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経営企画 公開日: 2022.02.18

健康経営のメリットは? 取り組むべき企業の特徴や実践方法を解説

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 近年活発化している働き方改革とともに、「健康経営」についても関心が高まっている。しかし健康経営という名前は知っていても、取り組むメリットや目的を理解していない人も多いのではないだろうか。本記事では健康経営のメリット・デメリットや取り組むべき企業の特徴などを解説する。

【画像】Shutterstock

目次

健康経営とは?

 労働力人口の減少によって、今や、企業は労働者に選ばれる時代になりつつある。働きやすい環境を提供できなければ、どんなに給与が高くても十分な労働力や優秀な人材は確保できないだろう。そこで企業経営において重要な要素の一つとされるのが健康経営だ。まずは健康経営とは何かを簡単に説明する。
健康経営とは
 健康経営とは企業が社員の健康管理に配慮することで個人のモチベーションを高め、ひいては全社的な労働生産性の向上を図る経営の考え方だ。健康経営において、職場で働く人の心身の健康の度合いと、企業の生産性は密接に連動していると考えられている。

 例えば社員の離職率が高く、新しい人材を雇ってもすぐに辞めてしまうのでは生産性が低下する一方である。そこで社員一人ひとりがより長く働けるように、福利厚生や労働環境、ワークライフバランスなどを整え生産性を高めるのが健康経営だ。
 また最近ではテレワークの急増に伴い、社員の運動不足が叫ばれる。身体を動かさなければ、糖尿病や高血圧などの基礎疾患を患う可能性もある。このように企業は健康経営を学び、時代に合わせた課題解決にも取り組む必要があるのだ。

 健康経営は国全体での取り組みだが認知度は高くない。経済産業省では国内の中小企業約1万2000社を対象に、健康経営に対する認知度の調査を行った。
出所:経済産業省「中小企業における健康経営に関する認知度調査」平成29年12月実施
 この調査によれば健康経営について「全く知らなかった」と回答した人の割合は52%にも上る。また「聞いたことがあるが、内容は知らない」と答えた人の割合は32%。健康経営について意味を知っている人はわずか15%しかいなかったのだ。

健康経営銘柄とは

 健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営に優れた上場企業を一業種・一社に絞って選定・公表している取り組みのことだ。

 これは投資家が投資をする際の基準にもなっている。従来は企業の財務状況が重要視されていたが、今では長期的な視点で持続可能な企業価値の向上を重視する投資家も増えた。健康経営に積極的な企業は、今後生産性や売り上げの向上につなげられると期待されている。

健康経営優良法人とは

 健康経営優良法人とは、健康経営に取り組んでいる企業の中でも特に優れた法人を顕彰する制度だ。これは経済産業省と日本健康会議が共同で選出している。

 前述の健康経営銘柄は選定基準も厳しく、上場企業でなければ選ばれない。しかし健康経営優良法人は上場していなくても選ばれる可能性があり、大規模法人部門と中小規模法人部門に分けられる。企業規模にかかわらず健康経営に取り組む企業を可視化して社会的な評価が受けられる仕組みなのだ。

健康経営の主な目的

 健康経営の主な目的は二つある。一つは社員のモチベーションを高め、全体的な労働生産性を向上させること。健康な状態で生き生きと働ければ業務に集中できて、社員一人ひとりの労働生産性を高められる。

 もう一つの目的は企業イメージやブランド価値の向上だ。自社の社員の健康に気を配るため、さまざまな取り組みを実施していれば社会的な評価が向上する。その結果、顧客や求職者から注目されて売り上げの向上や労働力の確保も期待できるかもしれない。

健康経営のメリット

【画像】Shutterstock
 では健康経営に取り組むとどのようなメリットを得られるのだろうか。企業側と社員側に分けてメリットを紹介しよう。

企業側のメリット

 前述の主な目的でも触れたが、健康経営に取り組めば企業にとっては労働生産性の向上や、企業イメージ・ブランド価値の向上などさまざまなメリットが得られる。ここでは上記二つ以外のメリットを説明しよう。
企業側のメリット①離職率・定着率の改善
 まずは離職率や定着率の改善が見込める。健康経営によって社員が抱える健康上の問題や不安が解決されれば、プライベートはもちろんのこと仕事においても前向きな気持ちで取り組めるようになる。そうなれば自分なりのやりがいを見い出し、高いモチベーションを維持して働けるだろう。

 その結果、会社で働くのが楽しくなり特別な理由がない限り自ら退職する人が減り、長く勤続してくれるようになる。そして世間からの企業イメージが向上し適正に評価されれば、さらに離職率や定着率の改善につながるだろう。
企業側のメリット②優秀な人材を確保できる
 二つ目のメリットは優秀な人材を確保できる点だ。健康経営に取り組んでいる企業は、前述の通り企業イメージやブランド価値が向上する。そうなれば求職者の目に留まる機会も増え、応募者が増える可能性が高い。

 このように健康経営は企業にとって多面的なメリットを生み出す。働き方改革によって企業の生産性向上が求められている今、健康経営を戦略的に取り入れてみるとよいだろう。生産性向上について詳しく知りたい場合には、下記の記事も読んでほしい。

生産性向上のための取り組みとは? 成功のために企業が行うべき対策を紹介

社員側のメリット

 次に社員側のメリットを二つ紹介しよう。
社員側のメリット①社員全員の健康を促進できる
 一つ目のメリットは、企業主導の取り組みによって社員が健康づくりにも気を配ることができる点だ。運動不足を感じていても、業務に追われてなかなか運動などの時間を確保することができない人も多いのではないだろうか。

 しかし会社が健康経営に取り組み、社員の健康に配慮した施策を打ち出してくれれば利用しやすい。健康に対する意識を高めることで生活習慣が改善するだろう。
社員側のメリット②働くことが楽しくなり愛社精神も向上する
 社員自身が心身ともに健康的な状態となり、仕事にやる気や誇りをもって生き生きと働ければ、いつしか労働に楽しさを感じるようになるだろう。「この会社は自分の健康まで考えてくれている」とポジティブな印象を抱き、愛社精神が向上する。

健康経営のデメリット

 続いて健康経営のデメリットを企業側と社員側に分けて説明しよう。

企業側のデメリット

 まずは企業側のデメリットから挙げてみる。
企業側のデメリット①効果がわかりにくく、コストがかかる
 健康経営のデメリットは投資した効果がわかりにくい点にある。健康は売り上げのように数字で表せるものばかりではないほか、結果を確認するためにはある程度の期間が必要だ。健康に関するデータを中長期的に把握して確認・管理しなければならない。

 つまり健康管理をしていくためには、データが測定できる設備を導入したり外部の医師と連携を図ったりとさまざまなコストがかかる。
企業側のデメリット②人事・健康データの取得や管理に時間がかかる
 二つ目のデメリットは、健康経営を遂行するのに必要な人事データ・健康に関するデータの取得や管理に時間がかかる点だ。当然ながら社員の人数が多ければ多いほど、情報の取得や管理に手間がかかる。

 また健康状態のデータは社員の個人情報となるため、人事総務の担当になる場合が多い。人事総務の負担を軽減させるためにも、健康情報を管理できるようなツールの導入を検討する必要があるだろう。

社員側のデメリット

 それでは健康経営に取り組んだ場合に発生する社員側のデメリットをみていこう。
社員側のデメリット①業務が圧迫される可能性がある
 まず考えられるデメリットといえば、業務以外の作業が発生してしまうことだ。社員の健康に配慮した取り組みは多岐にわたるが、例えば健康診断やストレスチェックを実施する際には業務以外の時間を取らせてしまうことになる。そうなれば通常業務を圧迫する可能性もあるだろう。
社員側のデメリット②自分自身の健康状態を会社に知られたくない人もいる
 何らかの精神疾患を患っている場合など、自分自身の健康状態を会社や第三者に知られたくないと考えている社員もいるだろう。また定期的に行う健康診断の結果などが同僚に知られないか不安に感じている人も珍しくない。

 こうした社員の心配を取り除くには、事前に個人情報の取り扱い方や管理方法などを周知しておくとよい。

健康経営を取り入れるべき?

【画像】Shutterstock
 健康経営のメリット・デメリットが分かったところで「自分の会社は健康経営を取り入れるべきなの?」と悩む人もいるだろう。健康経営にも一長一短があり、どちらを優先させるかによってその答えは異なる。

健康経営を検討すべき「不健康な状態」とは?

 健康経営における「不健康な状態」とは社員の労働環境に対する満足度が低い状態や、社員の不健康が理由で行動・判断ミスにつながりかねない状態をいう。

 例えば社員が無理な残業をしていたり有休が取得できなかったりすれば、会社への信頼度は下がり不満が溜まってしまうだろう。また健康的な状態で働けていない社員が多い場合、仕事のミスが多発する可能性もある。このように企業全体が不健康な状態であれば、今すぐにでも健康経営を検討してほしい。

費用対効果はどう考える?

 とはいえ企業によっては費用対効果を重視している場合もあるだろう。確かに健康経営は投資額に対して結果や効果が埋もれてしまうケースも多い。しかし健康経営を取り入れれば社員の医療費削減が期待できる。

 さらには出社している社員の肩こりやうつ状態、睡眠障害などの不健康な状態による生産性の低下に歯止めをかけ、モチベーションの向上が見込める。こうしたことから健康経営に取り組むにはコストがかかるものの、得られるメリットは非常に大きいといえるだろう。

健康経営に取り組むべき企業とは?

 ここで健康経営に取り組むべき企業の特徴を紹介する。

健康経営に取り組む企業の特徴①社内で小さなミスが立て続けに起きている

 もしあなたの会社で仕事の判断ミスや行動ミスなどが続けざまに起きているようならば、それは今すぐ健康経営を取り入れて社員の健康に配慮すべきだろう。その状態を放置していれば、いずれ企業の存続を揺るがす重大なミスを引き起こす可能性が高いからだ。

健康経営に取り組む企業の特徴②追加コストが大きい

 社員の不健康が理由で発生する追加コストが大きい場合にも、健康経営を取り入れるべきだと言えるだろう。例えば体調不良を訴えている人や、早退や欠勤などを繰り返す人が増えてきた場合、そのまま放置しているとやがて退職や休職などにつながる可能性がある。

 そうなれば労働力確保のために急きょ採用活動を行ったり、業務効率化を図るために新たな設備を導入したりとさまざまな追加コストが発生する。特に離職率が高い企業では、採用活動費が継続的にかかってしまうため健康経営に力を入れてほしい。

健康経営の実現に向けた施策とは?

 最後に健康経営の実現に向けた具体的な施策について説明する。

健康意識の改革

 まず重要な施策は、経営層をはじめとした全社員の健康意識の改革だ。例えば社内外に向けて「健康宣言」を発信したり健康セミナーや個人面談を実施したりと、健康に対する意識を高めよう。健康宣言とは健康経営優良法人の認定を受けるのに必要な要件で、社員やその家族、社外に向けて健康経営に取り組む旨を明文化して意思を表示するものだ。

 健康宣言を行うには、全国健康保険協会(協会けんぽ)などが実施している健康宣言事業に参加するとよい。

ワークライフバランスの是正

 社員のワークライフバランスを整える施策も有効だ。仕事とプライベートの調和を図れれば健康増進が叶うだけではなく、企業における社員満足度も向上するだろう。

 具体的な方法は自由な働き方ができるテレワークやフレックス制度の導入、長時間労働の抑制などが挙げられる。また積極的に有休取得を促すことも効果的だ。

メンタルヘルスケア

 健康経営を実現させるためには、社員のメンタルヘルスケアにも注力してほしい。心の健康状態は他人から見えにくく、何も対策を打ち出さなければうつ病などの精神疾患を患ってしまう可能性も大いにあるからだ。

 厚生労働省が実施した「平成30年 労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、事業所規模が50人以上の事業所にメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者がいる割合は26.4%となっている。つまり、約4社に1社はメンタルヘルスに起因した休業者がいるということになる。

 実際にはさらに数値が高い可能性も考えられ、企業にとって健康経営に取り組むことの意味は大きいだろう。

 例えばストレスチェックを実施しメンタルヘルス不調を未然に防いだり、リフレッシュできるようなリゾート施設や温泉旅館と提携した福利厚生を増やしたりと、社員の心の健康にも配慮した施策を取り入れてみよう。

健康経営のメリットを理解して戦略的に取り組もう  

 優秀な人材を集めたり労働生産性を向上させたりと、多面的なメリットが期待できる健康経営。近年多くの企業が健康経営に取り組み始めているが、社員の健康を守るだけでは意味がない。健康経営は企業の成長を後押しする戦略的な手段であることを忘れないでほしい。

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