのか、他の企業は何をしているのか、を知りたい方もいるだろう。そこで、国内で生産性向上に成功した事例をいくつか紹介する。

生産性向上の取り組みの成功事例①:良品計画

 小売事業を展開する良品計画は、順調に伸びていた事業が赤字に転落した際、業務改革として商品の陳列方法といった店舗業務や本部業務に関わる業務実施方法などをマニュアル化する「MUJIGRAM」を作成。その結果、定時退社率93.9%を達成し、全ての店舗で同じ質のサービスを提供できることとなり、2006~2015年度では、売上・営業利益ともに2倍に成⾧させた。   

 マニュアルを作成するだけでなく、現場の社員の意見を吸い上げ、速やかに反映できるプロセスも構築。また、優良提案の表彰を行ったり、業務パソコンに改善要望提案フォーマットを定めたりするなど、簡易に現場から意見を出せる体制を整えている。

生産性向上の取り組みの成功事例②:アイリスオーヤマ

 家庭用品から家電、食品などあらゆる生活用品の製造を行うアイリスオーヤマは、毎年1000点の新商品を開発していることで有名だ。その開発力を支えているのが、毎週月曜日に行われる「新商品開発会議」と「伴走」方式の開発の二つ。

 新商品開発会議には、代表取締役社長も含めた経営陣全員が参加し、新商品の企画のプレゼンが1日かけて行われる。この時点でOKが出た企画は、一般的な開発→生産→営業という順番ではなく、関わる各部署が同時に走り出す。このスピード感によって、企画から販売までたったの半年という期間で世に出すことを実現している。

 他にも新評品開発のアイデアが尽きないよう、社内SNSを独自開発し、全社員の日報を閲覧できるようにしている。ここで商品開発の現状やアイデアの種となる情報が共有され、次の商品開発につながるようになっている。

生産性向上の取り組みの成功事例③:東急コミュニティー

 総合不動産管理会社の中でも主導的な立場にいる東急コミュニティーが、名刺管理サービスツールを導入したことで、組織の生産性が大幅に向上した。従来は紙媒体で大量の名刺を保有していたため、必要な名刺を見つけるのに時間がかかるなど、名刺情報の管理体制に課題があった。

 しかし、名刺管理ツールを導入後は、PCやスマートフォンから簡単に名刺情報を確認できるようになり、不要な手間を削減することが可能になった。また、名刺の確認が容易になっただけでなく、名刺にある顧客情報がデータ化されることで各社員が持つ社外とのつながりが可視化され、効果的な営業戦略の構築が実現されている。  
 東急コミュニティー以外にも、名刺管理ツールの導入によって多くの企業が生産性を高めることに成功している。事例の詳細は下記の記事を確認してみてほしい。
 ITツールの導入は、シンプルかつ効果的な生産性向上の手段だが、ただ単に導入すればいいわけではない。業務内容を踏まえ自社で適切なツールを選ぶようにしたい。

経済の発展に生産性向上は不可欠

 人口減少と高齢化が進んでいる日本の経済力を高めるためには、生産性の向上は必須事項だ。新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、働き方が一気に多様化している。大きな変革が求められる今だからこそ、自社の生産性を見直してみることをおすすめする。

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